Mr.Children「マシンガンをぶっ放せ」の解説と歌詞考察だよ♪
真実の探求
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
5th ALBUM | 深海 | 1996年6月24日 |
12th Single | マシンガンをぶっ放せ-Mr.Children Bootleg- | 1996年8月8日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
シングル盤では『-Mr.Children Bootleg-』という副題が付いてるんだよね。
Bootleg(ブートレグ)とは英語で「海賊版」っていう意味なんだぜ!
私の考察だと「シングル曲として作ったわけではないのに、”海賊版として誰かが勝手にシングル化した”と思って下さい」というだと思うわ。ベストアルバム『肉』『骨』に収録されなかったのも辻褄が合うわね。
シングルジャケット情報
- アートディレクター:信藤三雄
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて
『マシンガンをぶっ放せ』
その対象は何なのか?答えは「見えない敵」。
では「見えない敵」とは何なのか?
その答えは、このまま歌詞考察をご覧ください。
歌詞考察
1番 Aメロ(あのニュースキャスターが〜)
あのニュースキャスターが人類を代弁して喋る
<出典>Mr.Children/マシンガンをぶっ放せ 作詞:桜井和寿
「また核実験をするなんて一体どういうつもり?」
愛にしゃぶりついたんさい
愛にすがりついたんさい
冒頭のフレーズはALBUM『深海』収録の『臨時ニュース』と繋がっています。
臨時ニュースでキャスターが報道している内容は、1995年にフランスが世界中の反対を押し切って核実験を強行した出来事。
1995年フランスは、世界各国が国連に「核のない世界へ歩み出そう」と提案しているにも関わらず、国際世論を無視してその決断の前に駆け込み実験を遂行しました。
その為、多くの国から非難を浴びることとなります。
臨時のニュースとしてその出来事を取り上げたキャスターが、人類の気持ちを代弁してくれたのです。
「また核実験をするなんて一体どういうつもり?」と。
その後に「愛にしゃぶりついたんさい 愛にすがりついたんさい」とあります。
(「〜たんさい」とは「〜しなさい」の方言)
これはつまり「”愛”に救いを求めろ」「”核”ではなく”愛”に執着しろ」というメッセージ。
このセクションでは”核実験”と”愛”という二つの要素を対比させることで、「社会における価値観や優先順位を考えろ」と言いたいのかもしれません。
1番 Aメロ2(やがて来る”死の存在”〜)
やがて来る”死の存在”に目を背け過ごすけど
<出典>Mr.Children/マシンガンをぶっ放せ 作詞:桜井和寿
残念ですが僕が生きている事に意味はない
愛せよ目の前の不条理を
憎めよ都合のいい道徳を
そして僕に才能をくれ
ニュースを観た主人公は自身に目を向けます。
人はやがて死ぬ。
しかし人は、その事実の前に壁を作り目を背けながら過ごしている。
そして僕自身も、何となくそうしているのかもしれない。
でも残念なことに”死”を隠したとて、生きている事に意味を見出せていないのが今の主人公なのです。
ではどうすれば自分に価値を見出せるのか?
それは不条理を愛し、道徳を憎むこと。
つまり、上手くいかない人生を受け入れ、都合のいいルールに逆らっていくことも必要だということ。
そして自分の存在意義を示すことのできる才能も必要だと感じたのです。
1番 サビ(見えない敵に〜)
見えない敵にマシンガンをぶっ放せ Sister and Brother
<出典>Mr.Children/マシンガンをぶっ放せ 作詞:桜井和寿
正義も悪もないこの時代を行進していく兵士です
殺人鬼も聖者も凡人も共存してくしかないんですね
触らなくたって神は祟っちゃう
救いの唄は聞こえちゃこないさ
世界には戦争やテロ、犯罪、ウイルスや災害など、ちっぽけな自分の力ではどうすることもできない事がたくさんあります。
それこそが“見えない敵”。
自分の力だけでは到底太刀打ちできません。
だから「Sister and Brother」=「人類という名の兄弟姉妹」が「善」と「悪」の区別を曖昧にしたまま銃口を向け合っている現状なのです。
この世界は多様性や複雑さを受け入れざるを得ない状況にある。
上手く生きていくにはその両方と手を取り合い、聖者だろうと殺人鬼だろうと共存して生きていかなければならないのかもしれない。
例えそんな現実を嘆き、神に祈ったって意味がない。
救いの唄など意味がない。
いや、救いの歌を聴く余裕すらないというのが適切なのかもしれません。
2番 Aメロ(参考書を持って〜)
参考書を持って挑んだんじゃ一生謎は解けぬ
<出典>Mr.Children/マシンガンをぶっ放せ 作詞:桜井和寿
良識を重んじてる善人がもはや罪だよ
愛せよ目の前の疫病を
憎めよ無能なる組織を
そして僕にコンドームをくれ
参考書に頼っても、この世界の本質的な理解は得られない。
正しいことが全て正しいとは限らず、民族や宗教によって価値観や考え方も違います。
だから人間は争う。
良識に従って生きていくことが、もはやくだらないと思えてしまう世の中なのです。
そんな世界だからこそ、自分で自分を守っていくしかない。
目の前の疫病と向き合うこと。
偽りの正義を憎み、正しさを見極めること。
その為にも僕らは、コンドームという名の防弾チョッキを常に身につけておかなければならないのです。
2番 サビ(僕は昇りまた〜)
僕は昇りまた落ちてゆく 愛に似た金を握って
<出典>Mr.Children/マシンガンをぶっ放せ 作詞:桜井和寿
どうせ逆らえぬ人を殴った 天使の様な素振りで
毒蜘蛛も犬も乳飲み子も共存すべきだよと言って
偽らざる人がいるはずないじゃん
この現実に目を向けなさい
人生は失敗と成功の連続。
人は一体何のためにそれを繰り返すのか?
誰かを愛するため?
誰かに愛されるため?
しかし「愛」だけで屈せずにいられるほど人は純粋な生き物ではありません。
「愛」と同様に価値あるもの、「お金」を握ることで原動力が生まれることは事実。
お金を目の前にして人は逆らえない。
例えその対象が間違ったことをしていようと、天使のような素振りで殴るフリをすることしかできないのです。
この世界に正直な人などいるはずない。
例えば1995年に大阪でみつかった外来性の毒蜘蛛。
それはオーストラリア由来であることが後に断定されました。
オーストラリアでは平然と生息している蜘蛛が、日本に来た事により駆除されてしまった。
本来日本にはいないものだからと、不純物と扱い、清浄化してしまったのです。
しかしその毒蜘蛛も、動物も、子供も同じ生物。
よそ者を排除してクリーンにするのではなく、どんどん共存して濁った色になっていくべきではないか?
そう考えた主人公。
しかしそれもきっと偽善。
現実を見れば分かることだと感じたのです。
Cメロ(愛せよ単調な〜)
愛せよ単調な生活を
<出典>Mr.Children/マシンガンをぶっ放せ 作詞:桜井和寿
鏡に映っている人物を
憎めよ生まれてきた悲劇を
飼い慣らされちまった本能を
そして事の真相をえぐれ
単調な生活も、鏡に映る自分自身も、社会的な制約も、この世に生まれてきた以上はその現実を受け入れるしかない。
そして真実を見極める。
正義も悪も所詮まやかしに過ぎない。
自分の目で見たものを信じるしかない世の中なのです。
ラスサビ(見えない敵に〜)
見えない敵にマシンガンをぶっ放せ Sister and Brother
<出典>Mr.Children/マシンガンをぶっ放せ 作詞:桜井和寿
天に唾を吐きかけるような行き場のない怒りです
宗教も化学もUFOも信じれるから悲惨で
絡まりあって本心偽って
めくるめくのevery day
僕は昇りまた落ちていく
何だってまかり通る世界へ
行き場のない強烈な怒りと不満。
それがこの曲そのものです。
「宗教・化学・UFO」異なる信念や信仰が共存する世の中で、その多様性が混乱や不安を生む場合がある。
誰もが自分を偽るから、何が正しいのも分からない。
でも世界はどんな状況も受け入れている。
そう、”何だってまかり通る世界”。
しかしそれは逆を言えば、どんな状況でも受け入れなければならないということ。
だから主人公もこの世界に生きる人間も、迷い苦しみながら生きているのです。
昇りまた落ちる人生。
この世界のように、時には厳しい現実を受け入れなければならない。
マシンガン(感情)を見えない敵(理不尽な出来事)にぶっ放す。
そして混沌の中に真実を探求し続ける。
これは、そんなとある臨時ニュースを観た一人の男の思想なのでした。
聴きどころ
メロディー
匍匐前進のように低音域ですり抜けていくAメロ。
一歩間違えれば不協和音にもなりかねないメロディーラインが、攻撃的な歌詞を際立たせる。
次に周囲を見渡すように緊迫感のあるBメロ(愛にしゃぶり〜)。
エフェクトとコードで浮遊感を出し、主人公の葛藤を見事に演出。
そして詰め込んだ弾を連射するように感情を吐き出すサビ。
まさにマシンガンをぶっ放しているかのようなスピード感に、熱く引き込まれる。
そこに乗っかる桜井さんの鋭利な歌声が相まって、もう「カッコイイ」の一言です。
カッコ良すぎる。
うん、それしかない!!
アレンジ
当時のインタビューを読んでいる限り、かなり試行錯誤したそうです。
例えば田原さんはレコーディングしたニューヨークから戻ってからも、スタジオを二日間借りて練り直したとのこと。
「なんか許せなかった」とコメントしています。
そしてこの曲はスピーカーの右から聴こえるチェロの存在感がとても大きい。
アナログな音色も味があり、曲のスピード感をより高めているようにも感じます。
そのチェロも小林さんが何度もアレンジを変え、バランスをとっていったとのこと。
そんな風に細部まで拘ったからこそ、田原さんはアレンジについてこう述べております。
「各楽器にしっかりとした配役があり、どの楽器も端役にはならないアレンジが成立した」
言われているように聴こえない楽器がありません。
歌も含め全てが主役の素晴らしい楽曲。
ちなみに個人的には落ちサビでアコギとドラムと歌だけになるところが一番好きです。
著名人の感想
随時更新します
ライブ&テレビ披露
ライブ
- REGRESS OR PROGRESS
- CONCERT TOUR POPSAURUS 2001
- ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001
- Hall Tour 2016 虹
- Hall Tour 2017 ヒカリノアトリエ
オススメ映像作品
Mr.Children CONCERT TOUR POPSAURUS 2001
リグプロにも収録されているけど、ポプザの方がアレンジ効いてて良いです!!
テレビ
1996年6月28日「FAN」
まとめ
個人的なMr.Childrenベストアルバム作るとしたら必ず入れたい楽曲。
それくらい刺激的で中毒性があり、初めて聴いた時から今に至るまでずっと聴き続けている曲の一つです。
こういったアグレッシブな楽曲は今でこそ数多くありますが、ポップやバラードのミスチルしか知らない人にまずお勧めしたい1曲でもありますね。
それくらい僕の中ではベストソング。
シングルが発売された時のことを少しお話しすると、ランキング1位を獲得したというのもありメディアではよく流れていました。
音楽バラエティー番組「THE夜もヒッパレ」でカバーもされたり、遡れば意外にも『深海』発売時に「FAN」という番組で1度披露されていますね。
『マシンガンをぶっ放せ』は“真実を探し求める男”を描いた作品でした。
ではコンセプトアルバム『深海』でのストーリー上の関係性はどういったものになっているのか?
まず全体から振り返っていくと、3曲目の『手紙』がこの物語の結末であり、その後の曲を聴いていくことで様々な物語がリンクしていくというのがこのアルバムの全体像です。
構成は前半は「愛」を歌い、後半は「外へ出る」というもの。
01. Dive
02. シーラカンス
03. 手紙
04. ありふれたLove Story ~男女問題はいつも面倒だ~
05. Mirror
06. Making songs
07. 名もなき詩
08. So Let’s Get Truth
09. 臨時ニュース
10. マシンガンをぶっ放せ
11. ゆりかごのある丘から
12. 虜
13. 花 – Memento-Mori –
14. 深海
7曲目の『名もなき詩』で主人公は外へ向かいます。
そして外へ出てからが8曲目の『So Let’s Get Truth』。
しかし外へ出るということ、『So Let’s Get Truth』が歌っていること、というのは、一人の男の呟き、嘆きでしかありません。
つまりこの男にとっては、外へ出ると同時に内に閉じこもることでもあるわけです。
そこから混沌とした世界にいき戦争へと突入していく。
それが『マシンガンをぶっ放せ』なのです。
そしてその後、また展開があるのですが、それはそれぞれの記事で解説します。
ちなみにこの解説は僕の考察ではなく桜井さんの解説によるものです。
発売からもう何十年も経つ曲ですが、今もなお、歌って欲しいという声をよく見聞きします。
これからもその時々迷ったり、不信感があったりした時など、ライブで歌ってほしくなる楽曲ですね。