Mr.Children「常套句」の解説と歌詞考察だよ♪
想いは言葉だけでは伝わらない
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
17th ALBUM | [(an imitation) blood orange] | 2012年11月28日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 2011-2015 | 2022年5月11日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
ドラマ『遅咲きのヒマワリ ~ボクの人生、リニューアル~』の主題歌だったよ♪
生田斗真さん主演だったな。
初披露は『TOUR POPSAURUS 2012』での弾き語りだったわ♪
アルバムジャケット情報
- アートディレクター:丹下紘希
- タイトルの[]に意味はなく、「なんでだろう?」と思わせる為。
MV(ミュージックビデオ)情報
なし(アニメーション)
監督:半崎信朗
全編モノクロのアニメーション。
MV個人的解釈:片思いの相手に気持ちを伝えられないもどかしさと、身を裂かれる想いを”マル”と “カケラ”で表現している。
冒頭、半月のような半円(のちの登場人物※擬人化という意味で"人物"とします)が空に浮かんでいます。 丸い形をした主人公(以下"マル")が、バスのような乗り物に飛び乗り、サーカス場へ行き、玉乗りをします。 上記のシーンは、サーカス場が”マル”の仕事場であり、その”マル”にとっての日常を描写しています。 日常の中で出会うたくさんの人の中から、マルは一人の女の子を見つけ、その子に恋をします。 マルは毎日毎日身を削りながら、気持ちを伝えようと努力します。 しかし気持ちの伝え方が分からず、丸い体は段々と削られていき、本来何気なくこなせていた玉乗りも、バランスが取れなくなり、上手くいかない。 好きな人のことばかり考えてしまい、日常生活に支障をきたしているのです。 自分で体を支えられないくらい身を削られたところで、マルの想いのカケラが、一つだけ女の子の元へ届きます。 女の子はそれを見つけるが、でもそれが一体何なのか分からないない。 それはただの一つのカケラでしかないから。 しかも、女の子には既に愛する人がいて、マルはどうしたって想いを伝えることができない。 身を削られ半分になったマルは涙を流し、風に飛ばされ空へ舞います。 そこで冒頭の半円の人物と出会います。 ここまでのストーリーから察すると、空にいる半円は、主人公と同じ悲しみを経験した人物だと解釈することができます。 マルは思います。 半分と半分でこの人となら気持ちを分かち合える、体を取り戻せる。 そう期待しながら近づいていく。 しかし隕石によって阻まれ、マルは粉々になってしまうのです。 なぜ阻まれたのか? それは、まだ想いを伝えられていないから。 粉々にされたマルの想いの全ては雪となり、彼女の元に降り注ぎます。 それでも気持ちは伝わることはなく、彼女はその場を通り過ぎていく。 虚しくも、積もった雪はやがて溶けていく運命。 最後までマルの想いが伝わることはなかったのです。 ※あくまで独自解釈です。
タイトルについて
「常套句(じょうとうく)」=「決まり文句」
この曲には「常套句」が3つあると僕は解釈しています。
(歌詞考察にて解説)
タイトルを「常套句」にした理由を「捻ったというか、苦肉の策というか。ま、照れも半分あるかな。」と桜井さんは語っています。
歌詞考察
1番 Aメロ(君が思うよりも〜)
君が思うよりも
<出典>Mr.Children/常套句 作詞:桜井和寿
僕は不安で寂しくて
今日も明日も ただ精一杯
この想いにしがみつく
このフレーズは、主人公と彼女の「愛情」の捉え方の違いを表現しています。
例えば二人が離れた場所で暮らしていたとします。
【主人公】
「君は今何をしているのだろう?」
「君は今何を思っているのだろう?」
そんな風に常に君のことを考えてしまい、不安と寂しさから彼女に依存しているとします。
それに対して。
【彼女】
主人公に対しての愛情はあります。
でも彼女は、”私生活は私生活”、”恋愛は恋愛”と割り切っているのです。
その愛情の価値観の違いが「君が思うよりも」というフレーズに表れています。
1番 サビ(君に会いたい〜)
君に会いたい 君に会いたい
<出典>Mr.Children/常套句 作詞:桜井和寿
何していますか 気分はどう
君に会いたい 君に会いたい
愛しています 君はどう
2つの『常套句』があります。
①「君に会いたい」
②「愛しています」
君に会いたいという切なる想いと、君からの愛を確かめたい強い想いを込めたフレーズ。
そして2番には3つ目の常套句が。
2番 Aメロ(「君が思うよりも〜)
「君が思うよりも
<出典>Mr.Children/常套句 作詞:桜井和寿
君はもっと美しくて…」
そう言うと決まって 少し膨れるけど
からかってなどいないよ
主人公「君が思ってるより君は綺麗だよ」
彼女「かわないでよ」
そんな毎度のやりとりが二人にはあるようです。
さて、ここに3つ目の常套句があります。
“美しくて”
「そう言うと決まって」とあるため、主人公が毎回同じ言葉で彼女を褒めるから、それが「常套句」になってしまっているのです。
「からかってなどいない」
つまり本心が彼女に上手く伝わっていないのです。
2番 サビ(君に会いたい〜)
君に会いたい 君に会いたい
<出典>Mr.Children/常套句 作詞:桜井和寿
何していたって 君を想う
君に会いたい 君に会いたい
愛しています
君への強い想い。
気持ちを押さえ切れず、またもつぶやく「愛しています」。
その言葉には、ただ「愛している」という想いの他に、別の意味があるように感じます。
それが次のフレーズ。
Cメロ(今日も 嬉しさと〜)
今日も 嬉しさと 悲しみの間を揺れている
<出典>Mr.Children/常套句 作詞:桜井和寿
狂おしいほど
このフレーズが本楽曲の全てを物語っています。
君と付き合えていることは嬉しい。
でもちゃんと君から愛されているのか、不安でしょうがない。
「愛しています」とは言いつつも、本当は「愛して下さい」が本心なのです。
「君は本当に僕を好きでいてくれているのだろうか?」
「君は僕に会いたいと思ってくれているだろうか?」
主人公が何度も「会いたい」「愛しています」と口にしてしまうのは、彼女から「私も」という言葉が欲しくて欲しくてたまらないからなのです。
「君はどう?」というフレーズがあるように。
ラスサビ(君に会いたい〜)
君に会いたい 君に会いたい
<出典>Mr.Children/常套句 作詞:桜井和寿
何していますか 気分はどう
君に会いたい 君に会いたい
愛しています 君はどう
君に会いたい 君に会いたい
愛しています
何度も繰り返す常套句。
想いは言葉だけでは伝わらない。
気持ちや行動で伝えることも大事。
少し捻くれた解釈かもしれませんが、そう言いたいのだと僕は感じました。
聴きどころ
メロディー
綺麗で素直なメロディーという印象です。
カラオケなどで歌う際、何度も繰り返す「君に会いたい」というフレーズを、単調にならないようにどう歌うかが難しいですね。
でもきっとシンプルな分、自分が今会いたい人、愛している人へ、その想いを歌にぶつけるのが一番良いですね。
Cメロがやたら高いので、それも含め実は簡単そうで難しいメロディーなのかもしれません。
アレンジ
イントロや間奏の主旋律も歌メロをベースにしていて、Mr.Childrenの中でも捻りの少ないアレンジ。
あの”イントロ大王”と呼ばれている小林さんが歌メロを主旋にしたのは、歌のメロディーの印象が相当が強く他のメロディーで余計な印象を聴き手に与えないという意図があったのかもしれません。
例えば『優しい歌』なども歌メロがそのままイントロになっていますが、それとはまた違う印象です。
もし仮に全く別のイントロや間奏をつけたら、どうなっていたんだろう?と興味が湧いてしまうくらい、アレンジもシンプルな構成で仕上がっているなと思います。
著名人の感想
この曲は「会いたい」というこの世に一番多いのではないかというぐらいありがちなテーマ。
いしわたり淳治
ミスチルは奇抜にもスタンダードにも名曲を作れる。
ライブ&テレビ披露
ライブ
- MR.CHILDREN TOUR POPSAURUS 2012(弾き語り)
- [(an imitation) blood orange] Tour
- tour 2023/24 miss you
オススメ映像作品
Mr.Children TOUR POPSAURUS 2012
まだ世に出る前の「常套句」ですので、レアです!
テレビ
- 2012年11月23日「僕らの音楽」桜井和寿×小渕健太郎
- 2012年11月28日「日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト2012」
- 2012年12月5日「2012 FNS歌謡祭」
- 2012年12月15日「SONGS」
- 2012年12月21日「MUSIC STATION」スーパーライブ2012
まとめ
恐らく多くの方が初めて聴いたのは2012年5月10日に生中継された『POPSAURUS 2012』での弾き語りだったのではないでしょうか。
DVDにも収録されていますが、桜井さんが「著作権登録してないからパクられたらみんなのせいです」と言いつつ、少しだけ披露してくれたんですよね。
まさかそれがドラマ主題歌になったり、テレビで何度か演奏されたり。
予想以上に一般ウケし、知名度を獲得した曲という印象です。
ストレートでシンプルな歌詞、そしてキャッチーで切ないメロディー。
とても耳に馴染みやすい1曲ですね。
僕はこの曲の主人公の「愛しています」を「愛して下さい」が本心なのではないか?と少し意地悪な解釈でまとめました。
純粋な言葉が並べられた歌詞に対して付けられたタイトルが『常套句』。
つまり、そもそも「君に会いたい」「愛しています」は常套句であるべき言葉ではないとは思っています。
「会いたい」「愛しています」を決まり文句としてしまうことで、「それ本当?」と猜疑心が生まれ、本来伝えたい想いも薄れてしまうのではないでしょうか。
そう、言葉だけでは伝え切れないのが「愛」です。
桜井さんが言いたいことは”そこ”なのかなって思いました。
この楽曲がラブソングとしての『常套句』ならぬ『常套歌』として、もっともっと広まってくれたらいいなと思います。