Mr.Children「星になれたら」の解説と歌詞考察だよ♪
輝くあの星(夢)を目指して
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
2nd ALBUM | Kind of Love | 1992年12月1日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 1992-1995 | 2001年7月11日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿・寺岡呼人
豆知識
後にドラマ『若者のすべて』の挿入歌になったんだよ!
曲は「元JUN SKY WALKER(S):寺岡呼人」さんとの合作だったな。
2022年「ユーキャン」テレビCMで杏さんがカバーしたのも記憶に新しいわ♪
アルバムジャケット情報
- 真ん中の帽子を持っているのはJENの手
- 「What a Kind of Love Do You Like?」信藤さんが足したもの
- アートディレクター:信藤三雄率いるContemporary Production
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて
仮タイトルは『JR』。
JR東海のCMをイメージして作られた。
動き出した夢の行き先は「星」のように遠い山の向こうにある。
歌詞考察
1番 Aメロ(この街を〜)
この街を出て行く事に
<出典>Mr.Children/星になれたら 作詞:桜井和寿
決めたのは いつか 君と
話した夢の 続きが今も
捨て切れないから
生まれ育った街を離れる。
それは人生を大きく左右する決断です。
いつも傍にいる家族や友人は、知らず知らず自分を支えてくれています。
悩みを聞いてくれたり、恋の相談にのってくれたり、大きな夢の話を聞いてくれたり…。
共に成長してきた仲間がいる場所。
主人公はそんな住み慣れた街を出て行く事に決めました。
この街を離れないと実現できない夢があるからです。
大切な人と離れてでも、叶えたい夢があるのです。
とはいえその決断に至るまでには、少々時間がかかっていたようです。
1番 Aメロ2(何度も〜)
何度も耳をふさいでは
<出典>Mr.Children/星になれたら 作詞:桜井和寿
ごまかしてばかりいたよ
だけど 今度はちょっと違うんだ
昨日の僕とは
主人公はすぐに街を離れる決断ができず、慎重になっていました。
自分の本当の気持ちに耳をふさぎ、何度も諦めようとしていたのです。
「どうせ叶えられない…」
「きっと笑い者にされる…」
慎重になればなるほど、迷いや不安は大きくなります。
だけど、ついに覚悟を決めたようです。
夢に向かう心の準備は整いました。
昨日の僕とは違います。
さぁ!出発だ。
1番 Bメロ(こっそり〜)
こっそり出てゆくよ
<出典>Mr.Children/星になれたら 作詞:桜井和寿
だけど負け犬じゃない
もう キャンセルもできない
“こっそり出てゆく”
それは尻尾を巻いて逃げていくわけではありません。
賽は投げられた。
主人公は後戻り出来ないように、引くに引けない状況を自ら作り出したのです。
当日ホテルを予約するようなもの。
もうキャンセルは出来ません。
1番 サビ(さようなら〜)
さようなら 会えなくなるけど
<出典>Mr.Children/星になれたら 作詞:桜井和寿
さみしくなんかないよ
そのうちきっと 大きな声で
笑える日が来るから
動き出した 僕の夢 高い山越えて
星になれたらいいな
主人公はこの街に「さようなら」をしました。
“会えなくなるけど さみしくなんかない”
これは決して強がりなんかではありません。
では何故こんなにも強い気持ちを持てるのか?
それは自分自身を信用しているからです。
主人公は未来を約束します。
「そのうちきっと 大きな声で 笑える日が来るから」
言い聞かせているのではなく、決意です。
彼は遠い空を見ています。
動き出した夢の行き先は、星のように遠い山の向こう。
輝くあの星を目指して、主人公は歩き出します。
2番 Aメロ(何かに〜)
何かに つまづいた時は
<出典>Mr.Children/星になれたら 作詞:桜井和寿
空に手をかざしてみよう
この風は きっとどこかで君と
つながっているから
街を離れた主人公。
決断を下したはいいものの、旅に不安やトラブルはつきもの。
ホームシックになるかもしれない。
生活が苦しくなるかもしれない。
でも何があってもみんな同じ地球の上。
空に手をかざせば、きっと同じ風に吹かれている。
同じ時を生きている。
例えつまづいても、その感覚が常に自分を支えてくれているのです。
2番 Bメロ(呼んでる〜)
呼んでる声がする
<出典>Mr.Children/星になれたら 作詞:桜井和寿
だけど帰りたくない
笑われるのにも 慣れた
新しい街に移ると、元いた場所と比較してしまいます。
もちろん良い所もあれば悪い所もある。
でもやはり”住み慣れた場所の思い出”は強い。
「戻りたい」と思うことはあります。
“呼んでる声”とはそんな”悪魔の囁き”。
だけど今の主人公は、耳をふさいで誤魔化していたあの頃とは違います。
語る夢が大きければ大きいほど、笑われていたのかもしれません。
でも「もう笑われたっていい」。
真っ直ぐにあの星を目指す決心はついています。
2番 サビ(長く助走を〜)
長く助走をとった方が
<出典>Mr.Children/星になれたら 作詞:桜井和寿
より遠くに 飛べるって聞いた
そのうちきっと 大きな声で 笑える日が来るはず
動き出した僕の夢 深い谷越えて
虹になれたらいいな
谷があるから山がある。
そして深い谷であればあるほど、目の前の山は高くなります。
それはきっと自分への試練。
辛く険しい道のりかもしれないけど、頂上には素敵な景色が待っています。
いや、頂上には何もないのかもしれない。
でも、登り切ればきっと大きな声で笑えるはず。
高ければ高い”山”の方が登った時気持ちいい。
そのような言葉を誰かが歌っていたような…。
「長い助走」つまり“辛い試練”を乗り越えればきっと大きな成果に結びつく。
主人公は弧を描く虹のように、この谷を越えていきたいと考えています。
ラスサビ(さようなら〜)
さようなら 会えなくなるけど
<出典>Mr.Children/星になれたら 作詞:桜井和寿
さみしくなんかないよ
そのうちきっと 大きな声で
笑える日が来るから
動き出した 僕の夢 高い山越えて
星になれたらいいな
虹になれたらいいな
後戻りはしない。
でも帰る場所はちゃんとあります。
それはいつか思いっきり大きな声で笑い合える場所。
笑い合える家族、仲間、恋人。
その日まで山を越え谷を越え、主人公はあの星に届くまで走り続けるのでした。
でもね、頑張る彼はもう既に、星のように輝いています。
聴きどころ
メロディー
「星になれたら」は「作曲」つまり”メロディー”が桜井さんと寺岡呼人さんとの合作です。
とあるラジオで、二人がそれぞれどのパートを制作したのかを振り返っていましたので、まとめました。
Aメロ→寺岡
Bメロ→桜井
サビ前半(さようなら〜笑える日が来るから)→桜井
サビ後半(動き出した~星になれたらいいな)→寺岡
ただご本人達も記憶が曖昧のようでしたので、実際がどうだったのかはわからないです。
パート毎にどちらが作ったのかを意識して聴くのも面白いですね。
アレンジ
イントロからキラキラした星をイメージしたような、ポップ色全開の音作りです。
特に中川さんのベースラインがとても軽快で、楽しそうな雰囲気がたまらないです。
個人的なお気に入りがサビの後半、「高い山 深い谷」の歌詞があるフレーズです。
その部分のコードが”クリシェ”という進行をしていて、「動き出し〜た♪」からベース音が半音づつ下っていき、「越〜えて〜♪」で高い音へ上がります。
まさに「深い谷」から「高い山」へ飛び上がるようなイメージで素敵です。
著名人の感想
歌手になりたいという夢を「星になれたら」を初めて聴いた頃から持っていて、カラオケでよく歌っていました。すごく夢に向かって頑張らなきゃという気持ちにさせてくれた、最高に好きな曲です。
CHEMISTRY:川畑要
東京に来て一人で寂しい時にわざと大きな声でこの曲を唄ったりして、寂しさを紛らわせてくれた思い出の曲。いっぱい勇気や元気をくれたこの曲に感謝感謝なのだ。
坂下千里子
大阪から上京する際、地元や家族から離れる不安な時に自分を奮い立たせるため、沢山聴いていました。
絢香
ライブ&テレビ披露
ライブ
- アマチュア時代(様々なイベントやライブハウスにて)
- ’92 EVERYTHING TOUR
- ’92 Your EVERYTHING TOUR
- ’92-93 Kind of Love TOUR
- X’masイベント at クラブ・チッタ川崎
- TVK.ライブトマト収録ライブ
- ’93 Versus TOUR
- 石川工業専門学校 (学園祭ライブ)
- ’94 Special Concert
- SOUND PARADISE ’94
- FM802 MEET THE WORLD BEAT 1994
- SOUND CONIFER 229
- SOUND BREEZE ’94
- ’95 Tour Atomic Heart
- STADIUM TOUR Hounen Mansaku 夏祭り1995 空(ku:)
- すずきのすすきの
- CONCERT TOUR POPSAURUS 2001
- “HOME” TOUR 2007 -in the field-
- STADIUM TOUR 2011 SENSE -in the field-
オススメ映像作品
Mr.Children”HOME”TOUR 2007 ~in the field~
曲中のブリッジにあたるフレーズを、ブラス隊によるアレンジでイントロに持ってくる追加アレンジがカッコいい!
テレビ
1992年「テレビ神奈川(TVK)Live TOMATO」
1993年「NHK福島 MID NIGHT LIVE」
まとめ
この曲が制作されたのは、デビュー前の1991年。
桜井さんが「元JUN SKY WALKER(S):寺岡呼人」さんのソロバンド「ヒズ・フレンズ」のツアーにメンバーの一員としてコーラスで参加したことがきっかけでした。
ツアーを一緒に回ることで二人は仲良くなり、寺岡さんの方から「一緒に曲を作ろうよ」と提案されたことが始まりだったそうです。
そこから寺岡さんは桜井さんを自宅へ招き、共に案を出し合いながらこの曲が生まれました。
初めて聴いた時は単純に曲が好きで、『Kind of Love』の中では一番聴いていたような気がします。
一般的にもアルバム曲の中では1.2を争うくらい知名度が高く、上京、卒業、恋愛など、別れや旅立ちの歌として共感できる人気曲ですね。
デビュー前からある曲ですが、もし合作でなければこの作品が”デビューシングル”になっていてもおかしくないくらい素敵な曲だなと思います。
歌詞考察では夢追い人の物語として解釈しましたが、状況によっては色んなシーンに当てはめることができると思います。
人生の中でどんな時でも、意図する別れや意図しない別れが訪れて、その都度つまづきながら、また寂しがりながら、新しい環境に慣れていかなきゃいけない。
そして辛いことがあればあるほど、その後の楽しみも大きなものになります。
例えばライブだってそうです。
チケットが取れて何ヶ月も待って、やっと来た当日の感動は待ち望んだ期間があったから。
長く助走をとった後の笑える日というのはそういうことでもあると思います。
でも毎回、さようならは必ずしなきゃいけない。
さようなら 会えなくなるけど
さみしくなんかないよ
ライブが終わったらまた会えなくなるけど、そのうちまた会える。
彼らが今後も元気に活動していてくれること、そして自分たちがその日まで頑張って暮らしていけることを願って、登った山をまた下ります。
いつまでも「Mr.Children」という名の遠い空の星を見上げながら、そこに向かってまた日々を頑張って生きていける。
それってすごく幸せなことだなと思いました。