Mr.Children「幻聴」の解説と歌詞考察だよ♪
イメージしたことを忘れずに追い続ける
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
18th ALBUM | REFLECTION{Naked} | 2015年6月4日 |
18th ALBUM | REFLECTION{Drip} | 2015年6月4日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 2011 – 2015 | 2022年5月11日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿/編曲:小林武史&Mr.Children
アルバム『REFLECTION』累計売上:58.7万枚
アルバム『Mr.Children 2011 – 2015』累計売上:24.7万枚
豆知識
アルバムの候補曲が全て出揃ったと思われたその翌日にできた曲らしいよ♪
だから冒頭があの歌詞なんだな。
デモの段階からほとんどアレンジを変えていないらしいわ♪
(『{Naked}』ライナーノーツに記載されているURLにアクセスして聴けたDEMO音源ではサビ前2拍のブレイクがあったわ)
アルバムジャケット情報
- アートディレクター:丹下紘希
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて
桜井さんは「この曲のサビで歌っている内容は応援してくれているファンの皆さんと僕らの関係、みたいなところもありつつ、それが全てではないけれど」と解説しています。
本来「幻聴」とは”誰もいないのに声が聞こえる”という精神病、または薬物の使用による症状のこと。
この曲での「幻聴」はMr.Childrenにとってファンの声なのかもしれない。
聴き手にとっては、 Mr.Childrenの歌なのかもしれない。
でも桜井さんの言うように「それが全てではない」のが、この歌詞の素敵なところです。
歌詞考察
1番 Aメロ(やっと一息〜)
やっと一息つけるねって思ったのも束の間
<出典>Mr.Children/幻聴 作詞:桜井和寿
また僕は走り出す
決してのんびり暮らすのが嫌いなわけじゃない
でももう一度走り出す
冒頭のフレーズは「アルバム全曲が出揃った次の日にできた曲だから、そのままその時の気持ちを歌詞にした」とのこと。
必死に辿り着いたゴール。
やっと休めると思った途端、また次のゴールが現れる。
そんな循環的な生活の中で、何度も新たなステージに向かって挑戦していこうとする主人公。
でも自分はのんびり暮らすのが嫌いなわけじゃない。
けど、“やらずにはいられない”。
一度はやり切ったはずなのにまたも動き出す理由、それは一体何なのでしょうか?
どんな衝動が彼を動かすのでしょうか?
1番 Aメロ2(観覧車に〜)
観覧車に乗っかった時に目にしたのは
<出典>Mr.Children/幻聴 作詞:桜井和寿
地平線のある景色
そこで僕は手に入れたんだ
遮るもののない果てなく広がる世界
観覧車に乗った主人公は、大きく広がる景色を目にします。
そこで新たな可能性に気付きました。
それは「果てなく広がる世界」がまだあるということ。
この世界には限界や制約などないんだということ。
多忙な日常からは見えなかったものが、少し息抜きをしてみることで見えてくることもあります。
こんなにも自由な世界でのんびりしている暇はない、まだやれることはたくさんある。
そう感じられた主人公はもう一度走り出すことに決めたのです。
1番 Bメロ(夢から〜)
夢から夢へと橋を架けて渡る
<出典>Mr.Children/幻聴 作詞:桜井和寿
そんなイメージが駆け巡り
夢がひとつ叶ったら、また次の夢の橋を架ける。
そうやって自分の可能性を広げていくイメージで前進し、成長していく。
「果てなく広がる世界」のように主人公の頭の中には「果てなく広がる夢」が膨らんでいます。
1番 サビ(向こうで〜)
向こうで手招くのは宝島などじゃなく
<出典>Mr.Children/幻聴 作詞:桜井和寿
人懐っこくて 優しくて 暖かな誰かの微笑み
遠くで すぐそばで 僕を呼ぶ声がする
そんな幻聴に 耳を澄まし追いかけるよ
夢の橋を渡っていく主人公。
その終着点に見えているのは、宝島などではない。
つまり、富や名声などではないのです。
待っているのは“暖かな誰かの微笑み”。
自分だけが宝を手にするのではなく、誰もが笑顔でいられる場所を目指しているのです。
耳を澄ませばたくさんの笑い声が、遠いところから、すぐそばにも、聞こえるような気がする。
もちろん何事もなしにそんな幻聴が聞こえてくるわけではありません。
夢の橋を渡る過程で、いろんな喜びや悲しみを誰かと共有し、成長してこれたから。
だからこれからも、その幻聴に勇気をもらいながら、夢を追いかけようと心に決めるのです。
2番 Aメロ(切り札を〜)
切り札を隠し持っているように思わせてるカードは
<出典>Mr.Children/幻聴 作詞:桜井和寿
実際は何の効力もない
だけど捨てないで持ってれば
何かの意味を持つ可能性はなくない
夢に向かって歩く主人公には、そこに辿り着けるであろう根拠や切り札はありません。
「夢を追い続ける」という強い想いだけがあります。
もしかしたら僕という人間は、見た目だけカッコつけて、強がって、何にも動じないように見せているだけ。
本当の中身は見掛け倒しの弱い人間なんだろう。
だけど、ハッタリでもいいんです。
強い気持ちを持ち続ければきっとそれが“ホンモノ”に変わる可能性はある。
“強くあれ”と思うことが「明日も頑張ろう」という原動力になるのです。
無理だ無駄だ無謀だと諦めるのではなく、可能性をイメージすることも大切なのです。
2番 Bメロ(一歩〜)
一歩 また一歩 確実に進む
<出典>Mr.Children/幻聴 作詞:桜井和寿
そんなイメージも忘れずに
夢から夢へ橋を架けるイメージができたなら、その橋を一歩一歩確実に進むイメージもしないといけない。
目標や理想を見失わず、確実に積み重ねていくことを忘れてはいけません。
2番 サビ(僕を手招く〜)
僕を手招くのは華やかな場所じゃなく
<出典>Mr.Children/幻聴 作詞:桜井和寿
口下手で 人見知りで ちょっと寂しがり屋の溜息
遠くで すぐそばで 君の呼ぶ声がする
そんな幻聴に耳を澄まし追いかけるよ
僕を呼ぶたくさんの人の中に、寂しそうに溜息をつく「君」がいました。
微笑む人々の中には辛い思いをしている人もいる。
そう、そこは決して誰もが幸せで華やかな場所ではないのです。
完璧な世界などまやかしに過ぎない。
僕はそんなか細い声に耳を澄ませながら、「君」も笑顔にするためにも夢を追いかけます。
ラスサビ(向こうで〜)
向こうで手招くのは宝島などじゃなく
<出典>Mr.Children/幻聴 作詞:桜井和寿
人懐っこくて 優しくて 暖かな誰かの微笑み
遠くで すぐそばで 僕を呼ぶ声がする
そんな幻聴に 耳を澄まし
また今日も夢の橋を渡り追いかけるよ
歌詞を読み進めていき感じたのは、この曲のテーマは「イメージすること」そしてそのイメージしたことを忘れずに追い続けるということ。
「幻聴」も言わば、“そんなイメージ”です。
ただ、この曲で大事なことはその「幻聴」は単なる錯覚・妄想などではなく、多くの人との繋がりや経験が言葉にならない形で主人公の心に響いているということ。
その幻聴やイメージを頼りに夢の橋を渡る。
でも辿り着く先にあるのは、金銀財宝の眠る宝島などではない。
物質的なものではなく、人の優しさや暖かい微笑みが溢れているような場所です。
それは例えば“人を楽しませる”ということであったり。
富や名声よりも大切なものを様々な経験から、主人公は学んだのでしょう。
聴きどころ
メロディー
サビ頭がコードの構成音に半音上で乗せる、桜井さんの得意とするメロディーラインです。
例えば『しるし』や『くるみ』、『永遠』など、『彩り』のAメロもですね。
ミスチルの中でも似た曲があるように聴こえるのは、それを多用しているという理由もあると思います。
でもこの曲の歌詞にはその浮遊感がピッタリで、「向こうで〜」の「む」の音を浮かせることによって、より“遠い向こう”をイメージできます。
言葉の選び方も素晴らしいということですね。
サビはキャッチーで一般ウケしやすく、人気もありますが、個人的には若干早口のAメロが聴いていて気持ちいい。
王道の進行の中でまだこんな素敵なメロディーが書けるのかと、尊敬します。
アレンジ
イントロのシンセの感じからゆったりとした曲なのか?と思いきや、途中で16ビートのベースラインが入り、疾走感のある曲へ移行するのがとても良いですね。
桜井さんは「今まではせーのでやってそれに何かをつけ足していったけど、今回はデモに近いまま、全部の骨格を見てもらえる曲に仕上がったと思います」とコメント。
そしてご存知、独立前最後の小林武史プロデュース作品の一つです。
この曲で小林さんがMr.Childrenを次の夢の橋へ見送ったと考えると、感慨深いものがありますね。
シンプルかつ壮大なアレンジです。
著名人の感想
随時更新します
ライブ&テレビ披露
ライブ
- FATHER&MOTHER 21周年祭 ファンクラブツアー
- TOUR 2015 REFLECTION
- STADIUM TOUR 2015 未完
- FATHER&MOTHER Special Prelive 2018.9.26 TOKYO DOME CITY HALLー
- Tour 2018-19 重力と呼吸
- ap bank fes ’23 ~社会と暮らしと音楽と~
- tour 2023/24 miss you
オススメ映像作品
LIVE DVD & Blu-ray『Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸』
歌のアレンジも多く、「口下手で 人見知りで」「人懐っこくて 優しくて」を会話しているように歌うのが良き!歌も安定しています。
テレビ
- 2015年6月20日「SONGS」Mr.Children~その一言から世界が始まる~
まとめ
イントロの壮大さ、Aメロの疾走感、Bメロの王道感、そしてサビのミスチルらしさ。
映画『Mr.Children REFLECTION』で初めて聴いた多くの未発表曲の中で、特に心に響いた1曲でした。
この曲は『蜘蛛の糸』や『放たれる』などと同様、独立する前の最後に小林さんと制作された楽曲の一つです。
ライブ会場や心の空間を満たすひとつひとつの音。
前向きな歌詞を伸び伸びと歌い上げる桜井さん。
まるでこれまでの活動の“答え”が詰まっていると言えるような印象を受けました。
桜井さんは「NHK SONGS」に出演した際にも、この曲を「ライブでやることをイメージしていて、僕らとお客さんとの関係性みたいなものが歌われていると思います」とコメント。
やはり多くの方が考察されているように、Mr.Childrenとファンを歌った曲でもあることは間違いなく、夢を追う人への応援ソングでもあります。
そしてもう一つ、この曲が出来たきっかけとして、桜井さんはこんなエピソードを語っています。
「ものすごく田舎の町に行って、ちっちゃな機材でちょっとしたイベントをやった時に、歌(幻聴)にあるそのままのことを思ってて。Mr.Childrenとして活動してきて、大衆であったり、アリーナだったりというところに向かって常にやってきたんだけど、だからこそ、ナオト・インティライミに出会った時にすごい憧れがあった。ああやってギター1本で人とコミュニケーションして、ほんとに目の前の何人かを楽しませる能力ってすごいなあと思ったし。でも、俺らはアリーナで1万人のオーディエンスを、照明、映像、音響さん、スタイリストさん、メイクさんに関わって喜ばせることはできても、ほんとに俺、素で、一人でギター1本持って人を喜ばせることができるのかなぁっていうコンプレックスもずーっとあって。これがミュージシャンとしてのひとつの喜びかもって。そんな経験をした直後ぐらいに歌詞も書いている」
桜井和寿
『幻聴』は、人と人との繋がりや楽しさ、誰かを幸せにする優しさ、暖かさを歌った歌でもあるような気がします。
Mr.Childrenが僕らに架けてくれる橋は、「宝島」へ向かう橋ではない。
「人懐っこくて 優しくて 暖かな誰かの微笑み」があればじゅうぶんな、世界で一番幸せな島への架け橋を、みんなの足元に架けてくれているのです。