Mr.Children「fantasy」の解説と歌詞考察だよ♪
日常からファンタジーを拾い集めながら人は生きていく
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
18th ALBUM | REFLECTION{Naked} | 2015年6月4日 |
18th ALBUM | REFLECTION{Drip} | 2015年6月4日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 2015-2021 & NOW | 2022年5月11日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
BMW「ファミリーカー」のCMソングだったよ♪
曲のイメージはスピッツのロビンソンらしいぜ。
でも「ちょっと押しつけがましいものになってしまった」ってさ。
アルバムジャケット情報
- アートディレクター:丹下紘希
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて
仮タイトルは『王道』だった。
タイトルの『fantasy』は2つの解釈ができます。
- 音楽やライブを楽しむ事で日常の中のファンタジー空間を味わえる。
- 「出来ないことはない」などの理想論は所詮ファンタジーである。
歌詞考察は「2」の解釈でやっていきます。
歌詞考察
1番 Aメロ(隣の人に〜)
隣の人に気づかれぬように僕らだけの言葉で話そう
<出典>Mr.Children/fantasy 作詞:桜井和寿
知られちゃマズいたいそうな話は特にないけれど
”僕らだけの言葉”
それは共通の趣味や共通の夢を語り合ったり、互いが読んだ本や好きな音楽の話。
要するに、僕らだけで共感し合える「楽しい時間」を過ごそうということ。
でも別にそれは”知られちゃマズいこと”ではありません。
なんなら他の人も入ってきていいのです。
そんな”日常を抜け出せる空間がここにはある”ということを冒頭で伝えています。
1番 Bメロ(ゴミ箱に投げ捨てた〜)
ゴミ箱に投げ捨てたファンタジーをもう一度拾い上げたら
<出典>Mr.Children/fantasy 作詞:桜井和寿
各駅電車をジェットコースターにトランスフォームして
[不可能]のない旅へ
『ゴミ箱に投げ捨てたファンタジー』
このフレーズのファンタジーは「夢や理想」です。
自分は夢を叶えることが”不可能”だと思ったから諦めてゴミ箱に捨ててしまいました。
でも「やっぱり諦めきれない!」と拾い上げた。
何故また拾い上げたのでしょうか?
それは何かをきっかけに”できない”から”できる”へ、[不可能]から[可能]へ思考回路がトランスフォームしたからです。
それと同時に自分の進むべき道も、各駅電車という「安定」の手段からジェットコースターという浮き沈みのある「挑戦」にもトランスフォームができました。
「挑戦する」という意志を持てたのです。
「不可能」のない旅、「不可能を可能にする旅」へ出ようじゃないかと思うことが出来ました。
しかしその旅は丸腰のまま出れるほど簡単なものではありません。
1番 サビ(「誰もが孤独じゃなく〜)
「誰もが孤独じゃなく誰もが不幸じゃなく
<出典>Mr.Children/fantasy 作詞:桜井和寿
誰もが今もよりよく進化してる」
たとえばそんな願いを自信を皮肉を
道連れにさぁ旅立とう
「誰もが孤独じゃなく不幸じゃなく 誰もがよりよく進化してる」
これは世間一般的に言われる「希望の言葉」です。
人は皆”そうありたい”と願います。
しかし実際その言葉は、ただの理想論であり、皮肉でしかありません。
でも主人公はちゃんとわかっています。
その現実を受け入れた上で、理想論を道連れに旅立つ決心をします。
2番 Aメロ Bメロ(想像を超えた〜)
想像を超えた猟奇殺人さえ今や日常ドキュメンタリー
<出典>Mr.Children/fantasy 作詞:桜井和寿
いちいち心動かないよ免疫ができ右から左
「事件の裏側」すら簡単に閲覧けて分かった気になる
でも本当は自分のことさえ把握しきれないなのに何が解かろう?
猟奇殺人という”ファンタジー”な事件が、今や日常的なドキュメンタリーになっています。
昨今では、簡単にその”ファンタジーな事件”を知ることが出来ます。
それはSNSや動画配信サービスなどのインターネット。
しかし情報を取り入れたはいいが、すぐに画面をスワイプさせ、深く受け止めず流してしまいます。
どんなに猟奇的な殺人事件でも指の動作ひとつで弾いて、また別の情報を取り入れることができてしまうのです。
更には所詮1クリックで得た情報に過ぎないと認識して、次々とそれを得て免疫がついてくる。
もちろん逆に興味を持ちさえすれば、簡単にその裏側まで探ることもできます。
でも自分のことは何も把握できていません。
「あなたもその世の中に生きている」ということを認識できていないのです。
現実とファンタジーの区別がついていない。
ただ閲覧して解った気になっているだけなのです。
2番 サビ(「出来ないことはない」〜)
「出来ないことはない」「どこへだって行ける」
<出典>Mr.Children/fantasy 作詞:桜井和寿
「つまずいてもまた立ち上がれる」
いわゆるそんな希望を勘違いを嘘を
IDカードに記して行こう
IDカードとは「identity card」=「身分証明書」を指します。
「出来ないことはない」「どこへだって行ける」「また立ち上がれる」
その希望の言葉は嘘かもしれないし勘違いかもしれないけど、主人公はしっかり身分証に記して、堂々と旅立とう思うのです。
次はそんな旅の前日の話。
Cメロ(昨夜見た夢の中の〜)
昨夜見た夢の中の僕は兵士
<出典>Mr.Children/fantasy 作詞:桜井和寿
敵に囲まれてた
だから仕方なく7人の敵と吠える犬を撃ち殺して逃げた
旅立ちの前夜、彼は夢を見ます。
場面は旅の扉を開けた瞬間。
主人公は「兵士」。
既に敵に囲まれている夢。
①願い ②自身 ③希望 ④誓い ⑤皮肉 ⑥勘違い ⑦嘘
見覚えのある7人の敵。
そして理想論を「吠える犬」
一人で旅に出ようとしている主人公に潜在意識が邪魔をしてきたのです。
邪魔だと感じた主人公は、その「敵」と「犬」を夢の中で撃ち殺してしまいました。
最後のサビへ続きますが、目を覚ました主人公はここで考えを改めるのです。
「違う、その理想を胸に刻み、共に歩まなければならないのだ」
ラスサビ(「僕らは愛し合い〜)
「僕らは愛し合い幸せを分かち合い
<出典>Mr.Children/fantasy 作詞:桜井和寿
歪で大きな隔たりも越えていける」
たとえばそんな願いを誓いを皮肉を
道連れにさぁ旅立とう
日常の中のファンタジーへと
「誰もが孤独じゃなく 不幸じゃなく 何でも出来る」
「愛し合い 分かち合える」
これら全てが日常の中にあるファンタジーであり、その日常からファンタジー達を拾い集めながら人は生きていきます。
犬、猿、キジと仲間にしながら鬼退治へ向かうように、ひとつひとつのファンタジーを味方につけ、IDカードに記して旅を続ける。
理想は理想と分かった上で、それを引き連れて進んでいく。
この曲にはそんなメッセージが込められているのです。
聴きどころ
メロディー
「名もなき詩」と「未来」を足して割ったようなそんな印象があります。
特にAメロとサビ。
サビはキャッチーでそれこそ”王道”感満載ですが、Aメロはそれに反して攻撃的な雰囲気が先の2曲と似たものがあるなと感じます。
それも踏まえて仮タイトル『王道』についても少し話します。
桜井さん曰く「デモの段階で当時スタッフの間でかなり好評だった」ということもあっての「王道」だったそうです。
世間一般でいう王道は『Tomorrow never knows』や『innocent world』。
『fantasy』には王道感がそこまでないように僕は思います。
AメロやBメロなど、音符の浮き沈みも激しく、キャッチーとは言えません。
「王道」にしては攻撃的なイメージが『fantasy』にはあるので、あくまでMr.Childrenの中での「王道」がこういった曲なのかもしれませんね。
アレンジ
レコーディングでは何度も何度も録り直したそうです。
ドラムだけでも3回くらいとのことで、「3回」というのを少ないと思う方もいるかもしれませんので少し説明させて下さい。
レコーディングというのは基本的にドラムから録音して、その後に他の楽器を足していきます。
ですので他の楽器も仕上がった後にドラムの録り直しとなると、他の楽器も録り直さなければいけません。
これはかなり大掛かりな録り直しを強いられていたのかなと思います。
それくらい練りに練ったアレンジになっているということですね。
楽器以外にも細かなこだわりがあります。
それは2番のAメロ。
「想像を超えた猟奇殺人さえ今や日常 ドキュメンタリー」のセクションです。
イヤホンをして聴くとわかりますが、「サー」という不気味な音がして、救急車のサイレンの音の様な音も入っています。
更に歌詞の「ドキュメンタリー」でブレイク後、左耳からとても気味の悪い音も入っています。
歌詞を音で表現しており、とても凝った作りをしているのが伝わってきます。
是非イヤホンかヘッドフォンもしくは大音量で聴いてみてください。
著名人の感想
随時更新します
ライブ&テレビ披露
ライブ
- TOUR 2015 REFLECTION
- STADIUM TOUR 2015 未完
- Mr.Children 2マンLIVE
- Hall Tour 2017 ヒカリノアトリエ
オススメ映像作品
Mr.Children TOUR 2015 REFLECTION
セットリスト1曲目であり、最高の演出で始まります。
鳥肌確実ですので、この作品を推します♪
テレビ
- 2015年6月20日「SONGS」Mr.Children~その一言から世界が始まる~
まとめ
僕はMr.Childrenの楽曲の中でも、この曲の歌詞が1、2を争うくらい好きです。
その理由は下記のフレーズに集約されてます。
「誰もが孤独じゃなく 誰もが不幸じゃなく
誰もが今もよりよく進化してる」
たとえばそんな願いを 自信を 皮肉を
道連れに さぁ旅立とう
2番も同じくです。
こういったありきたりな理想論は、自分を信じることへの結論として世の中の歌や本や映画などで言われ続けています。
でも、もちろん最初は「よし、じゃあ頑張ろう!」と思うけど、ほとんどが三日坊主なことが多いはずです。
しかし『fantasy』は「出来ないことはない」が結論ではなく、ただの”理想論”だと分かった上で、ないがしろにするのではなく”引き連れて進む”という一歩先を描いています。
ありきたりな啓発で終わるのではなく、その先までちゃんと描いているところがとても刺さりました。
そして『fantasy』のもう一つの意味について。
音楽(ライブ)というファンタジーです。
これについて桜井さんは、「『僕らだけの言葉で話そう』という歌詞があります。これは聴いていただく皆さんと、届ける側の自分たちとの、遠いようだけれど親密な間柄みたいなものを伝えたかった」と語っています。
音楽を届ける側のMr.Childrenと聴く側のファンとの間柄は直接触れることはできないけど、音楽を通すことで親密になれます。
「ライブ」というファンタジー世界にみんながいて、その親密さを改めて実感できるような思いが込められているようですね。
言ってしまえばMr.Children自体が僕らにとっては”ファンタジー”みたいなものです。
毎日、音楽を通して寄り添ってくれています。
だから僕らもMr.Childrenを自然と道連れにして、今日を生きているんだなぁと改めて思う作品でした。