【ファスナー】完全解説+歌詞の意味/Mr.Children

IT'S A WONDERFUL WORLD
チルカン
チルカン

Mr.Children「ファスナー」の解説と歌詞考察だよ♪

ポイント

世の中には知らないフリをした方が良いこともある

楽曲紹介

楽曲収録CD

概要収録作品発売日
10th ALBUMIT’S A WONDERFUL WORLD2002年5月10日
37th Singlehimawari2017年7月26日

作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿

豆知識

チル鶏
チル鶏

この楽曲をモチーフにした劇場用中篇映画『FASTENER』のテーマ曲として起用されたよ♪

チル鶏ブラック
チル鶏ブラック

桜井さんは「この曲はスガさんの遺伝子が入っている」と公言するくらいスガシカオさんにインスパイアされてるぜ。

チル鶏子
チル鶏子

桜井さんとスガさん二人が歌っているVer.がスガシカオさんのベスト・アルバム『SugarlessII』にも収録されてるわ♪

チルカン
チルカン

元々『君が好き』のカップリング候補でもあったんだよ!

アルバムジャケット情報

created by Rinker
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  • デザイン(地球から植物が育っている)が決まるまでかなり時間のかかった作品
  • 地球環境を意識している
  • ジャケットは絵に見えるが実は写真を加工したもの
  • 歌詞カードのブックレット写真のイメージは「エデンの園」
  • アートディレクター:信藤三雄

MV(ミュージックビデオ)情報

撮影場所

なし

ミュージックビデオはございません

タイトルについて

人間の二面性のメタファーとしての「ファスナー」

作中「3つのファスナー」が出てくるので、そこに注目しよう!

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歌詞考察

1番 Aメロ(昨日 君が〜)

昨日 君が自分から下ろしたスカートのファスナー
およそ期待した通りのあれが僕を締めつけた

<出典>Mr.Children/ファスナー 作詞:桜井和寿

女性がスカートのファスナーを下ろし、夜を共にした主人公。
そのまま読むと大人の体験を描く一節に過ぎませんが、全ての歌詞を読んだ前提として解説します。

スカートのファスナーを下ろした先に見えたのは、彼女がこれまで主人公に見せていなかった一面です。
彼女は自らその一面を見せてきました。

「およそ期待した通り」とあるように、主人公はある程度その一面がどういうものなのか予想はできていたのです。

1番 Bメロ(大切に〜)

大切にしなきゃならないものが
この世にはいっぱいあるという
でもそれが君じゃないこと
今日 僕は気付いてしまった

<出典>Mr.Children/ファスナー 作詞:桜井和寿

世の中には大切にしなきゃならないもの、既に大切にしているものが沢山あります。
でも何かをきっかけにその奥まで足を踏み入れることにより知り得てしまう事実があります。

それが今回、スカートのファスナーだった。

例えば付き合っていた彼女と同棲を始めた。
すると好きだった相手の性格や価値観にこれまでの認識とズレが生じてしまう。

同じように主人公は彼女の奥を知ってしまったことにより「この人は違う」と確信したのです。

しかしそのスカートのファスナーは、主人公が「2つ目のファスナー」の存在を知るきっかけに過ぎません。

1番 サビ(きっと ウルトラマンの〜)

きっと ウルトラマンのそれのように
君の背中にもファスナーが付いていて
僕の手の届かない闇の中で
違う顔を誰かに見せているんだろう
そんなの知っている

<出典>Mr.Children/ファスナー 作詞:桜井和寿

ここで2つ目の「ファスナー」が登場します。

一線を越えることで気付くものがありました。
それはウルトラマンのように背中にもファスナーがあったとしたら。

このファスナーを下ろすとどんな君がいるのか?

それは「僕に見せる顔」と「別の誰かに見せる顔」。
人間の二面性、多面性です。

職場や学校での自分と家庭での自分が明らかに違うように、僕の知らない君がいる。
別の場所ではその場に合わせた顔があるのだと。

今の彼女は主人公専用の被り物をしているのかもしれません。

2番 Aメロ(帰り際 リビングで〜)

帰り際 リビングで僕が上げてやるファスナー
御座なりの優しさは 今一つ精彩を欠くんだ

<出典>Mr.Children/ファスナー 作詞:桜井和寿

1番と同じ様に描写は生々しいものです。

翌朝彼女のファスナーを上げる。

「君じゃない」ことに気付き、更に背中のファスナーに勘付いた後のその優しさはその場限りの優しさであり、精彩を欠く演技でしかない。

背中にあるであろう余計なファスナーを探ったりはせず、知らなきゃよかったスカートのファスナーはそっと上げる。

世の中には「知らない方が良かったこと」「知らないフリをした方が良いこと」もあるのです。

2番 Bメロ(欲望が〜)

欲望が苦し紛れに
次の標的(ターゲット)を探している
でもそれが君じゃないこと
想像してみて少し萎えてしまう

<出典>Mr.Children/ファスナー 作詞:桜井和寿

“彼女は自分が求めた人ではなかった”
それに気付きながらも、すぐさま次のターゲットを探しています。

主人公の求める欲望とは、一度は大切に思っていた彼女がいなくなった寂しさによるものです。

それ故、寂しさを紛らわすことのできる標的を探しています。
「人」ではなく「標的」です。
つまり次に何が欲しいのかは分からないけど、欲望という名の寂しさが「次」を探してしまう。

「次」はもう「君じゃない」ことを想像するとまた悲しくなってきたのです。

2番 サビ(もしも ウルトラマン〜)

もしも ウルトラマンのそれのように
総ての事にはファスナーが付いていて
僕が背中見せているその隙に
牙を剥くつもりでも 信じてみる値打ちは
あると思えるんだ

<出典>Mr.Children/ファスナー 作詞:桜井和寿

もし彼女の様に世の中総ての事にファスナーが付いているとしたら?と主人公は思い至ります。

この世界の全てには多面性がある。
見えない部分がどんなものであったとしても、信じてみたいと主人公は思います。

それは例えば、僕らも子供の頃信じていたヒーローが被り物だと知った時、一度ショックは受けたけど今では受け入れることが出来ています。

そしてそのファスナーは…?

3番 サビ(きっと 仮面ライダー〜)

きっと 仮面ライダーのそれのように
僕の背中にもファスナーが付いていて
何処か心の奥の暗い場所で
目を腫らして大声で泣きじゃくってるのかも

<出典>Mr.Children/ファスナー 作詞:桜井和寿

ファスナーは僕の背中にも付いているのかも?

そのファスナーの中には、僕自身すら知らない弱さがあるのかもしれない。
今は着ぐるみを着て強がっているだけで、心の奥の自分は泣きじゃくっているだけの弱い人間なのかもしれない。

ラスサビ(きっと ウルトラマンの〜)

きっと ウルトラマンのそれのように
君の背中にはファスナーが付いていて
僕にそれを剥がし取る術はなくても
記憶の中焼き付けて
そっと胸のファスナーに閉じ込めるんだ


惜しみない敬意と愛を込めてファスナーを…

<出典>Mr.Children/ファスナー 作詞:桜井和寿

君のファスナーを改めて思い返します。

君の背中にはファスナーがあり、僕がどうこう出来るものではない。

ここで3つ目の「ファスナー」が出てきます。

君に裏の姿があったとしても、その事実を無理に暴こうとはせずそっと胸のファスナーに閉じ込めます。

ウルトラマンや仮面ライダーの背中にファスナーがあるなんて知らない方が幸せだった。
でも知らないフリをして信じてみるだけの値打ちがそこにはあります。
その存在自体に敬意を払い、愛を込めて胸のファスナーに仕舞うのです。

世の中には「知らない方が良かったこと」「知らないフリをした方が良いこと」もある。

それらを受け入れて、「人」や「モノ」そのものに敬意を払い接していこうと思うのでした。

聴きどころ

メロディー

最初に曲が出来た時、桜井さんは駄作だと思って捨て曲にしようとしたそうです。

しかしメンバーに絶賛され、最終的に「自信も絶賛する歌詞」を書き上げ、シングル候補まで上り詰めたそうです。

サビの2小節目が個人的に大好きです。
コードが1小節丸々「D♯dim」という和音が使われています。
メロディーとコードが絶妙にぶつかるかぶつからないかで上下しているのが、逆に気持ち良く僕は感じます。

アレンジ

  • 原曲Key=G
  • BPM(テンポ)116

桜井さん以外のメンバー3人はレコーディングに参加していないそうです。

アコギ/打ち込み/シンセ/ストリングスという構成です。

あまり起伏のないアレンジですが、淡々と刻むアコギに色を付け足すようなストリングスがいい感じに耳に入ってくる心地良さがあります。

特にそのストリングスに関してですが、サビで裏にアクセントを置いた演奏が味になっています。
是非また意識して聴いてみて下さい。

著名人の感想

コード進行が俺風な分、譜割が全然自分と違うので、最初は逆にめちゃくちゃ歌いずらかった。

スガシカオ

ライブ&テレビ披露

ライブ

  • WONEDERFUL WORLD on DEC 21
  • DOME TOUR 2005 “I ♡ U”
  • Tour 2009 ~終末のコンフィデンスソングス~
  • Split the Difference(スタジオライブ)
  • SUGA SHIKAO 20th Anniversaryスガフェス!~20年に一度のミラクルフェス~
  • Hall Tour 2017 ヒカリノアトリエ(一公演のみ)

オススメ映像作品

Mr.Children Tour 2009 ~終末のコンフィデンスソングス~

「ファスナー」は誰がなんと言おうと「終コン」です!アレンジが原曲と違い、より歌のメッセージが乗っかるものになっています。鳥肌ヤバイです。

テレビ

  • 2002年5月10日「FUN」
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まとめ

この曲の制作秘話をご紹介します。
きっかけは、デパートの屋上のウルトラマンショー。

桜井「ウルトラマンのファスナー、非現実的なファスナーから、世の中の全てのことってファスナーがついていてっていう広がりを、ファスナーというキーワードをもとに広げて詞を作るというのは、これはアイデイアとしていいやと思って、一度とっておいた」

そして『君が好き』のカップリングを決める頃…。

「僕、風邪ひいたんですよ。もちろん嫁は子供につきっきりで僕のことに構えるわけもなく。僕はコンビニで中華井のお弁当を買い、スタジオに行く前に自分の家でレンジでチンして、温まったやつをタクシーの中で食ってたんですよ。『ああ、カップリング作んなきゃなぁ…』って思いながら。でも熱、相当あって。「あ、そうだ、あのファスナーの話!」と思って、食いながらなんか、『あ、いいぞ。ファスナー、ファスナー・・・・・そうか、女のスカートのファスナーから世の中まで広げていくと?』みたいなことで、メロから全部、パーッてできていったんですよ、そのタクシーの中の40分、1時間ぐらいで」

そんな感じで、意外にも一瞬で出来た曲だそうです。

「ファスナー」とは、人の多面性を描いていました。

子供は知ったかぶりをする。
大人は知らないフリをする。


そんな大人と子供の境目に、主人公はいるのです。
そして「知りたくなかった事実を”そっと胸のファスナーに閉じ込める”」という「生きていく上でのすべ」を体得したんですね。

発売当初は桜井さんは、この曲についてこう語っています。
「過去のどの作品よりも上手くかけた歌詞」
「シングルで出したかったくらい上手くかけた」

とコメントされていました。
本当に歌詞の着眼点が素晴らしいですね。

あまり人にオススメできない表現が含まれておりますが、Mr.Childrenメッセージソングの一つですね。

余談ですが桜井さんは奥さんに、「歌詞の『あれ』って何?」って聞かれた時、 “そのまま”答えたらガッカリされたそうです。

YouTube版楽曲解説
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