Mr.Children「逃亡者」の解説と歌詞考察だよ♪
喜びを守りながらも慎重に前に進んでいくこと
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
3rd ALBUM | Versus | 1993年9月1日 |
作詞:小林武史/作曲:小林武史/編曲:小林武史&Mr.Children
アルバム『Versus』累計売上:80.2万枚
豆知識
ドラムの「鈴木英哉」がボーカルを担当しているよ!
Mr.Childrenの作品(インストを除く)では唯一、桜井さんが作詞作曲に関わっていないんだぜ。
JENはヒルトン東京の浴衣を着用して歌入れを行ったらしいわ♪
相変わらずね!
アルバムジャケット情報
- 撮影場所:沖縄(コンセプトは特にない)
- アートディレクター:信藤三雄率いるContemporary Production
- 撮影:藤代冥砂
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて
学んだこと、経験したことを引き連れて、悲しみや苦しみに見つからないように明日へ逃げ込む逃亡者です。
歌詞考察
1番 Aメロ(最初に〜)
最初に思い出すのは 公園の夕暮れ
<出典>Mr.Children/逃亡者 作詞:小林武史
迷子になって泣いたあとの 静かな午後
やさしい言葉をかけてくる 大人たちの中で
僕は人生のサイズを感じた
主人公は子供の頃、夕暮れの公園で迷子になり泣いていたことを思い出します。
その時、「どうしたの?」「大丈夫?」と”やさしい言葉”をかけてくる大人たちがいました。
そこで主人公はこう思います。
「あ、こういう時は優しい言葉をかけてあげればいいんだな」
そんな学びがあったのです。
次は別の回想シーンへ移ります。
1番 Aメロ2(あれこれ〜)
あれこれ考えてみても始まらないわ、と
<出典>Mr.Children/逃亡者 作詞:小林武史
彼女が去って行ったのは もう2年も前
やさしい言葉の一つでもかけようとしたけど
だまってるしかないと 気づいたんだ
ここでは”2年前の彼女との別れ”を振り返ります。
「あれこれ考えても始まらないわ」という捨て台詞で別れを切り出されました。
彼女は主人公に不満があり、ここで決断しないと自分は幸せになれないと考えたのでしょう。
去っていく彼女に対し、なんて言ったらいいのか分からない主人公。
そこで子供の頃学んだ体験を元に「やさしい言葉」をかけようと思いました。
でも思い留まります。
「ここは何も言わず、別れを受け入れた方がいいのではないか?」
「黙っていたままが正解なのでは?」
と気づいたのです。
1番 サビ(いつまでも〜)
いつまでもいつまでも 一緒だったらうれしいけど
<出典>Mr.Children/逃亡者 作詞:小林武史
どこまでもどこまでも 一人きりだと思う時がある
薄暗い明日に向かう逃亡者
恋人や友達といつまでも一緒にいられることは幸せです。
でも必ずどこかで別れは訪れるもの。
であるなら結局「自分はずっと一人なんじゃないか?」と思ってしまいます。
主人公はそんな不安を抱えながらも「明日になれば何かが変わるかもしれない」という微かな希望を頼りに、現実からの逃げ道を作りながら今日を生きているのです。
2番 Aメロ(ところは〜)
ところは変わって 目の前で君が笑うよ
<出典>Mr.Children/逃亡者 作詞:小林武史
くったくがないのか 何も考えてないのか
やさしい空気がここにホラ 流れこんできてる
君のまんまで認めてしまってる
主人公の現在。
今、目の前には幸せそうな笑顔の君がいます。
これまでは“やさしい言葉”で不安を取り除こうとしてきた主人公。
でも今は既に“やさしい空気”が流れ込んできています。
あれこれ考える必要などなく、飾らずに感じる幸せがあることに気が付きました。
2番 サビ(喜びは〜)
喜びは 喜びはここにあるから大丈夫だ
<出典>Mr.Children/逃亡者 作詞:小林武史
悲しみは そこら中に転がっている 地雷の様に
踏まないように後をついておいで
幸せや喜びは今確かにここにあるのかもしれない。
でもいつどこで悲しい出来事に遭遇するかは分かりません。
やさしい空気が地雷で吹き飛んでしまわぬように、主人公が先陣を切ります。
二人の喜びを守りながらも、慎重に前に進んでいかなければならないのです。
ラスサビ(いつまでも〜)
いつまでもいつまでも 一緒だったらうれしいけど
どこまでもどこまでも 一人きりだと思う時がある
薄暗い明日に向かう逃亡者逃亡者
<出典>Mr.Children/逃亡者 作詞:小林武史
至る所に地雷(絶望や悲劇)は転がっています。
いつまでも一緒にいられることが絶対ではありません。
何も見えない明日へ「逃亡者」の様に慎重に一歩を踏み出していかなければならない。
それが一つの生きる術なのかもしれません。
聴きどころ
メロディー
コミカルで単調なメロディーで、まさにJENの為に作られたという印象です。
楽譜も見てみましたが、小林さんが作ったとは思えないほどコードに沿った歌いやすいメロディーでした。
語る必要がないくらいシンプルです。
歌入れの時にJENは「逃亡者〜♪」を「ウーロン舎〜♪」と変えて歌ったりと相変わらずふざけていたそうです(笑)
アレンジ
JENの陽気で能天気な性格をアレンジにも寄せてきているように思います。
もう一つのJENボーカルの楽曲『思春期の夏 〜君との恋が今も牧場に〜』もそうですが、ドラマーがボーカルの曲ということでドラムを全面に押し出すわけでなく、あくまでキャラクターを活かした作品に仕上がっています。
そんなリスナーを楽しませられるJENというキャラクーも、Mr.Childrenの魅力の一つですね。
ライブ&テレビ披露
ライブ
- ’93 Versus TOUR
- ’95 Tour Atomic Heart
- THE SECRET LIVE
’95 Tour Atomic Heartでは曲の前に桜井さんとJENがダンスを披露。
ツアー前に2人の先生に付いてステップを1時間練習したそうです。
2人が踊るシーンでは田原さんが「マラカス」中川さんは「タンバリン」を演奏していて、JENが『逃亡者』を歌い出すと桜井さんが「リコーダー」と「コーラス」を担当するといったライブでした。
オススメ映像作品
現在映像収録作品はございません。
テレビ
- なし
まとめ
タイトルが『逃亡者』ということで「深く重い曲かな?」と思いきや、再生ボタンを押すととても陽気なイントロが流れてきて拍子抜けしてしまうような楽曲。
更に聞き進んでいくと「桜井さんの声じゃない!?」というインパクト。
初めて聴いた時はびっくりしました。
デビューして間もないからこそのエンターテインメントではないでしょうか。
今ではMr.Childrenの世間からの価値観とか期待感が、この頃とは全く別のものになっています。
だからこそ成し得た遊び心なのかなと思います。
『逃亡者』というタイトルなだけあって、作詞・作曲・歌、これまで携わってきた全てから解放された、桜井さん自身が逃亡者なのかもしれないですね。(なんちゃって)