Mr.Children「ほころび」の解説と歌詞考察だよ♪
大切な想い出はいつまでも胸の中に残っている
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
28th Single | 箒星 | 2006年7月5日 |
14th ALBUM | B-SIDE | 2007年5月10日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
野外音楽イベント『ap bank fes』をイメージして作られた曲だよ♪
桜井さんは「つま恋の芝とかいろんなものを思い出しながら作っていった」とコメントしていたな。
実際にapに限らずフェスで披露されることが多いわ♪
アルバムジャケット情報
- 本作以前に発売された全シングル30枚のジャケットを左右反転させて並べられたものになっている
- アートディレクター:友長賢一(トイズファクトリー社員)
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて
「ほころび」とは”縫い目などがほどけた状態”などを意味します。
この曲ではその「ほころび」を”心の傷や痛み”として表現しています。
歌詞考察
1番 Aメロ(ほころんだ〜)
ほころんだ場所がこの胸にある
<出典>Mr.Children/ほころび 作詞:桜井和寿
悲しみを跨いだ時 出来たのかな?
ほつれた糸を無意識で引っ張る
するりするりとほどけていった
「この胸にある“ほころんだ場所”」とは主人公の“心の傷”です。
その傷がいつ出来たものなのかはハッキリしていません。
でも、主人公にはなんとなく身に覚えがあります。
きっとそれは、いつかの悲しみを乗り越えた時のもの。
彼はその小さな“ほころび”からほつれた糸を、ふと無意識に引っ張ってしまいました。
そこから溢れるほどの想い出が蘇ってきたのです。
1番 サビ(ほころびは〜)
ほころびはまた広がって
<出典>Mr.Children/ほころび 作詞:桜井和寿
何かが顔を出した
そこにいたのは君だった
笑ってる君
糸を引っ張る手が止まらず、ほころびがどんどん広がっていきます。
時間と共に癒えていた傷口が、再び広がってしまったのです。
彼の心の中で閉ざされていた記憶の扉が開いていく。
その向こうにいたのは、僕に微笑みかける「いつかの君」でした。
主人公は目を閉じながら“君がいた記憶の扉の中”へ入っていきます。
2番 Aメロ(水玉模様の〜)
水玉模様のスカートが揺れる
<出典>Mr.Children/ほころび 作詞:桜井和寿
晴れた日の公園 よく覚えてる
キンモクセイが植わった木陰を見つけて
ビールなんか飲んで 手だけつないで
ここは記憶という名の夢の中。
君とのとある一日が回想されます。
それはキンモクセイが香る秋の始まり。
主人公は晴れた日の公園で君と二人で過ごしていました。
僕の前を嬉しそうに歩く君。
風に揺れるそのスカートの模様まで鮮明に映し出されます。
さてキンモクセイが植った木陰で一休み。
手をつなぎながらビールを飲んで、幸せなひと時を過ごしています。
主人公は「スカートの模様」「花の種類」「飲んでいた物」までその情景全てをよく覚えています。
このひと時は彼にとって、それくらい忘れられない想い出でした。
だからこれまでずっと、胸のほころびを繕うことができなかったのです。
2番 サビ(広い芝生に〜)
広い芝生に横になって
<出典>Mr.Children/ほころび 作詞:桜井和寿
青い空を見ていた
気持ちがよくて ウトウトして
まぶた閉じた
夢の中。
その後二人は広い芝生に横になり、青い空を眺めていました。
幸せな瞬間に包まれながら、気持ちよくウトウトしてしまう主人公。
そしてふと、まぶたを閉じたところで現実に引き戻されます。
ラスサビ(君の匂いが〜)
君の匂いが好きだった
<出典>Mr.Children/ほころび 作詞:桜井和寿
甘い匂いがした
夢から覚めると独りぼっち
君はもういない
寝転がってる君はいない
夢から覚めた主人公。
現実は独りぼっちだということを思い知らされます。
「君の匂いが好きだった」
「甘い匂いがした」
全て過去のこと。
君はもういない。
隣で寝転がってる君はこの場所にはもういないのです。
そう主人公が”跨いだ悲しみ”とは「君との別れを受け入れた」こと。
ほんの些細なきっかけで、その想い出が掘り起こされてしまったのです。
時が経ち、過ごした公園は変わってしまったかもしれません。
でも主人公の胸の中にある“ほころび”は、いつまでも大切な想い出として残り続けていくのでしょう。
聴きどころ
メロディー
Aメロから「ほころび」が広がるサビのシーンへ移るポイントがとても切ないです。
明るい印象のAメロですが、「ほどけていった」の「た」からマイナースケールに変わり、サビで“ほころび”が一気に広がっていく感覚が、聴きどころかと思います。
そして最後の「君はいない」のフレーズでは完全終始で終わらず(「ミ」の音で終わるはずが「レ」で終わらせている)、物語に余韻を残している印象。
でも曲の最後がポイントで、アウトロ演奏の最後はメジャーコードで終わっています。
つまり物語の主人公は、ただ切ない想い出に浸っているのでなく、”あくまで前向きである”という意思を感じながら、聴き終えるように作られているのかなと思います。
アレンジ
ピアノとアコギを絡めた心地良いサウンド。
2番Aメロから「ハープシコード(チェンバロ)」という楽器が使用されているのが特徴的です。
(以下の音源が「ハープシコード」を使用した音源例です)
この楽器を取り入れた理由は、小林さんが歌詞から連想したらしく、“「水玉模様のスカートが揺れる」のイメージがハープシコードだったから”とのことです。
個人的にはイントロのフレーズが大好きです。
著名人の感想
随時更新します
ライブ&テレビ披露
ライブ
- ap bank fes ’06
- THE 夢人島 Fes.2006 WOW!! 紅白! エンタのフレンドパーク Hey Heyステーション…に泊まろう!
- ロックロックこんにちは! 10th ANNIVERSARY SPECIAL Ver.パイレーツ・オブ・10カリビアン
- Mr.Children 2マンLIVE
オススメ映像作品
現在映像収録作品はございません。
テレビ
なし
まとめ
発売当初曲を聴く前にタイトルを見た時は、”顔がほころぶ”とかの「ほころび」なのかな?と僕は勘違いしていて、明るく優しい曲をイメージしていました。
でも実際に聴くとマイナー調で悲しい結末の切ない楽曲で、良い意味で裏切られた感があったのを覚えています。
ただ、やはり『ap bank fes』をイメージして作られた曲ということもあってか、爽やかな印象もある曲ですね。
個人的には好きなタイプの曲です。
短い曲の中に織り込まれた情景描写の美しい歌詞や、その景色に合わせた音色など、繊細に作り込まれているなぁと感じます。
歌詞を読んでの感想ですが、日常のちょっとしたきっかけで、忘れていた思い出にふと懐かしむことってたまにありますよね。
例えば街で好きだった人がよく聴いていた曲が流れたり、よく話したドラマの再放送がやっていた時など。
そんな不意に広がったほころびからヒョロっと出てきた糸を引っ張ってしまったが故に、忘れていた記憶がグワッと広がって切なくなったりするんですよね。
この曲では糸を引っ張ってしまったきっかけは描かれていませんが、主人公もそんな感じだったのかな?って思います。
忘れていても大切な思い出はいつまでも胸の中に残っているんですよね。
そんなことを気づかせてくれる楽曲でした。
短いけど語り甲斐のある素敵な1曲ですね。