Mr.Children「フェイク」の解説と歌詞考察だよ♪
偽物が偽物であることを全て受け入れること
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
30th Single | フェイク | 2007年1月24日 |
13th ALBUM | HOME | 2007年3月14日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 2005-2010<macro> | 2012年5月10日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 2015-2021 & NOW | 2022年5月11日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
手塚治虫マンガ映画原作の映画『どろろ』主題歌だよ♪
MVは映画公開中のみ『どろろVer.』が流されていたんだぜ。
シングルは40万枚限定生産だったわ♪
シングルジャケット情報
- 「フェイク」の「ェ」の文字だけがゴシック体で、それ以外の文字は明朝体となっている
- ジャケットの裏側は文字が反転していて、女性の口が偽物になっている
- アートディレクター:丹下紘希
シングルの『フェイク』にはシークレットトラックとして、インストが同じトラックに収録されています。なのでシングルの『フェイク』は9分51秒あります。
MV(ミュージックビデオ)情報
スタジオ
- クリエイター:丹下紘希
- 前作「しるし(同クリエイター作品)」が桜井さん一人の歌っている姿しかない為、その対としてメンバー全員が出演した。
- 女性が曲に合わせたダンスを踊っている。
- カット数は驚異の2000カット
Mr.Children 「フェイク」 MUSIC VIDEO
タイトルについて
この世の中は全て「フェイク」であり、それを信じて生きていくしかないということが歌われています。
桜井さんのコメント。
「映画の主人公は『本物』を探す旅をしています。でも…『本物』ってなんだ?そんな疑問がこの曲をつくるきっかけになっています。ありとあらゆるところに『本物ではないもの』が存在して、それを受け入れながら僕らは暮らしています。憂うでもなく、批判するでも肯定するでもなく、たくさんの嘘と矛盾を抱えたできそこないの一人として、そのことをただ『リアル』に音にしたかった」
歌詞考察
1番 Aメロ(言ってしまえば〜)
言ってしまえば僕らなんか似せて作ったマガイモノです
<出典>Mr.Children/フェイク 作詞:桜井和寿
すぐにそれと見破られぬように上げ底して暮らしています
言ってしまえば世の中のものは全て「偽物」だと歌っています。
一つの例を挙げると、人は誰しもが何かしら演じながら生きています。
友達に嫌われるのを怖がり、その友達が好きな自分を演じる。
上司に好かれようと愛想を振りまく。
男女問わず化粧というものも「本物ではないもの」となります。
それらの「言葉、モノ、コト」何もかもが偽物であり、嘘と見破られないように暮らしています。
1番 Bメロ(ほっぺたから〜)
ほっぺたから横隔膜まで誰かを呪ってやるって気持ち膨らまし
<出典>Mr.Children/フェイク 作詞:桜井和寿
「こんなんじゃ嫌だ!」って
苦肉の策を練ってなんとか今日を生きてるよ
「ほっぺたから横隔膜」
余談ですが↑のフレーズについて。
こちらは以前テレビ番組「アメトーク」にてチャンカワイさんが肉の部位の名称で面白い考察をされていました。
- 頬(ほっぺ)→ツラミ
- 横隔膜→ハラミ
- 呪う→ウラミ
要は焼肉で言うとフルコース。
つまりは「お前の全部を呪ってやる」ということでいいかと思います。
まず主人公は偽物ばかりの世界から抜け出したいと思っています。
そんな世界が嫌だから「誰かしら呪ってやる」と言う気持ちが膨らんでしまう。
だけど「こんなんじゃ嫌だ!」と叫ぶほどに抜け出したい。
でも「誰かを恨むのは違う」という葛藤が主人公の中にあるのです。
1番 サビ(虚しさを抱えて〜)
虚しさを抱えて 夢をぶら下げ 二階建ての明日へとTAKE OFF
<出典>Mr.Children/フェイク 作詞:桜井和寿
灰になっても
諦めちゃまた始めから出直したりして
まだ自分を嫌いになれずにいるみたいだ oh oh oh
体中に染みついている嘘を信じていく
偽物ばかりの世界から抜け出せない現状に、主人公は虚しさを抱えています。
そんな想いをぶら下げながらも、「二階建ての明日」へと飛び込みます。
「二階建て」という解釈難しいですが、恐らくただメロに対する語呂合わせで入れたものかと思われます。
仮に深読みするとしたら。
1階には「真実」である「明日」があり、2階には結局また「偽物」がある。
そんな板挟みの世界を表しているように僕は思います。
灰になるほどに諦め出直して、結局それでも嘘で固めた自分を認めながら生きていくしかないと思うのです。
2番 Aメロ(どれくらいの〜)
どれくらいのペースで行こう? まずは何番手に着こう?
<出典>Mr.Children/フェイク 作詞:桜井和寿
あれこれって知恵を絞ったあげくが裏目にでます
駆け引きです。
例えば自分が誰かと競争をしているとします。
スタートから飛ばしてしまうと、後から失速してしまいます。
だからとりあえず力を温存して、後で追い抜こうと思う。
しかし時既に遅く、トップの人に追いつけなくなっている。
そんな風にどうしたって裏目に出てしまい、結局どうすればよかったのかが分からなくなるのです。
2番 Bメロ(「愛してる」って〜)
「愛してる」って女が言ってきたって
<出典>Mr.Children/フェイク 作詞:桜井和寿
誰かと取っ替えのきく代用品でしかないんだ
ホック外してる途中で気付いていたって ただ腰を振り続けるよ
ここで嘘の対象が変わります。
「愛してる」という言葉も結局はただの言葉でしかなくて、実際の心はどうなのかなんて他人には分からないものです。
そのまま腰を振り続けるのは、嘘を気づかぬフリして暮らしているのが現状であるからなのです。
2番 サビ(寂しさを背負って〜)
寂しさを背負って 恋に繋がれ 地下二階の過去からTAKE OFF
<出典>Mr.Children/フェイク 作詞:桜井和寿
ハイエナのよう
つまずいて抜かれたけど びゅんと追い詰めて
ちょっと自分にプライドを取り戻せたのに oh oh oh
この手が掴んだものは またしてもフェイク
この「地下二階」も1番と同じ解釈をします。
「地下一階」に「愛してる」という言葉があり、その奥(地下二階)に嘘がある現状です。
嘘と分かりきった虚しさや寂しさを背負いながらも、恋という欲望に繋がれています。
更にハイエナが、弱った心につけ込んでくるように、自分も相手も嘘や偽物をあさりながら求めていく。
そして相変わらず抜け出そうとするけどまた偽物を掴まされてしまいます。
Cメロ(飛び込んでくる音〜)
飛び込んでくる音 目に入る映像
<出典>Mr.Children/フェイク 作詞:桜井和寿
暫く遮断して心を澄まして
何が見えますか? 誰の声が聞こえますか?
いつまでも抱きしめていれるかな?
何をやっても偽物だらけ。
じゃあどうすればいいのか?
一旦、全てを遮断して、頭の中から追い出して心を澄ましてみる。
瞑想してみる。
きっとそこで見えたものが真実なのかもしれません。
そして最後に主人公はこの葛藤に答えを出します。
ラスサビ(虚しさを抱えて〜)
虚しさを抱えて 夢をぶら下げ 二階建ての明日へとTAKE OFF
<出典>Mr.Children/フェイク 作詞:桜井和寿
ハイジャンプしよう
騙されちゃ また懲りもせず信じたりして
もう誰も疑わずにいれるなら 許し合えるなら
大切に抱きしめてた宝物がある日
急に偽物と明かされても oh oh oh
世界中にすり込まれている嘘を信じていく
すべてはフェイク
それすら…
本物と信じていたものが結局また偽物であったり、今大切にしているものも偽物かもしれない。
愛した人の「愛してる」は嘘かもしれない。
「だったらその偽物、嘘を信じていくしかないじゃないか」
主人公がハイジャンプして辿り着いたのは結局、偽物の明日でした。
つまり、主人公の出した答え、それは悲しくも…。
偽物が偽物であることを全て受け入れること。
そう信じることでそれが真実になるのなら…と思うのです。
聴きどころ
メロディー
Aメロが難しいです。
カラオケやバンドで歌う際には、ギターがボーカルとユニゾンしているので、それに合わせて歌えば簡単ではあります。
しかし、例えば弾き語りで歌う場合、「F(ド ファ ラ)」と言うコードの中に「11th」という「シの音」をベースに頭から歌い出す為、かなり難しいのです。
他にCメロの後半のリズムの取り方がややこしいです。
リズムを見失うと「あれ?どこで入るんだっけ?」と迷ってしまいそうな難易度の高いメロディーです。
アレンジ
テクノ調でダンス要素も取り込んだ四つ打ちロックです。
イントロから繰り出される2本のエレキギターの掛け合いが僕は好きです。
ちなみにメインのギターフレーズのミュートは、桜井さんがトラックのチャンネル自体をミュートのon/offしてみた結果だそうです。
それを知った田原さんは「マジかよ…」と一言(笑)
桜井さんはライブでは基本的にハンドマイクで歌われていますが、この掛け合いを田原さんと向き合ってやっているところを観てみたいモノです。
著名人の感想
準備中
ライブ&テレビ披露
ライブ
- Mr.Children & the pillows new big bang tour ~This is Hybrid Innocent~
- “HOME” TOUR 2007
- “HOME” TOUR 2007 -in the field-
- ap bank fes ’08
- Tour 2009 ~終末のコンフィデンスソングス~
- Tour 2011 “SENSE”
- TOUR POPSAURUS 2012
- SUMMER SONIC 2013(途中で外音が聴こえなくなるトラブルあり)
- STADIUM TOUR 2015 未完
- FATHER&MOTHER Special Prelive エントランスのエントランス
- Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス
オススメ映像作品
Mr.Children “HOME” TOUR 2007
「”HOME” TOUR 2007″」「HOME” TOUR 2007 -in the field-」は「Any」との繋がりが素晴らしいですが、それは「Any」あってのものなので、「フェイク」のみで厳選すると「終コン」をオススメします♪
テレビ
- 2007年03月11日「Music Lovers」
- 2022年04月01日「MUSIC STATION」春のレジェンド曲3時間SP
まとめ
この曲は世の中の全てが「フェイク」でそれを受け入れて生きていく。
という歌でしたが、改めて凄いテーマです。
主人公はそこから抜け出そうとした。
でも結局嘘を許すことにしました。
人は自分を基準にして他人を判断してしまうところがあると僕は思うので、自分が真実を見つけたしても、人が思う自分は結局フェイクなんですよね。
だからそうやって受け入れていくのが、やはり「生きる術」なのかと思うと寂しくなってしまいます。
かなり難しいテーマを扱った歌ですね。
余談ですが、『フェイク』には「サピエンス全史」にも通づるものがあるように思います。
「サピエンス全史」とは、『なぜ我々はこのような世界に生きているのか?』をテーマにホモ・サピエンスの歴史を俯瞰することで現代世界を鋭く抉る世界的ベストセラー作品です。
作品には世界文明の「フィクション」について描かれているところがあります。
詳しくは記載しませんが、「全人類が読むべき本」とされているくらい素晴らしい書籍です。
実際に読んで頂くと楽曲「フェイク」を更に奥深く聴くことが出来ます。
全てが偽物だとしても、本物はきっとあると信じたいものです。