Mr.Children「いつでも微笑みを」の解説と歌詞考察だよ♪
昔あったあの歌のように…
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
10th ALBUM | IT’S A WONDERFUL WORLD | 2002年5月10日 |
31st Single | 旅立ちの唄 | 2007年10月31日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 2001-2005 <micro> | 2012年5月10日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
2007年に損保ジャパンCMソングとして起用されたね♪
丁度ライブVer.が収録されている『旅立ちの唄』リリースと同時期の起用だったから、宣伝効果を狙ったものだな。
この曲は橋幸夫さんと吉永小百合さんの『いつでも夢を』をイメージして作った楽曲みたいね♪
実は『DISCOVERY』制作時からAメロと口笛のフレーズはあったんだって!
アルバムジャケット情報
- デザイン(地球から植物が育っている)が決まるまでかなり時間のかかった作品
- 地球環境を意識している
- ジャケットは絵に見えるが実は写真を加工したもの
- 歌詞カードのブックレット写真のイメージは「エデンの園」
- アートディレクター:信藤三雄
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオとされる作品はないが、ライブスクリーン用映像がDVD『wonederful world on DEC 21』に収録されている。←(可愛らしい鶏が出てくるアニメーションです)
タイトルについて
“いつでも微笑みを”浮かべることの大切さを哲学的に描いた作品。
イントロで「keep smiling」と歌っているフレーズや間奏の”口トランペット”もポイント。
この作品は『いつでも微笑みを』と言う曲の中に“昔あった”『いつでも微笑みを』という曲が存在しています。
桜井さんは「蓄音機から鳴っているようなイメージで架空の『いつでも微笑みを』を曲中に登場させた」とコメント。
そこにはどういう意図があるのか?
歌詞考察で解き明かしていきたいと思います。
ファンの間でタイトルの「微笑み」の読み方を「えみ」か「ほほえみ」かで議論されていましたが、『ap bank fes ’11 Fund for Japan』のMCにて桜井さんが「ほほえみ」と発言し、ほぼ「ほほえみ」で統一されました。
歌詞考察
1番 Aメロ(狭い路地に〜)
狭い路地に 黒いスーツの人達
<出典>Mr.Children/いつでも微笑みを 作詞:桜井和寿
急な不幸がその家にあったという
命は果てるもの 分かってはいるけど
狭い路地に集まった黒いスーツの人たち。
その家には急な不幸があった…とのこと。
“不幸”を目の当たりにする度、思うことがあります。
それは命の有限性。
死は人生の一部であり、決して避けられないもの。
受け入れるしかないもの。
それを誰もが分かっていながら今日を生きています。
1番 Aメロ2(何もかも〜)
何もかも思い通りになったとしても
<出典>Mr.Children/いつでも微笑みを 作詞:桜井和寿
すぐ次の不満を探してしまうだろう
決して満たされない 誰かが傷付いても
このセクションは桜井さんもカバーした井上陽水さんの『限りない欲望』から引用するとしっくりきます。
・子供の時、欲しかった「白い靴」。
母にねだりやっと手に入れた。
でもある日、靴屋さんの前を通ると素敵な「青い靴」が飾ってあった。
・20歳の頃、出会った君に片思い。
いつしか君とは結ばれ、教会で指輪を交わした。
でもその瞬間、なんだか見飽きたようで嫌になる。
・僕らはやがて死ぬ。
どうせ死ぬなら天国へ行きたい。
そんな『限りない欲望』のように人の満足感・欲望は一時的であり、限りがない。
例え他人が傷ついたとしても、欲を追求し続けてしまうのが人間なのです。
1番 Bメロ(いつでも〜)
いつでも微笑みを
<出典>Mr.Children/いつでも微笑みを 作詞:桜井和寿
そんな歌が昔あったような
今こそ その歌を
僕達は歌うべきじゃないかなぁ
“いつでも微笑みを”
過去に歌われていたそんなメッセージを、現代人は忘れてきている。
死を身近に感じ、欲に振り回され、今の僕らには微笑む余裕すらなのかもしれません。
でもだからこそ、今その歌を歌うべきなのではないか?
微笑むことで誰かに希望を与える可能性があるのではないか?と考えます。
2番 Bメロ(いつでも〜)
いつでも微笑みを
<出典>Mr.Children/いつでも微笑みを 作詞:桜井和寿
そんな歌が昔あったような
悲劇の真ん中じゃ その歌は
意味をなくしてしまうかなぁ
状況次第では、微笑むことが適切でない場合もある。
意味がない場合もある。
でも昔「いつでも微笑みを」という歌があったことは事実であり、世の中に響いていたことは間違いありません。
今の自分は無力で、この世界にその歌を届けることは難しいのかもしれない。
だけど、ただ一つ言えることが、次のセクションで描かれています。
2番 Aメロ Cメロ(もし僕が〜)
もし僕がこの世から巣立って逝っても
君の中で僕は生き続けるだろう
そう思えば何とかやっていけそうだよそう だからいつも いつでも微笑(えみ)を いつでも微笑を
<出典>Mr.Children/いつでも微笑みを 作詞:桜井和寿
いつでも微笑を
僕が巣立って逝っても君の中で僕は生き続ける。
何故主人公はそのことに気付くことができたのでしょうか?
それは、昔あった歌が今もなお、僕の記憶の中で生き続けていたからです。
主人公は過去に『いつでも微笑みを』という歌に感銘を受けていた。
だから歌われなくなった今も記憶の片隅に残っている。
同じように僕がこの世から巣立っても、君の記憶の片隅にはきっと存在している。
だったら笑顔でいよう。
笑顔の僕を、君の記憶に残そう。
そう思えた主人公は自然と顔が綻び、笑顔になれたのです。
命は果てるもの。
分かってはいるけど、辛い記憶より楽しい記憶を少しでも多く残していけたら、素敵なことです。
昔あったあの歌を、僕が今思い出したように。
聴きどころ
メロディー
印象的な冒頭や間奏の”口トランペット”は、「タック&パティ」というアメリカの夫婦デュオのステージを参考にされたそうです。
桜井さんもカバーされたことのある『Time After Time』を「タック&パティ」がカバーされている動画がありましたので、試聴してみてください。
間奏などで、まさに曲の中で別の曲を歌っているかのようなパフォーマンス。
それがまた圧巻で、参考にしたくなる理由も分かるような気がします。
それとこの曲は口笛パートがクセになります。
その口笛が、歌詞の重たい表現を何となく気負いのないものにしてくれて、リスナーに安心感を与えてくれる重要な役割を果たしているように感じました。
アレンジ
とてもこだわった音作りをされているなぁという印象です。
特にイントロや間奏でのアナログっぽさからデジタルへの切り替わりは、曲中の「昔と今」が表現されていて、物語をイメージしやすくされていますね。
細かく解説していくと、まず冒頭の蓄音機から鳴っているようなアコースティックギターの音。
これは2音低くチューニングして録音し、その録音した音を拡声器で再生してマイクで拾う。
そのような方法であの音を再現したとのこと。
その後のデジタルの部分ではシンセとエレピを使用。
ちなみにシンセは小林さんではなく、桜井さんの演奏によるものだそうです。
そして曲中で使用されている楽器や音色の種類も、とにかく豊富。
アコギやシンセの他に口笛やストリングス、パーカッションや鈴の音、ハープなど。
ベースも『名もなき詩』のレコーディングでも使用されたヘフナーのバイオリンベースというものが使われているそうですね。
個人的には転調前の「いつでも微笑みを」のセクションで加わるハープの音色が好きです。
著名人の感想
随時更新します。
ライブ&テレビ披露
ライブ
- WONEDERFUL WORLD on DEC 21
- ap bank fes ’05(弾き語り)
- “HOME” TOUR 2007
- ap bank fes ’11 Fund for Japan
- Hall Tour 2017 ヒカリノアトリエ
オススメ映像作品
収録作品毎にアレンジや歌詞、歌い方が違い、色んな表情を持つ曲のため、一概にこれが良いとは決められないです。でも強いて言うなら、回り回って原曲に近い『DEC21』がやっぱり良いなと思える今日この頃です。
テレビ
なし
まとめ
ファーストインプレッションの衝撃度が、かなり高い作品なのではないでしょうか。
軽快なサウンドと歌詞とのギャップに驚いたのは僕だけではないはずです。
曲の中に別の曲が存在しているという斬新さもありますよね。
動画の冒頭でも紹介したように、この曲はベストアルバム『<micro>』にも収録されました。
完成度の高さや、多くの人に届けたいテーマであることなど理由は様々かと思います。
陽気にただ「微笑みを浮かべていよう」と言うような普遍的な歌ではなく、死生観みたいなものを描くことにより、最後の「そう だからいつも」の「だから」にとても深みを感じることができますよね。
だからこそ、いつでも微笑みでいることの大切がより心に響く。
ライブでは「歌うべきじゃないかな」の後、「そんな歌が昔あったような」を「そんな歌を今日も歌ってみるんだ」と、変えて何度か歌われています。
悲劇の中で音楽は意味をなくしてしまうのかもしれない。
それでも歌ってみる。
そしてその歌はきっと誰かの中で生き続ける。
『いつでも微笑みを』という楽曲が、悲劇の真ん中で意味を成す楽曲になることを、Mr.Childrenは望んでいるのかもしれません。
今現在ファンである僕らがいつか巣立ってしまう未来にも、誰かの中でMr.Childrenが生き続けていけるよう、その音楽を引き継いで、残していけたらなって思います。