恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ(1990年に上映された映画)
個人的評価
Mr.Children 2nd ALBUM『Kind of Love』の4曲目収録されている楽曲『いつの日にか二人で』は、仮タイトルが『ミシェル・ファイファー』であり、雑誌「GB」にて映画『恋のゆくえ』を観て書いた曲であると語っている。
作品情報
あらすじ
長年ピアノ・デュオとして活動してきた兄フランクと弟ジャックのベイカー兄弟は、人気の低下により行き詰まりを感じていた。そこで新たな魅力を加えるために女性シンガーを迎えることになり、オーディションで現れたのが、場末のクラブで働く自由奔放な女性スージーだった。彼女の美貌と歌声によってトリオは再び注目を集め、成功の兆しを見せる。やがてジャックとスージーの間には微妙な感情が芽生えるが、それは三人の関係に亀裂を生んでいく。音楽、夢、現実、そして愛。それぞれが抱える思いや葛藤が交錯する中で、彼らはそれぞれの道を模索していく。都会の夜を背景に、大人たちのほろ苦いドラマが静かに進んでいく。
監督・キャスト
- 監督:スティーヴ・クローヴス
- 脚本:スティーヴ・クローヴス
- キャスト
- ミシェル・ファイファー(スージー・ダイアモンド)
- ジェフ・ブリッジス(ジャック・ベイカー)
- ボー・ブリッジス(フランク・ベイカー)
- エリー・ラーブ(ニーナ)
- ザンダー・バークレー(ロイド)
- ジェニファー・ティリー(モニカ・モラン)
- デイキン・マシューズ(チャーリー)
- ケン・ラーナー(レイ)
- アルバート・ホール(ヘンリー)
- グレゴリー・イッツェン(ヴィンス)
- トッド・ジェフリーズ(テオ)
レビュー(ネタバレあり)
シンプルなストーリーながらも心を動かされた。
切なさもありつつ、でもこれで良かったのかも…と思える大人な作品。
- 最も印象的なシーン:ジャックとフランクの仲直りシーン
- 最も印象的なセリフ:ジャック「会えるよ またいつか」
『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』は、音楽と人生、夢と現実、そして愛と孤独の間を彷徨う三人の男女を描いた、大人のためのドラマです。
スージーが、ピアノの上に横たわりながら「Makin’ Whoopee」を歌うシーンは有名。
赤いドレスを身にまとい、ピアノの上に体を預けながら、気だるげに、しかし観る者の心を射抜くように歌い上げる。(実際の撮影ではとても過酷なものだったそうです)
ジャックのピアノが彼女の素晴らしい声を優しく支えながらも、決して融合しきれない微妙な距離感を保っている。
その場面こそが、映画全体のトーンを象徴しているように思えました。
物語の始まりはピアノ・デュオとして活動する兄弟、ジャックとフランクが登場。
長年のルーティンに疲れ、惰性で仕事を続けてきた二人の前に現れたのが、無鉄砲で奔放なシンガー、スージー。
彼女の登場で二人の活動に新たな息吹を得るが、それは同時に三人の関係性に緊張と変化をもたらしていくというストーリー。
この物語の核にあるのは、きっと単なる恋愛ではありません。
それぞれが人生に対して抱える不満、未練、そして諦めを、音楽を通して交錯させていく。
そしてそこに明確な答えは出ない。
三人が迎える“ゆくえ”はどこか曖昧で、どこまでも現実的。
だからこそ、観る者の心にリアルな余韻を残す。
愛とは何か。
夢とは何か。
そして、誰かと一緒に生きるということは…。
最後のジャックが言い放つ「会えるよ またいつか」に根拠などきっとない。
静かに、深く胸に残る一作でした。
そしてそして何より…ミシェル・ファイファーが美しい。
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pr
- GB 1993年1月号 ↩︎
「ミッシェル・ファイファーの『恋のゆくえ』っていう映画があったじゃないですか。それで、あの中に出てくるようなスタンダードなものを書いてみたいなと思って作りはじめた曲なんですよ。で、なんとなく歌っているのが、ミッシェル・ファイファーみたいなイメージだったんで、そこから仮タイトルをつけて。もしかして、あの仮タイトルに影響を受けて、年上の女の人を好きになってしまう…という詞の内容が浮かんできたのかもしれない。1」