Mr.Children「進化論」の解説と歌詞考察だよ♪
小さな望みが大きな夢になる
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
18th ALBUM | REFLECTION{Naked} | 2015年6月4日 |
18th ALBUM | REFLECTION{Drip} | 2015年6月4日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 2015-2021 & NOW | 2022年5月11日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
「NEWS ZERO」のテーマソングだったよ♪
当初はストリングスを入れた壮大なアレンジだったんだぜ。
結局シンプルなアレンジに決まったのね。
アルバムジャケット情報
- アートディレクター:丹下紘希
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて
仮タイトルは『すなおな曲』だった。
この曲は、博物学者「ラマルク」自然科学者「ダーウィン」らの唱えた『進化論』、そしてそこから生まれた現代の『進化論』をテーマに、自分の存在意義を歌っています。
歌詞考察の前に”進化論”について簡単に説明します。
『キリンの首はなぜ長いのか』
“進化論”は時代と共に様々な説で塗り替えられています。
説①1809年、初期提唱者「ラマルク」
『首の短いキリンが高い場所の葉っぱを食べようと首を伸ばす努力をし、その子孫達にそれが受け継がれていった』
努力や経験値がDNAに書き込まれるという説。
50年後。
説②提唱者「ダーウィン」
『たまたま突然変異で生まれた首の長いキリンだけが生き残り、首の短いキリンは自然淘汰された』
環境に適した方だけ生き残ったという説。
ダーウィンの説はラマルクの説を否定し、現在の定説とされたのです。
しかし、近年また新たな説が生まれたのです。
説③「新説」
『DNAには経験値や記憶は書き込まれない。でも親キリンの努力や願いが体のどこかに記憶され、子孫へ受け継がれていく』
という説。
つまり一生懸命やってもどうにもならないことはある。努力が報われないとしても、どこかで子孫に受け継がれ、どこかで努力が実るかもしれない。今の世代では叶えられなかった願いが、次の世代へと受け継がれるかもしれない。
そんな「希望」への願いが含まれた説なのです。
これらを踏まえて歌詞考察をしていきます。
歌詞考察
1番 Aメロ(この世界に〜)
この世界に生まれ持って携えた使命が
<出典>Mr.Children/進化論 作詞:桜井和寿
もしあるとしたら それはどんなものだろう?
大それたものでは きっとないな
だからと言って どうでもいいことじゃ寂しい気もする
誰しもが生まれてから一度は、自分の存在意義や存在価値を考えたことがあるかと思います。
「今生きていることに意味はあるのだろうか?」
「何の為に自分は生まれたのだろうか?」
「生まれ持って携えた使命があるとしたら、それはどんなものなのだろうのか?」
この曲の主人公も僕らも、生きている内にその答えを明確に知ることは出来ないのかもしれません。
例え分かったところで、それはたいしたものではないのかもしれない。
だとしても、何か意味があってほしいものです。
親が産んでくれた命。
“どうでもよかった人生”とは思いたくありません。
1番 サビ(大小の様々な〜)
大小の様々な歯車が複雑に絡み合い
<出典>Mr.Children/進化論 作詞:桜井和寿
今日も廻ってる あぁ この世界 愛しき世界
君と廻してる
歯車は一つでは世界は上手く廻らない。
友人、他人、恋人に関わらず”君という名の誰か”と廻しているのです。
今食べているお米も、コンビニの商品も、街の建物や広告も、公園の緑も、自分ひとりの力では到底生み出すことはできません。
たくさんの人の苦労や想いが回り回り、世界は動いている。
生き残っている。
アインシュタインがこんな言葉を残しています。
「ミツバチが地球上から消えたら、人類はあと4年生きられるだろうか?」
ミツバチがいなければ受粉が行われず、植物がいなくなり、酸素が少なくなる。
酸素がなくなると動物がいなくなる。
そして人類がいなくなる。
虫が苦手な人は数多くいると思います。
僕もです。
しかし食物連鎖を含め全てのことが繋がっている。
虫も植物も人も、この世の全てが意味を持っているのです。
2番 Aメロ(進化論では〜)
進化論では首の長い動物は
<出典>Mr.Children/進化論 作詞:桜井和寿
生存競争の為にそのフォルムを変えてきたと言う
「強く望む」ことが世代を越えて
いつしか形になるならこの命も無駄じゃない
冒頭で紹介した「進化論」”新説”を再度振り返りましょう。
『DNAには経験値や記憶は書き込まれない。でも親キリンの努力や願いが体のどこかに記憶され、子孫へ受け継がれていく』
今僕らが「強く望む」こと。
誰かが「空を飛びたい」と思わなければ「飛行機」は作られなかったかもしれない。
「海を渡りたい」と思わなければ「船」は作られなかったかもしれない。
自分達では叶えられないことも、その願いが引き継がれ後の世代で実現されている。
「いつしか形になるなら」頑張って生きること、大きな夢を持つことは決して無駄ではないと思うことができます。
キリンが高い場所の葉っぱを食べることができているのは、僕らが今、発達した文明の中で生きていられることと同じ。
それは1万年前、10万年前に生きた哺乳類の望みだったのかもしれません。
2番 サビ(空を飛び〜)
空を飛び 海を渡り 僕らの夢はまだ膨らむ
<出典>Mr.Children/進化論 作詞:桜井和寿
誰も傷つけない 優しい夢を 素敵な夢を
君に引き継げるかな?
人類は飛行機を作り、船を作り便利な生活を実現してきました。
インターネット、スマートフォン…。
人々が便利な生活を求めると共に科学技術は進歩していきます。
でもそれに比例し、環境破壊も進んでいます。
何でもかんでも、夢を引き継げばいいというものではないのです。
それは「Everything is made from a dream(すべては夢から生まれる)」という楽曲でも歌われています。
元々は純粋な夢であっても、それが後に”核兵器”や”細菌兵器”を生み出してしまうこともある。
僕らが引き継ぎたいのは誰かを傷ける夢ではありません。
優しく素敵な夢で、愛しき世界を作っていきたいのです。
Cメロ(変わらないことが〜)
変わらないことがあるとすれば
<出典>Mr.Children/進化論 作詞:桜井和寿
皆 変わってくってことじゃないかな?
書かずに消した 読まずに伏せた
夢をもう一度広げよう
変わらないことは変わっていくこと。
立ち止まっていても人は成長し、歳をとり、終わりを迎えます。
だとしたら“変わり続けることが既に与えられている使命”なのではないでしょうか。
ならば、少しでも望む夢があるなら、立ち止まらずに踏み出した方がいい。
例えば白紙のノートを手に取った時、とてもワクワクします。
「これから何を書こうか?」
でも、まっさらだからこそ迷いが生じます。
「何から書けばいいのか分からない…」
ならまずは、とりあえず小さな願いを書きましょう。
もし自分には1ページしか願いの続きが書けなかったとしても、そのノートが誰かに渡った時、続きを書いてくれるかもしれません。
そして小さな望みが大きな夢になるのです。
ラスサビ(空を飛び〜)
空を飛び 月を歩き それでも自然に脅かされる
<出典>Mr.Children/進化論 作詞:桜井和寿
すべて受け入れて 見果てぬ夢を 素敵な夢を
君と見ていたい
今日も廻ってる あぁ この世界 愛しき世界
君と明日も廻していこう
どれだけ化学や技術が進歩しても、自然には脅かされる。
災害で命を落とすかもしれない。
でもそれすら受け入れられると主人公は考えます。
僕と君の夢、またそれを引き継ぐ君の夢が、この世界をこの先も築き上げていくと信じているから。
だから生きている間にこの愛しき世界を、君と見ていたい。
そう強く望むのです。
そして君も、次の君と見てほしい。
見果てぬ夢を 素敵な夢を。
聴きどころ
メロディー
大きな盛り上がりはありませんが、全セクション通してとても綺麗なメロディーです。
歌は力強いですが、ヒーリングソングに近い感覚が僕にはあります。
中でも僕が一番好きなのはCメロ。
書かずに消した 読まずに伏せた
夢をもう一度広げよう
このフレーズの切なさがたまらないです。
全体通して難しい旋律はありません。
それでも桜井さんがまだまだこんなに素敵なメロディーを生み出せるのは、音楽への”強い望み”があるからなのかもしれません。
アレンジ
情報では、当初はストリングスを入れた壮大なアレンジを考えていたとありました。
最終的にバンドでレコーディングした音を聴いて、結局シンプルなアレンジに決めたとのこと。
聴いて分かる通り力強いバンドサウンドに仕上がっています。
でもストリングスを入れた壮大なアレンジ、聴いてみたいです。
いつかライブでストリングスアレンジもやってくれたら嬉しいですね。
著名人の感想
随時更新します
ライブ&テレビ披露
ライブ
- FATHER&MOTHER 21周年祭 ファンクラブツアー
- TOUR 2015 REFLECTION
- STADIUM TOUR 2015 未完
- Mr.Children Hall Tour 2016 虹
オススメ映像作品
Mr.Children TOUR 2015 REFLECTION
「REFLECTION」も「未完」もスクリーン映像は全く同じものを使っていて、アレンジも結構そのままなので大きな違いはないです!
「ファンクラブツアー」はイントロのフレーズがなく、2番Aメロもブレイクするアレンジはまだなし。ギターフレーズもまだ定まってないっていう感じなので、まだ未完の「進化論」が聴けます♪
実際に田原さんは毎公演、少しずつ違うフレーズをトライしていたそうです。
テレビ
なし
まとめ
初めて聴いたのは映画「REFLECTION」でした。
写真がスマホに残っていたので載せておきます。
「REFLECTION」の曲はアルバム発売前にライブで披露するというコンセプトでしたので、この映画のライブは未完成の曲もあり、「進化論」もまだアレンジが固まっておらず、それこそ進化前のバージョンでした。
初披露ではMCでこの曲のテーマである『進化論』についての解説がありました。
それからその後のツアーでも曲が始まる前にスクリーンで”解説が入ってからの演奏”というスタイルです。
それもあってか、ライブで聴くのもCDで聴くのも他の曲以上に歌詞が心が沁みます。
「進化論」という言葉を目にすると、虫や動物の存在意義や人間の存在意義を考えたり調べたりしたくなります。
(特に虫は苦手なので笑)
深く調べるほど全てに意味があるのだと気づきます。
「願い」や「望み」はまさに世界を作り、進化させています。
だから「自分なんか生きてる価値がない」などと億劫にならず、希望を持って前に進んでいくことは大切です。
例えば時計の振り子は右に振ったらその勢いで必ず左側に振れます。
勢いをつけて頑張れば頑張るほど、後退りもしてしまうということ。
でも時計の針を進めるには振り続けなければならない。
振れた分だけ時は進んでいきます。
だから例え自分の行動がマイナスに振れてしまったとしても、またそれをバネにしてプラスへ振る。
小さな一歩でもいいから、そうやって動き続けないと時代は前に進んでいかないんだということに、気付かせてくれる楽曲でもあると感じました。