Mr.Children「水上バス」の解説と歌詞考察だよ♪
とても切ない恋愛物語
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
15th ALBUM | SUPERMARKET FANTASY | 2008年12月10日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
桜井さんはメロディーと同時に「水上バス」という言葉は浮かんだものの、水上バスが登場する物語が思いつかなかったみたい。
そのため一度歌詞がクリスマスソングになったんだって♪
でもメンバーから反対されたんだぜ。
歌詞を書く為に実際に横浜の赤レンガ倉庫付近から水上バスに乗ったらしいわ♪
石油の匂いもホントにしたらしいね!
アルバムジャケット情報
- CGを一切使用していない(デジタルに負けたくない一心で)
- 実際のスーパーを貸し切り、商品も人も全て上から吊っている
- 男女二人の設定は小学時代の初恋相手(詳しいストーリーは→こちらの動画で解説しています)
- アートディレクター:森本千絵
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて
「水上バス」とは定期的に運行する船。
その水上バスに乗り、主人公に会いに来る彼女との壮大な恋愛物語です。
歌詞考察
1番 Aメロ(買ったばかりの〜)
買ったばかりのペダルを
<出典>Mr.Children/水上バス 作詞:桜井和寿
息切らせて漕いでは桟橋へと向かう
深呼吸で吸い込んだ風は
少し石油の匂いがして
その大きな川に流れてた
主人公は自転車に乗り、息を切らしながらペダルを漕いでいます。
新調したばかりの自転車。
それはこの特別な日のために準備した彼なりのコーディネートであり、尚且つ、いつまでも”続く”であろう幸せな日々を見据えて買ったもの。
これから沢山、この自転車で楽しい思い出を作るのです。
主人公の目的地は、とある倉庫付近にある桟橋。
さぁ、川沿いを走っていると、風が石油の匂いを運んできます。
「もうすぐだ!」
1番 Bメロ(君を待ってる〜)
君を待ってる 手持ち無沙汰に
<出典>Mr.Children/水上バス 作詞:桜井和寿
ぼんやりした幸せが満ちてく
向こう岸から ゆるいスピードで
近づいてくる水飛沫は君かな?
息を切らしながら桟橋へ到着。
その目的は、恋人である君を迎えに行くため。
彼は手持ち無沙汰に海を眺めながら、彼女を待ちます。
きっと再会後のデートコースを考えながら、ぼんやりとした幸せを感じているのでしょう。
すると静かな水面にゆっくりと水飛沫が上がります。
それは彼が待ち侘びていた光景。
これまで何度もここで待ち合わせをしていたのでしょう。
だから主人公は「水飛沫=君」だと予想を立てることができたのです。
1番 サビ(水上バスの〜)
水上バスの中から僕を見つけて
<出典>Mr.Children/水上バス 作詞:桜井和寿
観光客に混じって笑って手を振る
そんな透き通った景色を
僕の全部で守りたいと思った
水飛沫の正体は水上バス。
大勢の観光客に混じり一人手を振る女性が主人公の彼女です。
君が笑って手を振ってくれている光景がとても幸せ。
手を振ってくれると、君もこの瞬間を待ち侘びていたんだと思えて、嬉しくなります。
この曇りなく透き通っている幸せなシチュエーション。
この一瞬を大切に守りたいと思う主人公です。
2番 Aメロ(君乗せて〜)
君乗せて漕ぐペダルにカーラジオなんてないから
<出典>Mr.Children/水上バス 作詞:桜井和寿
僕が歌ってた
そのメロディーに忍ばせて
いとしさの全部を
風に棚引かせて歌ってた
君の乗る水上バスが桟橋まで到着しました。
新しい自転車の後ろに君を乗せて走り出します。
主人公は嬉しさのあまり、ちょっぴり会話に緊張しているのかもしれません。
これが車であればラジオで紛らわすことができる。
しかし今乗っているのは自転車…。
だから彼は自らの声で歌い出しました。
でもただ気を紛らわせるために歌っているのではありません。
ありったけの愛しさ込めて、好きという気持ちがさりげなく君に届くように歌います。
もしかしたら、Mr.Childrenの曲を歌っているのかもしれませんね。
2番 Bメロ(この間偶然〜)
「この間偶然見つけたんだよ
<出典>Mr.Children/水上バス 作詞:桜井和寿
新しいカフェ きっと気に入るよ」
君と過ごす日のことをいつでも
シミュレートしてこの街で暮らしてるんだ
ペダルを漕ぎながら、彼はここで事前に考えていたデートコースを提案をします。
「この間偶然見つけたんだよ 新しいカフェ きっと気にいるよ」
「偶然」と言っていますが、きっと一生懸命探して選んだのでしょう。
なぜなら彼は、“君と過ごす日のことをいつでも シミュレートして”暮らしてるからです。
彼女とのデートが楽しみでしょうがなかったのですね。
もちろんそれを考える時間も、幸せです。
2番 サビ(夕陽が窓際の〜)
夕日が窓際の僕らに注ぎ
<出典>Mr.Children/水上バス 作詞:桜井和寿
君は更に綺麗な影を身につける
君への思いが暴れだす
狂おしいほど抱きしめたいと思った
新しいカフェで楽しく談笑。
しかしそんな時間も束の間。
窓際に座る僕らに、夕日が時の終わりを告げようとしています。
燦々と輝く太陽が時刻と共に光の色を変え、君の影のコントラストが強くなる。
赤い光に照らされた影は長く伸び、シャープでくっきりとした綺麗なシルエットとなったのです。
そうそれはまるで、あどけない子供が美しい女性に成長したかのように。
「君を帰したくない」
その想いは時が過ぎていくにつれて強くなります。
このまま狂おしいほどに抱き合い、朝まで愛し合うことができたら…と思う主人公。
でもそこは思うだけにして、次の機会を待とうと大切に彼女を見送ります。
そう、そんな風に、幸せは続くと思っていた…。
Cメロ(川の流れのように〜)
川の流れのように
<出典>Mr.Children/水上バス 作詞:桜井和寿
愛は時に荒れ狂ってお互いの足をすくいはじめる
僕が悪いんじゃない でも君のせいじゃない
「さよなら」を選んだ君はおそらく正しい
あれから時が過ぎ、穏やかに流れていた二人の時間に亀裂が走りました。
自然をコントロールできないように、恋愛もシナリオ通りにはいきません。
そう、二人は悲しくも「別れ」を決断したのでした。
それは互いに非のない別れだったようです。
「さよなら」を選んだのは君。
より遠距離になったのか?将来を見据えてなのか?理由は分かりません。
でも主人公はまだ心から受け入れられない。
「おそらく正しい」と迷い、疑いながらも言い聞かせることしかできないのです。
3番 Bメロ(悲しみが満ちてく〜)
悲しみが満ちてく
<出典>Mr.Children/水上バス 作詞:桜井和寿
僕は待ってる 今日も待ってる
想い出の中に心を浸して
幸せを乗せた自転車…。
待ち合わせの桟橋…
想い出のカフェ…。
見渡せば様々な追憶が湧き上がってきます。
君と過ごしたあの日々を忘れることができません。
主人公は今日もあの場所へ向かいます。
ラスサビ(水上バスの〜)
水上バスの中から僕を見つけて
<出典>Mr.Children/水上バス 作詞:桜井和寿
観光客に混じって笑って手を振る
そんな穏やかな景色を巻き戻すように
川の流れに沿って
ひとりペダルを漕いで
あの日より軽いペダル。
幸せだった時間を巻き戻すように、ペダルを漕ぐ度コマ送りされていく想い出。
石油の匂いが懐かしい。
あの桟橋へ続く川の流れに沿って、主人公はひとり自転車を漕ぎ続けます。
でも、水飛沫の先に笑って手を振る君は…もういないのです。
聴きどころ
メロディー
桜井さんはサラッと歌い上げていますが、音の上がり下がりが非常に激しいメロディーです。
「買ったば↑か↓り↑の↓ペ↑ダ↓ル↑を〜」
「息切らして漕↑いで↓は↓」
特に「漕いでは」で下の音に着地させるのが難しいですね。
Bメロも然りです。
この曲はメロディーが先にできたそうです。
注目すべきなのは物語が急展開するCメロ。
あんな結末になったのは、桜井さんがそうしたかったわけではなく「そうせざるを得なかった」と語っています。
というのは、1番、2番の幸せ絶頂の中、Cメロでコード進行が暗いマイナー調に切り替わり、メロディーも下降していくため、急にどこか怪しい雰囲気になります。
そんなメロディーを作ってしまったことにより、直感的に悲しい結末として”書かされた”物語だったのです。
アレンジ
個人的に大好きなアレンジです。
アコギとシンセの音色から情景が浮かんでくる感じがとても心地良いです。
まさにこれこそ「ぼんやりした幸せ」のイメージです。
特に好きなのは3番のBメロ。
最初のフレーズ(1番でいう「君を待ってる 手持ち無沙汰に」)の歌メロをシンセでなぞり「悲しみが満ちてく」と繋がるのがまた切ないです。
ストーリーは展開があるのに、一つの場面を切り取ったような作品にも思えます。
著名人の感想
随時更新します。
ライブ&テレビ披露
ライブ
- Tour 2009 ~終末のコンフィデンスソングス~
- Hall Tour 2016 虹
- Hall Tour 2017 ヒカリノアトリエ
オススメ映像作品
Mr.Children Tour 2009 ~終末のコンフィデンスソングス~
現在はこの作品でしか観れません♪ナオト・インティライミさんがコーラスとして参加しています!
テレビ
- なし
まとめ
とても落ち着く音色の曲です。
目を瞑ってイントロを聴いただけで透き通った景色が思い浮かび、緩やかな川のせせらぎのような心地良さがあります。
でも物語は「切ない」の一言です。
実際この曲を出した時、“なぜこんな結末になったのか”と周りから言われたそうです。
理由は「メロディーがそうさせた」ということでしたが、逆にもしこのメロディーでなければ物語はハッピーエンドになっていたかもしれません。
でもこの謎に悲しすぎる展開だからこそ「なんでこうなったんだろう?」とより曲に関心の目をむけることができ、より曲に魅力を感じることができるように思います。
曲の構成もとても素敵です。
1番サビ前半の「水上バスの中から僕を見つけて 観光客に混じって笑って手を振る」を敢えてラスサビでまた繰り返します。
これはただ歌詞をリピートしたわけではなく「そんな穏やかな景色を巻き戻すように」というフレーズを加えることで意味のあるリピートになっています。
主人公の回想を構成に取り入れていると分かった時は鳥肌ものでした。
結末は悲しいですが、感情移入できる素晴らしい作品でした。