Mr.Children「シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~」の解説と歌詞考察だよ♪
恋愛も人生も勇敢に立ち向かっていこう
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
9th Single | シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜 | 1995年8月10日 |
6th ALBUM | BOLERO | 1997年3月5日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 1992-1995 | 2001年7月11日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 2011-2015 | 2022年5月11日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
「ライブで盛り上がる曲」というコンセプトで制作されたんだよ!
でも「歌詞が何を言っているのかよく分からないから歌うのが恥ずかしい」という理由でライブではめったに演奏されることはなかったんだぜ。
シングルの売上金や印税は全て阪神・淡路大震災の義援金に充てられたのよ!
素敵だわ♪
なんとノンタイアップシングルの売上歴代1位だよ!
シングルジャケット情報
- タイトルの文字を書いたのはギター「田原健一」
- 「猿のような気持ちで、またゼロからリスタートしたい」という意味が込められている
- アートディレクター:信藤三雄
MV(ミュージックビデオ)情報
「富士急ハイランド」山梨県富士吉田市新西原5-6-1
(富士急行線「富士急ハイランド駅」)
・目黒のスタジオ
リーゼント風のヘアスタイルに伊達メガネ、その風貌はエルヴィス・コステロを意識したパロディです。
桜井さんがサーファー、他メンバーは猿になり、富士急ハイランドにかつて存在したダブル・ループというジェットコースターに乗って絶叫している場面が登場します。
Mr.Children 「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」 MUSIC VIDEO
タイトルについて
恋愛も人生も駆け引きの連続です。
そこに「どう勇敢に立ち向かっていけるか」ということを歌っています。
歌詞考察
1番 Aメロ(愛想なしの〜)
愛想なしの君が笑った そんな単純な事で
<出典>Mr.Children/シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~ 作詞:桜井和寿
遂に肝心な物が何かって気付く
主人公が気になるお相手は、無愛想な女性。
彼女に何か楽しいことがあったのでしょうか?
君はふと笑ったのです。
それだけの出来事で彼は”肝心な物”に気が付つきました。
“肝心な物”とは一体何なのでしょう?
近年では”ギャップ萌え”という言葉があります。
その”肝心な物”とは、本来の君の素顔を見たことで確信を得た「恋心」です。
1番 Aメロ2(打ち明け〜)
打ち明け話にあった純情を捧げたって奴に
<出典>Mr.Children/シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~ 作詞:桜井和寿
大人げなく嫉妬したりなんかして
君をこれまで以上に意識するようになった主人公。
「純情を捧げた奴」とは”初体験”の相手。
彼は彼女の初体験の相手を知ってしまったようです。
過去の恋愛事情などしょうがないことなのに、主人公はその”相手”を羨ましく思ってしまったのです。
1番 Bメロ(ねえ 等身大の〜)
ねえ 等身大の愛情で挑んでるのに
<出典>Mr.Children/シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜 作詞:桜井和寿
世間は暗い話題
彼は彼女にありのままの気持ちをぶつけることにしました。
でもそれが君に上手く伝わりません。
だから「恋愛なんてこんなもんだろう」「世間は暗い話題で溢れている」と言い聞かせて、”思い通りにいかないことが当たり前だ”と自分を慰めたのです。
1番 サビ(恋なんて〜)
恋なんて言わばエゴとエゴのシーソーゲーム
<出典>Mr.Children/シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~ 作詞:桜井和寿
いつだって君は曖昧なリアクションさ
友人の評価はイマイチでもShe So Cute
順番を待ってたんじゃつらい
勇敢な恋の歌
“シーソーゲーム”とは”追いつ追われつの大接戦”。
中々勝負のつかない試合のことを言います。
“エゴとエゴ”は”自分と相手”の主張を指します。
自分のエゴ→「相手に振り向いてほしい」という想い。
相手のエゴ→「曖昧な態度」で誤魔化していること。
つまり主人公は彼女を大好きで「自分に興味を持ってほしい」のだけれど、彼女は彼の等身大の愛情に「曖昧なリアクション」で返してしまうといこと。
“シーソー”は“テコの原理“で上下に動きます。
それを例えば親子がシーソーで遊んでいたと仮定しましょう。
当然シーソーはテコの原理で親の方へ傾いたまま全く釣り合いがとれません。
これを主人公と彼女に置き換えます。
気持ちが大きい方が主人公。
親→「主人公の気持ち」
子→「彼女の気持ち」
もちろんこれは主人公側にシーソーが傾きます。
要は気持ちのバランスが取れていない構図が出来上がってしまうのです。
では、どうすればシーソーが釣り合うようになるのでしょうか?
それは主人公が”シーソーの内側”まで行き、支点からの距離を短くするのです。
そうすることで二人の距離は少し縮まり、気持ちのバランスが取れてきます。
逆を言えば、前に進むという行動を起こさないと何も変わりません。
かといって進みすぎると今度はまたバランスが崩れてしまう。
なので、まず釣り合うようにすることが大事なのです。
もし彼女がシーソーの内側まで近づいてきてくれら、自分もまたもう少し進めばいい。
その駆け引きこそが”エゴとエゴのシーソーゲーム”なのです。
主人公はそんなバランスを合わせに前に進む勇気、”勇敢に立ち向かう心”を持ちたいと思っているのです。
2番 Aメロ(劣等感を〜)
劣等感を逆手にとってわがままばかりの君が
<出典>Mr.Children/シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~ 作詞:桜井和寿
隠し持った母性本能は凄い
「私は無愛想だから…◯◯が苦手だから…」
そんな彼女を甘やかしてしまう自分がいます。
その弱音は単なるわがままなのかもしれません。
でも主人公は、君が人を優しく包み込む母性本能を隠し持っていることを知っています。
2番 Bメロ(ねえ 変声期〜)
ねえ 変声期みたいな吐息でイカせて
<出典>Mr.Children/シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~ 作詞:桜井和寿
野獣と化してAh Ah
主人公の欲望です。
2番 サビ(何遍も〜)
何遍も恋の辛さを味わったって
<出典>Mr.Children/シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~ 作詞:桜井和寿
不思議なくらい人はまた恋に落ちてく
運命のイタズラってやつも考慮して
照準を絞ってステップアップしたい
そう祈って眠るだけ
恋の終わりは本当に辛いもの。
「二度と人を好きにならない」と心に決めても、どうせまた恋をしてしまいます。
(これは後述のアダムとイブの話に繋がります。)
主人公は今、君への恋に勇敢に立ち向かえるよう、全力を注ぎたい想いがあります。
今後、運命による様々な障害はあるでしょう。
それでも”君への恋”に照準を絞って、関係をステップアップさせていきたいと祈るのです。
Cメロ1.2.(アダムとイブの〜)
アダムとイブの時代から
<出典>Mr.Children/シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~ 作詞:桜井和寿
流れくる我らの血潮
愛の神秘に魅せられて
迷い込む恋のラビリンス
シーソーゲーム 世界中の誰もが
シーソーゲーム 業の深い生命体
シーソーゲーム 過ちを繰り返す人生ゲーム
シーソーゲーム
「アダムとイブ」のお話をします。
まず神様はアダムを創り、その後イブをアダムのあばら骨から創りました。
二人が住んでいるのはエデンの園。
何不自由ない楽園で暮らしていく為に、神様は二人にルールを課します。
それは「中央にある樹になる実を食べてはいけない。食べたら死んでしまうよ」というもの。
その実はいわゆる”知恵の実”や”知識の実”と呼ばれている「禁断の果実」です。
しかし悪魔の化身である蛇が現れ「この実を食べると賢くなって、神様のようになれますよ」とイブをそそのかし、イブはその実を口にしてしまいます。
そしてイブはその果実をアダムにも勧めて、アダムも禁断の果実を食べてしまいます。
すると二人は急に自分たちが裸であることが恥ずかしくなり、葉っぱを腰に巻いてその羞恥心を隠しました。
他の動物を思い浮かべて下さい。
人間以外には他者の目を気にして羞恥心を抱く動物はいません。
つまりその”羞恥心”こそが罪を犯した罰なのです。
約束を破ってしまったアダムとイブはもちろん神様から問い詰められます。
「何故食べてしまったのだ?」
するとアダムは「イブが勧めたから食べたんです」
イブは「蛇が勧めたから食べたんです」
と、お互いに責任転嫁を始めるのです。
この「押し付け」も一つの罪。
そんな言い訳が神様に通じるわけもなく、エデンの園から二人は追放されてしまいました。
更には”永遠の命”さえをも失ってしまいます。
そんな罪が罪を重ね、罪を繰り返してしまうのが人間であり「業の深い生命体」。
それが【過ちを繰り返す人生ゲーム】なのです。
禁断の果実を食べてしまったことにより、お互いを異性と意識するようになった二人。
そこから恋が生まれたと言われております。
人類は罪、過ちから始まり、成り立っているとしたら、その重い罪を積んだシーソーは「罪」へ傾いたまま。
だからその片側には「善」を置いてバランスをとっていく。
これこそ「人生」の「シーソーゲーム」であるのです。
ラスサビ(恋なんて〜)
恋なんて言わばエゴとエゴのシーソーゲーム
<出典>Mr.Children/シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~ 作詞:桜井和寿
図に乗って君はまたノーリアクションさ
何遍も恋の苦さを味わったって
不気味なくらい僕は今恋に落ちてく
愛想が尽きるような時ほどShe So Cute
お望み通りUp Side Down
勇敢な戦士みたいに愛したいな
君への恋愛感情はどんどん大きくなります。
相変わらずわがままな君。
無愛想な君。
でも主人公はそんな君が可愛くて、大好きなのです。
釣り合わない”エゴとエゴ”。
迷い込んだ”恋のラビリンス”。
無謀な挑戦なのかもしれません。
Up Side Downは「逆さま」という意味。
主人公は勇敢な戦士をイメージしながらこの恋の『逆転劇』を起こしたいと思うのでした。
聴きどころ
メロディー
MVをはじめ楽曲自体が「エルビス・コステロ」を意識しています。
きっかけは、昔から声が似ていると桜井さん本人が言われたことから。
歌録りではマイクを3本用意して3本に向かって一度に歌い、その後聴き比べてどれが一番コステロっぽいかを探りながらレコーディングされたそうです。
歌詞とメロディーのフィット感も抜群で、詰め込んだ譜割ではありますが、耳に違和感なく入ってきます。
何より「シーソーゲーム〜♪」というフレーズが「ミ-レ-ミ」の旋律と完全にマッチしています。
そのキャッチーさも売れた要因の一つではないでしょうか。
個人的には「世界中の誰もが〜」からのセクションを歌うのが苦手です。
アレンジ
桜井さんがデモの段階で全体の構成をほぼ仕上げたそうです。
なので小林さんはそこまで手を加えていません。
というのも、この頃から桜井さんはデモ制作を自分が主導権を握るようになったからです。
詳細はこちら↓の動画の目次「不仲説」にて解説。
個人的に好きなアレンジが2つあります。
①ラスサビ直前のクイ。
ベース以外がブレイクするところ。
半拍早くサビに入るのが、カラオケなどで歌う時に気持ちがいいです。
②オブリガード
“オブリガード”とは主旋律に対するカウンターメロディーのこと。
サビの「言わばエゴとエゴのシーソーゲーム」の後に入るギターのフレーズがその一つです。
ブラスやストリングス主体ですがバンド感もあり、Cメロ、Dメロで大きく展開を変えるとこなど、ドラマチックですごく完成されたアレンジだなと思います。
著名人の感想
歌手の絢香さんがアルバム『遊音倶楽部 ~1st grade~』でカバーをされています。
よく口ずさんでます。
スピッツ:草野マサムネ
ライブ&テレビ披露
ライブ
- STADIUM TOUR Hounen Mansaku 夏祭り1995 空(ku:)
- REGRESS OR PROGRESS
- ap bank fes’06(Bank Band×スキマスイッチ)
- “HOME” TOUR 2007 -in the field-
- ap bank fes ’12 Fund for Japan
- DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25
- Reborn-Art Festival × ap bank fes 2017
- Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス
- 日比谷音楽祭 2023
オススメ映像作品
Mr.Children”HOME”TOUR 2007 ~in the field~
約10年半ぶりに披露され、この時の衝撃は今でも忘れません。
テレビ
- 1995年6月9日「FAN」
- 1995年7月24日「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」
- 1995年8月4日「MUSIC STATION」
- 1995年8月19日「COUNT DOWN TV」
- 1997年3月17日「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」
まとめ
個人的な話ですが、僕が生まれて始めて買った(買ってもらった)Mr.ChildrenのCDです。
当時小学生だったのですが、このシングル欲しくて欲しくて、近くのCDショップを探し回ってもどこも完売で、親の車で色々周ってやっと買えたという思い出があります。
この曲はノンタイアップシングルの売上歴代1位を記録したというのはご存知の方も多いと思います。
その記録の凄さというのを侮ってはいけません。
この頃はSNSやYouTubeなどもちろんなく、大きな情報源がテレビ、ラジオ、雑誌くらいでした。
もちろん1番のプロモーションとなるのはテレビです。
歌番組にこそ出演していましたが、タイアップなしというのは今と比べて、ファン以外の方が曲に触れる機会が本当に少ないです。(聴きたいと思ってもCDを買う・借りるしかない)
その中でこれまでの日本の全CDシングルで一番の売上を叩き出したのは、人気だけではなく楽曲のクオリティの高さを物語っているように感じます。
ライブでの盛り上がりは言うまでもないですが、年代関係なくカラオケでも盛り上がります。
大人数でのカラオケでミスチルを歌うなら、今でこそ「HANABI」が鉄板なのかもしれません。
でもその次は?となるとやはり「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」ではないでしょうか。
みんなが知っているフレーズがあり、みんなで歌えて盛り上がります。
当時タイアップがあったとしたらどれだけ売れていたのだろう?と思うと想像もつきません。
Mr.ChildrenとしてだけではなくJ-POP界ポップソングの中で、一生歌い続けられる楽曲の一つであると思っています。