【やわらかい風】完全解説＋歌詞の意味／Mr.Children

楽曲紹介

楽曲収録CD

概要	収録作品	発売日
13th ALBUM	HOME	2007年3月14日

作詞：桜井和寿／作曲：桜井和寿

豆知識

アルバムジャケット情報

• 撮影場所：ハワイ「マウイ島」
• 正月に撮影された
• アートディレクター：森本千絵
• 桜井さんより「人間の体の7割は水でできているくらい当たり前のことを新しく表現してください」とメッセージを受け制作された
• 登場しているのは全て本物の家族
• 制作にあたり森本さんは「誰かが1人でも欠けてたら私が生まれていないことに気づいて、それを形にしたいです」と提案した

MV（ミュージックビデオ）情報

ミュージックビデオはございません

タイトルについて

主人公にとっての「やわらかい風」は、大切な人を思い出すきっかけ。

歌詞考察

1番 Aメロ（やわらかい風が〜）

やわらかい風が吹いたら ふと目を瞑って
元気で過ごしてるかな？
そんなことを思うんだ

<出典>Mr.Children/やわらかい風 作詞：桜井和寿

これは大切な人との別れから、時を重ねた頃のお話。

季節が変わる頃、風の心地良さを感じながら目を瞑る主人公。
「元気で過ごしてるかな？」
この風が吹く度、時の流れを感じながらとある人物のことを思い出します。

1番 Bメロ（君の自転車の〜）

君の自転車の後をジョギングして
かけてく遊歩道 それで嬉しかった

<出典>Mr.Children/やわらかい風 作詞：桜井和寿

君との日々を思い返します。

君が漕ぐ自転車、その後を走る僕。
ただ二人で遊歩道をかけていく瞬間。
今思えばその時間を共有できたことだけで、とても幸せだったと思える。

この時浴びた風が、今日の風なのかもしれません。

1番 Aメロ2（何気なく〜）

何気なく笑い合えたな 会話なんてなくたって
忙しく過ごしてるかな？
風邪なんかひいていないかな？

<出典>Mr.Children/やわらかい風 作詞：桜井和寿

一緒にいるだけで笑い合える関係。
君との時間は、まるで家族と過ごしている時のように、気負わず自然体でいられたのです。

だからこそ、親元を離れた子のように心配になってしまう。
君が辛い思いをしていないかと気にかけ、また、充実した暮らしをしていることを願っているのです。

2番 Aメロ Bメロ（君が抱いてた〜）

君が抱いてた悲しみ 寂しさ もどかしさ
何にもしてやれなかったなぁ それが悔しかった

もっと大きな器で もっと優しくて
そういう僕なら君を救えたろうな

<出典>Mr.Children/やわらかい風 作詞：桜井和寿

想い出は幸せなものばかりではなく、後悔だってたくさんあります。
君が泣いたり、苦しい思いをしている時、何もしてやれなかった。

でもそれは多分、君が今以上を欲しがらなかったからではないでしょうか？
だから主人公は後々、何もしてやれなかった自分に気づいてしまったのです。
君も主人公と同じように、一緒にいるだけで笑い合えたし、幸せだった。
悲しみや寂しさは気付かれないように、こっそり胸に抱いていたのです。

「君を救えたろうな」
その後悔はきっと、君を大切に想っていた証です。

2番 Aメロ2（世知辛い〜）

世知辛い時代だとアナウンスされてるけど
君と過ごした時間があるから 僕は恵まれてるって言える

<出典>Mr.Children/やわらかい風 作詞：桜井和寿

暮らしにくい世の中だと言われている。
でも嫌なことがあっても、君がいるだけで心の支えになっていた。
君がいたから乗り越えられた。

厳しい世の中でも、主人公は幸せでした。
大切な人がそばにいるだけで人は豊かになれるのです。

3番 Bメロ（始まりも終わりも〜）

始まりも終わりも どこかあやふやで
頭の切り替えが 上手くいかないまんま

<出典>Mr.Children/やわらかい風 作詞：桜井和寿

君との出会い、別れのきっかけは今でも曖昧なまま。
主人公はそのモヤモヤにより、次に進むための切り替えができずにいます。

だからこの風は今年も、君のやわらかい香りと温もりを運んできたのです。

忘れない為に
記憶から消す為に（『エソラ』より）

3番 Aメロ（何気なく〜）

何気なく笑い合えたな 今もそうならいいな
忙しく過ごしてるかな？
誰かと出会っているかな？

<出典>Mr.Children/やわらかい風 作詞：桜井和寿

自然に笑い合えた日々。
「もしもばったり会った時、あの頃と変わらない関係であってほしいな」
そんなことをつぶやきます。
でもそれは主人公の望みではなく、“変わらない君であってほしい”という願い。

そして新たな出会い、幸せを見つけていることを望んでいるのです。

3番 Aメロ2（やわらかい風が〜）

やわらかい風が吹いたら
また目を瞑って
元気で過ごしてるかな？
そんなことを思うんだ
やわらかい風が吹いたら…
やわらかい風が吹いたら…

<出典>Mr.Children/やわらかい風 作詞：桜井和寿

やわらかい風を感じながら、再び目を閉じる主人公。
その風がアルバム写真をゆっくりめくっていくかように思いを巡らせます。

そして君の幸せを願い、感謝し、風のように優しく思いやる。
「元気で過ごしているかな？」

また来年もきっとこの風は吹くでしょう。
その度また、大切な想い出のアルバムをめくっていくのです。

聴きどころ

メロディー

桜井さんはこの曲を「いいメロディーをもったとてもカジュアルな曲」とコメントしています。
スーツを着てビシッと構えて聴くのではなく、気楽にくつろぎながら聴けるメロディーということですね。

しかし一ヶ所だけ切なくなってしまうポイントがあります。
それはBメロ「それで嬉しかった」の「た」の音。
ここだけ、オーギュメントというコードを使用し、歌のメロディーを不自然な場所に飛ばして雰囲気を変えています。

優しいメロディーに加えられたスパイスといったところでしょうか。

アレンジ

まさに「やわらかい風」が吹いているかのように、ピアノとストリングスの音色が心地良いです。

ただ、アウトロだけはアルバム『深海』の『ゆりかごのある丘から』→『虜』を彷彿とさせるような展開が用いられています。（コードも同じ）
曲単体で聴くと「主人公にこの後不吉な出来事が起きてしまうのか？」と思ってしまうような、暗いフレーズで終わります。
でもそうではなく、これは次曲の『フェイク』へつながるように、あえてマイナー調で締め括っているのです。

もしかしたら、風に吹かれて目を瞑っているそのひと時すら”フェイク”である、と言いたいのかもしれません。

著名人の感想

準備中

ライブ&テレビ披露

ライブ

• ［(an imitation) blood orange］Tour

オススメ映像作品

Mr.Children［(an imitation) blood orange］Tour

テレビ

• なし

まとめ

イントロの優しい音色から桜井さんのやわらかい歌声。
メロディーも気張らず心地よく、まったりと風に吹かれながら聴いていたい曲です。
もし数あるMr.Childrenの楽曲から○○ソングとジャンル分けするとしたら、”癒しソング”のひとつなんじゃないかなと思います。

歌詞はちょっぴり切ないけど、誰かを思う優しさ、愛おしさがとても温かくて、収録されたアルバムが『HOME』というのもピッタリですね。

ところで皆さんは「やわらかい風」をどんな「風」だとイメージしましたか？

僕は何となく、穏やかで気持ちの良い「春の風」をイメージしました。

春は新生活が始まったり新しい環境に変わる人も多いけど、リスタートというか、気持ちをリセットして「また頑張ろう」って思える季節でもあると思います。

記憶と経験を風化させない為にも毎年その風はやってきて、失くしたものや与えられたものに対して、感謝をするきっかけをくれる。
そしてまた明日から「頑張ろう」って思わせてくれる。

『やわらかい風』とは、そんな優しく背中を押してくれる「春の風」なのかなって思いました。

桜井さんは『「やわらかい風が吹いたら」というフレーズがメロディーと一緒に浮かんだ』と語っています。

それとは逆に、僕らが普段”やわらかい風”を感じた時は、この曲がふと流れてくる時があるのかもしれないですね。