Mr.Children「抱きしめたい」の解説と歌詞考察だよ♪
永遠に歌い続けられるラブソング
楽曲紹介
楽曲収録CD
| 概要 | 収録作品 | 発売日 |
|---|---|---|
| 2nd Single | 抱きしめたい | 1992年12月1日 |
| 2nd ALBUM | Kind of Love | 1992年12月1日 |
| 8th ALBUM | 1/42 | 1999年9月8日 |
| BEST ALBUM | Mr.Children 1992-1995 | 2001年7月11日 |
| BEST ALBUM | Mr.Children 2011-2015 | 2022年5月11日 |
作詞：桜井和寿／作曲：桜井和寿
豆知識
テレビドラマ「ピュア」の最終回挿入歌として使用されたよ♪
発売から25年経った2017年には、NTTドコモ dヒッツ「娘の帰り篇」のCMソングとしても起用されたんだぜ！
元は桜井さんの友人でもあるJUN SKY WALKER(S)のボーカル・宮田さんの為に書いた結婚式ソングで、ジュンスカの曲のタイトルを散りばめて歌詞を作ろうとしていたのよ♪（例：「歩いていこう」「いつも二人で」など）
レコーディング時はクリスマスソングとして制作していたんだけど、プロデューサー小林武史さんに反対されて普遍的な歌詞に書き換えられたらしいね。
シングルジャケット情報
- Mr.Children初の横向きジャケット
- アートディレクター：信藤三雄
MV（ミュージックビデオ）情報
・パリ：セーヌ川沿い（正確な場所は不明）
手ブレやアウトフォーカス、手書き文字の挿入でノスタルジックな雰囲気に仕上げた。
Mr.Children 「抱きしめたい」 MUSIC VIDEO
タイトルについて
主人公の純粋な気持ち。
歌詞考察
1番 Aメロ（出会った日と〜）
出会った日と 同じように
<出典>Mr.Children/抱きしめたい 作詞：桜井和寿
霧雨けむる 静かな夜
目を閉じれば 浮かんでくる
あの日のままの二人
霧雨の降る静かな夜。
主人公は目を閉じながら、君と出会った日のことを思い浮かべます。
それは今日と同じような光景の夜。
そして僕ら二人も“あの日のまま”。
色褪せない二人の関係を繋ぐエピソードを振り返っていきます。
1番 Bメロ（人並みで溢れた〜）
人並みで溢れた
<出典>Mr.Children/抱きしめたい 作詞：桜井和寿
街のショウウィンドウ
見とれた君が ふいに
つまずいた その時
受け止めた 両手のぬくもりが 今でも
それは人で賑わう街中での出来事。
ショウウィンドウに並ぶ目を引く商品を、嬉しそうに眺めながら歩く君。
とても惹きつけられていたのでしょう。
ふいに君はつまずいてしまいます。
「あ、危ない！」
つまずく君を主人公は両手で受け止める。
その瞬間、君の体温が僕の手を包み込んだ。
と、同時に互いは頬を赤らめ、二人の空気は恥ずかしさと戸惑いから特別なムードに。
そんなシチュエーションだったのでしょう。
その時の感覚が記憶と共に今でも主人公の両手に残っているのです。
1番 サビ（抱きしめたい〜）
抱きしめたい 溢れるほどの
<出典>Mr.Children/抱きしめたい 作詞：桜井和寿
想いが こぼれてしまう前に
二人だけの 夢を胸に
歩いてゆこう
終わった恋の心の傷跡は 僕にあずけて
君との出会いを振り返っていると、鼓動が胸を打ち、抑え切れない愛情が心を満たしていました。
その想いを制御できなくなる前に君を「抱きしめたい」、抱きしめてこの想いがこぼれる前に君に届けたいと願います。
二人で紡いでいく未来への夢を抱きながら、一歩ずつ歩いてゆこうと決意を込めて。
しかし君には過去の恋から残る心の傷跡があることを、僕は分かっている。
そして僕は、その傷跡を受け入れる覚悟ができている。
主人公の愛情と優しさには、きっとその傷を癒す力があります。
だから安心して「僕にあずけて」と言い切ることができるのです。
2番 Aメロ（キャンドルを〜）
キャンドルを 灯すように
<出典>Mr.Children/抱きしめたい 作詞：桜井和寿
そっと二人 育ててきた
形のない この想いは
今はもう 消えはしない
キャンドルの灯は時間が経つにつれ、または強い風が吹いてしまえば、消えてしまいます。
だから大切に扱わなければいけない。
灯火が消えぬよう守り続けなければならない。
同じように二人は互いに支え合い、時には雨風にも負けず、形のない愛という灯火が永遠に輝き続けるように育ててきた。
互いの強固な想いに自信を持っている主人公だからこそ、決して”消えはしない”と言い切れるのです。
2番 Bメロ（震えそうな夜に〜）
震えそうな夜に
<出典>Mr.Children/抱きしめたい 作詞：桜井和寿
声をひそめ 君と
指切りした あの約束
忘れてやしないよ
心配しないで
君だけを 見ている
寒い夜に暖をとるように身体を近づけ、声をひそめながらとある約束をします。
その約束はきっと「ずっとそばにいるから」など、君への信頼を誓ったもの。
君は小指を差し出し「約束だよ」と指切りをしました。
その約束は今も忘れてはいない。
主人公の目は今も変わらず君だけを見ています。
2番 サビ（もしも 君が〜）
もしも 君が 泣きたい位に
<出典>Mr.Children/抱きしめたい 作詞：桜井和寿
傷つき 肩を落とす時には
誰よりも素敵な 笑顔を
探しに行こう
全てのことを 受け止めて行きたい
ずっと二人で
どんなに幸せでも、時には傷つき、悲しみに打ちのめされることがあります。
泣きたい時には笑顔になれる場所を一緒に探しに行けばいい。
例えばまたあの日のショウウィンドウ、遊園地、映画館など。
音楽も良い。
そうやって喜びも悲しみも、どんな状況だろうと全てを受け止め、乗り越えていく。
色んな経験から互いを知ることで、その絆はどんどん深まっていきます。
ラスサビ（抱きしめたい〜）
抱きしめたい 溢れるほどに
<出典>Mr.Children/抱きしめたい 作詞：桜井和寿
君への想いが 込みあげてく
どんな時も 君と肩をならべて
歩いてゆける
もしも 君が さみしい時には
いつも 僕が そばにいるから
主人公の心は君への想いで溢れていて、どんな状況でも共に歩き、共に立ち向かっていくと誓います。
互いが支え合い、悲しみや孤独を共に分かち合うことの大切さ、誰かがそばにいる安心感、そして「抱きしめたい」というシンプルな愛情表現だからこそ、純粋な想いが伝わってきますね。
聴きどころ
メロディー
元々桜井さんが小林さんの家に持ち込んだデモテープでは、サビの転調は無かったそうです。
小林さんのアイデアにより、イントロとサビで「B♭」に、ラストのサビで「C」に転調するアレンジが加えらました。
では何故転調させる必要があったのか？
あくまで独自の考察ですが、この曲は意識して聴くと分かるように、Aメロとサビのメロディーラインのリズムがほとんど同じです。
本来であればサビらしいインパクトを出すためにこのような構成は避けたいところ。
しかしこの曲ではしっかりとサビらしいインパクトがあります。
それが、小林さんのお得意の「転調マジック」の効果なのでは？と感じました。
やはり小林さんプロデュースの力は侮れませんね。
ちなみに中川さんはこの曲をレコーディングした時「これはシングルだなって感じがあった」1とコメントされていました。
アレンジ
ピアノの伴奏メインで1コーラス、その後バンドサウンドになる王道パターンですが、中川さんのベースラインがかなり際立っています（木魚のような音の打ち込みも目立ちますが）。
イントロではピアノとユニゾン、Bメロではコードの構成音をメロディアスに弾き、サビでは16分のリズムを加えたりと盛りだくさんです。
そんな風にベースラインに注目して聴くと楽しいです。
ちなみに2番のBメロでギターがベースと同じメロディーをなぞるところは個人的に大好きです。
そして一番の聴きどころはやはりラスサビの転調でしょう。
特に最後の方はベースもドラムも大暴れ。
『しるし』や『祈り ～涙の軌道』とはまた違った盛り上げ方ですね。
著名人の感想
Mr.Childrenを好きになったキッカケ。
コブクロ：小渕健太郎
ジャケットが格好良くて、すぐ買いました。
泣きそうになり、思わず拍手してしまった。
GACKT 自伝エッセイ『自白』より
こんな詩を書ける桜井くんに嫉妬した。
ライブ&テレビ披露
ライブ
- アマチュア時代に一度のみ渋谷La.mamaにて披露
- ’92 Your EVERYTHING TOUR
- ’92-93 Kind of Love TOUR
- X’masイベント at クラブ・チッタ川崎
- TVK.ライブトマト収録ライブ
- 平成鯱音楽サミット
- KIRIN SOUND TOGETHER POP HILL ’93
- TVK.LIVE 収録ライブ
- ’93 Versus TOUR
- 石川工業専門学校 （学園祭ライブ）
- ’94 Special Concert
- SOUND PARADISE ’94
- FM802 MEET THE WORLD BEAT 1994
- SOUND CONIFER 229
- SOUND BREEZE ’94
- ’94 tour innocent world
- 学園祭ツアー ’94
- STADIUM TOUR Hounen Mansaku 夏祭り1995 空(ku:)
- REGRESS OR PROGRESS
- すずきのすすきの
- “DISCOVERY”TOUR ’99
- Father & Mother SPECIAL LIVE Q
- Concert Tour Q 2000～2001
- 昭和女子大学 学園祭
- CONCERT TOUR POPSAURUS 2001
- Tour 2004 シフクノオト
- DOME TOUR 2005 ” I ♥ U “（弾き語り）
- ap bank fes ’07
- DOME TOUR 2009 ～SUPERMARKET FANTASY～（12/24 東京ドーム公演のみ）
- Shooting Live “SPLIT THE DIFFERENCE”
- ラッキーラクーンナイト5
- [(an imitation) blood orange] Tour
- DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25
- FATHER&MOTHER Special Live
- Tour 2018-19 重力と呼吸（台北公演のみ）
オススメ映像作品
regress or progress ’96～’97 IN TOKYO DOME
フロントメンバー3人が椅子に座ってのアコースティックな演奏！
すごく聴き心地が良くほっこりします♪
テレビ
1992年「テレビ神奈川（TVK）Live TOMATO」
1993年「NHK福島 MID NIGHT LIVE」
まとめ
Mr.Childrenでは珍しくシングルとアルバム同時リリースです。
どういう戦略があってリリース日を同じにしたのかは分かりませんが…例をあげるとB’zも初期の頃は何作品か同時リリースをしています。
そういう時代だったのか、レコード会社の事情なのか…カップリング曲がアルバムには未収録だったとはいえ、メリットはよく分からぬままです。（分かる人教えてください）
発売当時は一部のラジオを除いてほとんど話題にならず、売上は不調だったようです。
しかし今では誰もが知るラブソング定番曲となりました。
僕が初めて聴いたのは、ファンになって過去の作品を漁り出した頃。
「こんな名曲が潜んでいたのか」と感動したのを覚えています。
桜井さんはこの曲について当時のインタビューで「永遠に歌い続けられるラブソングが作りたいなと思って」とコメントされていました。2
実際にもう32年も歌い続けられていて、桜井さんの『抱きしめたい』への想いも、ほとんど叶っていると言っても良いのではないでしょうか。
そんな中で、2015年に平浩二のシングル『愛・佐世保』に収録されたカップリング曲『ぬくもり』の歌詞が、『抱きしめたい』に驚愕するくらい酷似（まるパクり）しているとされた、盗作問題もありました。
盗作したくなるくらい素敵な歌詞であることは理解できますが、ファンとしてとても腹立たしく、ミスチル本人たちも良い気持ちなど到底しなかったと思います。
しかも作詞家は「ミスチルもよく知らないし、『抱きしめたい』は全く知らない。だから盗作はしていない」などと認めなかった。
本当に許せない出来事です。
話がそれましたが、桜井さんの望む「永遠に歌い続けられるラブソング」にしていくのは僕たちです。
カラオケや結婚式など、どんどん歌って、どんどん聴いて、伝えて、次の世代にもその次の世代にも、残していけたら良いなと、いちファンとして思います。
【参考資料】
