Mr.Children「Replay」の解説と歌詞考察だよ♪
倦怠期を乗り越える
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
3rd Single | Replay | 1993年7月1日 |
3rd ALBUM | Versus | 1993年9月1日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 1992-1995 | 2001年7月11日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿/編曲:小林武史&Mr.Children
シングル『Replay』累計売上:8.8万枚
アルバム『Versus』累計売上:80.2万枚
豆知識
グリコ「ポッキー」のCMソングに起用されたよ!
冒頭のサビはCMへ収まるようにちょうど15秒になっているぜ。
歌詞の「海岸」などの海は1st Single『君がいた夏』同様に山形で見た風景がもとになっているらしいわ♪
アルバムジャケット情報
- アートディレクター:信藤三雄
- 撮影:藤代冥砂
MV(ミュージックビデオ)情報
・ニューヨーク州「セントラルパーク」
(地下鉄N/Q/R線 59th Street(59丁目)駅)
・監督:岡田俊二
・初の海外レコーディングの合間に撮影された
・映像の最後にエンドロールが流れる
Mr.Children 「Replay」 MUSIC VIDEO
タイトルについて
「Replay」とは”再び行うこと”。
この曲では恋人と出会って間もない場面を思い返す(Replay)という意味で使われています。
歌詞考察
当時の桜井さんの解説コメント
「恋人同士なんだけど、倦怠期でつまずきの時期を別れとかのテーマじゃなくて、前向きなもので書きたくて。長くつきあってれば得るものもあります。1」
頭サビ(はぐれた〜)
はぐれた時間の隙間なら きっとすぐ埋まるよ
<出典>Mr.Children/Replay 作詞:桜井和寿
ためらいのない想いが甦る
冒頭は小説の書き出しのようなフレーズ。
“はぐれる”という動詞には、「故意に離れ離れになったわけではなく、一時的に見失ってしまった」というニュアンスがあります。
その後「きっとすぐ埋まるよ」という表現があるように、登場人物達の“はぐれた時間の隙間”つまり“見失った互いの想い”は、きっとすぐに元の場所に戻るだろうと信じている主人公。
出会った頃の純粋な気持ちを、互いに見失っていたことに気づいた彼は、離れた心を埋める記憶の旅へと彼女を連れ出します。
1番 Aメロ(こんなわがまま〜)
こんなわがまま言うのも久しぶりね、と
<出典>Mr.Children/Replay 作詞:桜井和寿
君はつぶやく
海岸に沿った通りへ 君を連れ出し
あの頃のように
互いにわがままを言えるような素直さを失っていたところに、主人公が君にふと、とある提案をしました。
「海岸沿いを歩いてみようよ」
おそらくこのような表現で二人きりの時間を作ることを希望したのでしょう。
急な誘いに驚いた君は、「こんなわがまま言うのも久しぶりね」と、小さくつぶやきます。
“わがまま”と感じた理由は、このあと明らかになりますが、誘った時間が夜だったからです。
ただ、その海岸沿いの通りは、ただのお散歩コースではなく、それは二人にとって特別な場所。
“あの頃のように”、つまり過去に二人で歩いた思い出の道だったのです。
1番 Bメロ(夜は 君を〜)
夜は 君を不思議な程
<出典>Mr.Children/Replay 作詞:桜井和寿
綺麗に写すよ
誘われるように抱きしめたなら
不安は消えるから
夜の海岸沿いを歩く二人。
昼間の喧騒を忘れ、穏やかな時間が流れる中で、ふと君を見ると、まるでこれまでの関係の摩擦が嘘のようで、改めて君の綺麗さに見惚れてしまう主人公。
この夜が見失いかけていた君の魅力を、また新らしく記憶に焼き付けるように写し出さす。
言葉を超えて、このまま自然に抱きしめたなら、きっと不安は消える。
そんなムードを感じ取れたのは、君もきっと同じように思っているからなのかもしれません。
1番 サビ(誰より〜)
誰より愛しい君よ いつの日もその胸に
<出典>Mr.Children/Replay 作詞:桜井和寿
離れていても変わらぬ想いを
どんなに関係が離れていたとしても、君がかけがえのない存在であることに間違いはありません。
倦怠期を迎えてしまっても、それは単なる試練であり、根底には純粋な想いがあるということを、主人公は改めて感じました。
2番 Aメロ(いつも同じ〜)
いつも同じような事で
<出典>Mr.Children/Replay 作詞:桜井和寿
何度となくぶつかってたね
だけど髪を切るだけで 忘られるような
恋じゃないだろう
長く付き合っていると、本当にどうでもいいようなことで喧嘩になることがよくあります。
でもそれは特別深刻な問題ではなく、ただ意地を張り合っているだけ。
もしそれで別れるようなことになったとしても、もはやそう簡単に割り切れるような関係じゃない。
“失恋後に髪を切る”とはよく言いますが、そんなことで忘れられるわけはない。
「(恋じゃない)だろう」と君に同意を求めているように、その想いは主人公だけのものではなく、二人が共有できる感情であると、彼は確信しています。
2番 Bメロ(3年目の〜)
3年目のジンクスなど 怖くはないけど
<出典>Mr.Children/Replay 作詞:桜井和寿
いつでも君を
ずっと近くに感じていたいから
“恋心は3年で消える”と言われており、カップルが倦怠期を迎えるのも3年目、それを乗り越えられなければ破局…。
世間ではそんなジンクスがあるようです。
でも主人公はそれに怯えたりしない。
けど、、君をずっと近くに感じていたい。
「近くに感じていたい」という表現は、物理的な距離だけでなく、心の距離感をも意味しています。
ただそばにいるだけでなく、君の存在を心でしっかりと受け止めていたいという強さも感じます。
ジンクスに立ち向かいつつも、それを乗り越えていきたいと思うのです。
2番 サビ(防波堤に〜)
防波堤に打ち寄せる波の飛沫 浴びれば
<出典>Mr.Children/Replay 作詞:桜井和寿
出会った日の二人が Replay してる
はぐれた時間の隙間など きっとすぐ埋まるよ
ためらいのない想いが甦る
再び海岸沿いを歩くシーンに。
波の飛沫、潮の匂い、想い出の道…。
記憶の再生ボタンが押されたかのように、出会った日を思い返す二人。
防波堤は海と陸を隔てる存在であり、それを乗り越える波の飛沫を浴びることで、二人のもやもやした心を浄化していくことを示唆しているのかもしれません。
二人の関係は再び新鮮さを取り戻していきます。
はぐれた時間の隙間“など”きっとすぐ埋まる。
互いにそう確信できた瞬間です。
Cメロ(潮風が〜)
潮風が溜息を空に運ぶ
<出典>Mr.Children/Replay 作詞:桜井和寿
波音はくちづけの吐息 消して
互いに吐き続けていた溜息は、潮風に乗って浄化されました。
隔たりをなくした二人は、あの頃を思い出し、くちづけを交わします。
波の音は二人の吐息を消し去るように大きく響き、新たな始まりを祝福しているのかもしれません。
ラスサビ(誰より〜)
誰より愛しい君よ いつの日もその胸に
離れていても変わらぬ想いを
二人で駆け抜けた季節も どんな場面も
振り返れば ほら 微笑み溢れてる時は流れても Don’t change your heart.
<出典>Mr.Children/Replay 作詞:桜井和寿
and keep loving you.
楽しい思い出も、すれ違った場面も、共に過ごした日々は大切で愛おしいもの。
ふと振り返れば、満ち足りていて微笑みで溢れている。
時の流れと共に人は変わっていくもの。
そこは受け入れつつも、僕らの絆にきっと影響はない。
だから、心変わりはしない(Don’t change your heart.)。君を愛し続ける(and keep loving you.)。
倦怠期を乗り越えるだけではなく、それを二人の成長の一部として受け入れる主人公でした。
聴きどころ
メロディー
桜井さんらしいとても綺麗なメロディーが詰め込まれています。
サビはもちろんのこと、Bメロがまた素晴らしい。
少し話がそれますが、数いる作曲家の中でも桜井さんのBメロを作るセンスは群を抜いていると思います。
特にこの曲に関しては個人的にはサビより好きかもしれません。
それと「防波堤に打ち寄せる波の」と「二人で駆け抜けた季節も」の、譜割はメロに対して全くズレていないのにインパクトを残す言葉の乗せ方が、天才的です。
アレンジ
爽やかでスピード感のあるアレンジ。
“豆知識”の項目でも記載したように頭サビがCMタイアップ用にピッタリ15秒で作られているのは有名な話です。
聴きどころはそのサビのベースラインがポップでとても気持ちの良いところ。
ラストの「時は流れても~」のブレイクとキメもカッコいいですね。
もちろん、Mr.Childrenでは珍しいサビ始まりなのもポイントです。
著名人の感想
随時更新します
ライブ&テレビ披露
ライブ
- NHK福島 MiDNiGHT Live
- FM802 MEET THE WORLD BEAT 1993
- 平成鯱音楽サミット
- SOUND SELECTION ’93
- KIRIN SOUND TOGETHER POP HILL ’93
- TVK.LIVE 収録ライブ
- ’93 Versus TOUR
- 石川工業専門学校(学園祭ライブ)
- ’94 Special Concert
- SOUND PARADISE ’94
- SOUND CONIFER 229
- SOUND BREEZE ’94
- ’94 tour innocent world
- 上武大学 「群馬県」(学園祭ライブ)
- THE SECRET LIVE
- STADIUM TOUR 2011 SENSE -in the field-
- FATHER&MOTHER Special Prelive エントランスのエントランス
- 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス(一部公演)
オススメ映像作品
リリース当初は頻繁に演奏されていたようですが、活動休止前の『THE SECRET LIVE』以降は全く演奏されず、14年の時を経て『SENSE -in the field-』で久々の披露です!
テレビ
1993年「NHK福島 MID NIGHT LIVE」
1993年9月9日「TVK系列 LIVE Y」
1993年9月18日「5時SATマガジン」
まとめ
当時の雑誌でメンバーそれぞれがこの曲を聴いた時の感想を語っていますので紹介させていただきます。2
JEN「すごいポップな曲で桜井らしいなとも思ったけど、サビから始まるとか、構成が新しくて。で、歌詞も今までに比べるとディテールが細かくなってるなぁって」
中川「桜井ってメロディに対して詞のハマりがいいと思うんですよ。ストーリーっていうか、流れってありますよね。それがすごくうまくいってるから、詞が進むにつれてどんどん音の世界も大きくなって、やってると気持ちよくなる」
田原さんだけ最初は少し微妙な反応…。
田原「当然いいとは思ってましたけど正直言えば他にもあったし。シングルになるってことに関しては“う~ん?”っていう感じだったんですけども。でも出来上がってみたら、今までの流れを汲んだ次への架け橋的なものになってて、なかなかいいんじゃないかって思いました」
それぞれいろんな感じ方をされていますが、やはりJENの言うようにMr.Childrenの楽曲では滅多にない“サビ始まり”にまず驚きがありました。
そのうえでキャッチーで耳に残るメロディーと、ストーリー性のある歌詞。
すごく良い曲だなぁと、僕は初聴きの時からとても大好きな曲です。
主人公の想いから始まり、愛しい君との日々をリプレイさせる構成は、まるでこっそり日記を見てしまったかのような、ちょっと小っ恥ずかしい気持ちにもさせられます。
そんなMr.Children 3rd Single『Replay』。
シングルだけで区切ると、ここまでがいわゆる“初期”にあたる作品です。
田原さんがコメントしていた「今までの流れを汲んだ次への架け橋的なもの」という表現が結果的に的を得ていて、爽やかなバンドのイメージから、その後『CROSS ROAD』⇨『innocent world』⇨『Tomorrow never knows』と一気に猛スピードでモンスターバンドへと様変わり。
『Replay』は数あるシングルの中で目立つ存在ではないかもしれませんが、一つの区切りの曲となったことは間違いないでしょう。
でも改めて聴くと、丁寧に作られたメロディーラインやキメ細く練られたアレンジ、そして切なくも前向きにさせてくれる歌詞、本当に良い曲です。
皆様もこの名曲を是非もう一度、“リプレイ”してみてください。