Mr.Children「Distance」の解説と歌詞考察だよ♪
離れていった心の距離
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
2nd ALBUM | Kind of Love | 1992年12月1日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿・小林武史
豆知識
今のところ特にないよ!
強いて言うなら…
失恋ソングね…
アルバムジャケット情報
- 真ん中の帽子を持っているのはJENの手
- 「What a Kind of Love Do You Like?」は信藤さんが足したもの
- アートディレクター:信藤三雄率いるContemporary Production
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて
「Distance」→「距離」
それは二人の”心の距離”であり「別れ」という結末への”道のり”であり、様々な意味が含まれています。
歌詞考察
1番 Aメロ(いつものように〜)
いつものように ずっと
<出典>Mr.Children/Distance 作詞:桜井和寿
黙ったまま 二人
走り抜ける 夜のハイウェイ
恋人と走る夜の高速道路。
会話がないのは“いつものように”とあるため、今に始まった事ではないようです。
沈黙の中、二人はどこへ向かおうとしているのでしょうか?
1番 Aメロ2(見慣れた〜)
見慣れた街を 背に
<出典>Mr.Children/Distance 作詞:桜井和寿
哀しみを 胸に
今夜 最後のMoonlight driving
月夜のドライブ。
沈黙の彼女を乗せた車は、今いた街からどんどん遠ざかっていきます。
街の景色はいつもと変わらないのに、主人公には胸が軋むような哀しみが込み上げてくる。
その理由は、想い出がたくさん詰まったその街に、もう二人で戻ることはないからです。
そう、これが最後のドライブ。
哀しみを堪えながらハンドルを握る主人公。
二人は今日でこの関係に、終止符を打とうとしているのです。
1番 Bメロ(あの時〜)
あの時 君が言ってた
<出典>Mr.Children/Distance 作詞:桜井和寿
言葉が今 嘘になる
哀しみと共にいつかの君の言葉を思い出します。
例えば「ずっと一緒にいようね」など、そんな約束の言葉だったのでしょうか。
当時は嘘偽りなく、心から言ってくれたのかもしれません。
でも今夜彼女を送り届けてしまうことで、その交わした約束は白紙になってしまうのです。
1番 サビ(愛しい君の〜)
愛しい君の笑顔が
<出典>Mr.Children/Distance 作詞:桜井和寿
涙で にじむ前に
さよなら 輝いていた 想い出だけを
心の中に
君の笑顔を思い返すと涙が溢れそうになります。
でも、まだ泣いてしまうわけにはいきません。
「さよなら」をするまでは、涙を堪えます。
君とはもう「さよなら」です。
でもせめて楽しかった想い出だけは心の中にしまっておきたい。
この段階ではそう思っている主人公。
外は次第に雨が降ってきました。
2番 Aメロ(窓を打つ〜)
窓を打つ雨が
<出典>Mr.Children/Distance 作詞:桜井和寿
やむころには 二人
孤独な自由と 向き合って
二人の沈黙により、窓を打つ雨の音が車内に響きます。
「やむころには到着するだろう」
そして互いは自由という名の孤独と向き合うこととなるのです。
「必ずすぐに寂しくなる」
主人公はそんな気がしたのかもしれません。
2番 Aメロ2(気づき始めてた〜)
気づき始めてた
<出典>Mr.Children/Distance 作詞:桜井和寿
離れてゆく心
つないだのは いたわりだけ
二人の心の距離(Distance)が離れていっていることに、彼はいつからか気づいていました。
では何故すぐに別れなかったのか?
それは互いに情や思い入れがあったからだと主人公は振り返ります。
“日常が変化してしまうことが怖かった”
そして”自分がいなくなると相手はどうなってしまうんだろう”という情。
僕らの関係はそれだけだったと思うのです。
2番 Bメロ(あの時〜)
あの時 僕が話した これからの二人の夢
<出典>Mr.Children/Distance 作詞:桜井和寿
主人公も彼女に二人の将来を語っていました。
色々と予定を立てていたのでしょう。
でもそれも白紙です。
2番 サビ(いつかは〜)
いつかは こんな日がくると
<出典>Mr.Children/Distance 作詞:桜井和寿
互いに 解ってたのに
それでも そばにいたのは
臆病だから? 愛していたから?
「臆病だから?」
「愛していたから?」
と、ここで主人公は自分に問います。
別れが来ることは分かっていた。
でも君を送り届ける最後のこの時間に、何故か主人公は泣きそうなほどの哀しみを感じています。
それまでお互いの心の距離が離れていると思い、別れを決めたはずだった。
だけどここにきて主人公の心の中に、一つの疑問が生まれたのです。
「臆病だから?愛していたから?」
Cメロ(アクセルを〜)
アクセルを強く踏んで 君の街へ
<出典>Mr.Children/Distance 作詞:桜井和寿
二度とは引き返せない 記憶の中へ
自問している内に彼の中で強い想いが溢れてきます。
「楽しかった記憶の中の二人に”戻りたい”」
それが先ほどの自問に対する自答です。
あの頃に戻りたい気持ちが溢れ、アクセルを強く踏んでしまう。
君を本当に愛していたんだという事にここで気づくのです。
だけどもう今更どうにもできません。
彼女の心はもう離れてしまっているからです。
ラスサビ(愛しい君の〜)
愛しい君の笑顔が
涙で にじむ前に
さよなら 輝いていた想い出に 今いつかはこんな日がくると
<出典>Mr.Children/Distance 作詞:桜井和寿
互いに解ってたのに
それでも そばにいたのは
臆病だから?
それとも今でも
愛しているから?
二人で過ごした街から遠ざかっていくにつれ、君との別れが近づき現実味を帯びてくる。
君の笑顔がまた僕の記憶に引き返してしまわぬよう、輝いていた想い出にすら「さよなら」をしようとします。
それでもまた問いかける。
「臆病だから?」
「愛しているから?」
愚問ですね。
二人は今もなお、夜のハイウェイを走り続けています。
聴きどころ
メロディー
同じリズムで淡々と下降していくAメロ。
沈黙のままハイウェイをひたすら走る情景が浮かんでくるようです。
Bメロもほぼ4分音符のみで刻み、音は上下を行き来しています。
これもまるで迷いと気持ちの変化を表しているよう。
そしてサビは入り口で音域がガクッと下がり、マイナー進行の切なくメロディアスな歌が感情を掻き立てる様に心に響きます。
というように綺麗なメロディーですが、孤独で哀しい気持ちが伝わってきます。
桜井さんはこのメロディーだったからこそ、こんなに切ない物語を作ってしまったのだと思います。
アレンジ
暗い雰囲気と切ないイントロのギターの音色が印象的。
現に過去に当サイトで行った「ファンが選んだMr.Children好きなアルバム曲ランキング」の1st ALBUM〜10th ALBUM部門では、77曲中『10位』にランクインしており、その理由にギターの音色やフレーズに注目が集まった楽曲でした。
ちなみに田原さんは「ギターのディレイの使い方が、ちょっとU2っぽい」とコメントしています。
確かに「U2」はディレイを多用するイメージがあるので、共感できる方も多いのではと思います。
著名人の感想
随時更新します
ライブ&テレビ披露
ライブ
- ’92 Your EVERYTHING TOUR
- ’92-93 Kind of Love TOUR
- ’93 Versus TOUR
オススメ映像作品
現在映像収録作品はございません。
テレビ
なし
まとめ
最初はイントロから暗いムードが漂っていたので敬遠していた曲なのですが、ある日突然好きになりました。
というのは歌詞をちゃんと読んだ時ですね。
やはりある程度年齢を重ねてからの方が、より共感できるような内容だったのかなと思います。
例えば「つないだのは いたわりだけ」という感覚は、長く付き合っていくことで抱き始める感情なのかなとも思いますし、大人な曲という印象です。
物語は離れていった心の距離などがテーマでしたが、歌詞を読んでいると一つ違和感がありました。
というのは、二人で車に乗っているはずなのに無言であるということ以外の彼女像が全く描かれていないのです。
どういう人物なのか?
彼女は付き合ってる間どんな気持ちだったのか?
今何を思っているのか?
それが分からないから、聴き手は主人公だけが哀しい思いをしていると思い込んでしまいます。
でももしかしたら「いたわり」だけで接していた主人公の心が離れていたというだけで、彼女は今日まで愛していたかもしれない。
色んな想像が出来ますよね。
運転席と助手席で二人の距離は近いはずなのに遠くにいるような感じがします。
でもこの表現方法だからこそ、長距離ランナーの孤独のように、ただハンドルを握り一人葛藤している。
そんな主人公の哀しさ、虚しさが最大限に引き出されているなぁと感じました。
「心の距離」と「君の街までの距離」
そして「今、近くて遠い二人の距離」
そんな3つの『Distance』を感じました。