【turn over?】完全解説+歌詞の意味/Mr.Children

SOUNDTRACKS
チルカン
チルカン

Mr.Children「turn over?」の解説と歌詞考察だよ♪

ポイント

人間らしい愛のカタチ

楽曲紹介

楽曲収録CD

概要収録作品発売日
8th 配信限定 Singleturn over?2020年9月16日
20th ALBUM「SOUNDTRACKS」2020年12月2日

作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿/編曲:Mr.Children & Steve Fitzmaurice & Ken Masui
配信:4万ダウンロード
アルバム『SOUNDTRACKS』累計売上:38.8万枚

豆知識

チル鶏
チル鶏

タイアップはTBS系ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』の主題歌として起用されたよ♪

チル鶏ブラック
チル鶏ブラック

ドラマの感想ブログもあるから是非読んでくれな♪

シングルジャケット情報

created by Rinker
¥250 (2025/10/19 21:50:10時点 Amazon調べ-詳細)
  • アートディレクター:常田大希 (King Gnu) 主宰「PERIMETRON」
  • 空を飛ぶ2羽の鳥のイラストが使用されている

MV(ミュージックビデオ)情報

撮影場所 通常

なし

ミュージックビデオはございません。

タイトルについて

タイトル『turn over?』は、直訳すると「裏返す・ひっくり返す」という意味があり、また、ビジネス用語では「売上高」や「人事異動」、美容界では「肌の代謝」という意味で使われていたり、桜井さんの大好きなサッカーでは「メンバーを大きく入れ替える」という意味があったりと、とにかく色んな場面で使われる言葉のようです。

ではこの曲においての『turn over?』は何を意味するのか?
歌詞考察の最後に僕なりの解釈があります。
是非最後までご覧ください。

歌詞考察

1番 Aメロ(明け方の〜)

明け方の東京はしらけた表情で
眠れないボクのことを見下ろしてる

<出典>Mr.Children/turn over? 作詞:桜井和寿

何かを思い悩んでいたのか、明け方まで眠れなかった主人公。
昨日という日をリセット(turn over)できないそんな自分を、巨大な都市が高みからしらけた表情で俯瞰するように見下ろしている。

「東京」という街を「しらけた表情」と擬人化することで、冷ややかで面白くもない孤独な状況がイメージできます。

1番 Aメロ2(こんなスタートで〜)

こんなスタートで今日を迎えてしまうのは
「誰のせいなんだ!?」って言いたくもなる

<出典>Mr.Children/turn over? 作詞:桜井和寿

気持ちの整理もつかないまま、また、“やり残し感”が残ったまま、無理やり朝がやってきてしまう。
本当は新しく気持ちを入れ替えて(turn over)今日を迎えたいのに…。

「誰のせいなんだ!?」

と言いたくもなるくらい、主人公はやり場のない苛立ちを感じています。

1番 Bメロ(キミは今〜)

キミは今どう思っているの?
すれ違いの日々を

<出典>Mr.Children/turn over? 作詞:桜井和寿

ここで独り言のようにキミへの呼びかけが入り、主人公が眠れずにイライラする理由がなんとなく判明します。

その原因は「キミとのすれ違い」にありました。
主人公はこのすれ違った現状に対して、「キミは今どう思っているの?」と問いかけます。

「僕は眠れないくらい悩んでいる、キミも同じように悩んでくれてるだろ?」
そんな気持ちすら含む問いのように聞こえます。

1番 サビ(映画じゃ〜)

映画じゃ躓いても立ち直っていくってストーリー
散々観たろう?だけど現実は違う
誰かしら泣いてんだよ 栄光と美談の裏で
だからさ よく考えてみて
機嫌直してよ

<出典>Mr.Children/turn over? 作詞:桜井和寿

映画やドラマでは、挫折も一つのスパイスで、最終的には美しく回収される。
観客はそれに感動を覚えます。

でも現実はそう単純じゃない。
失敗の後にすぐ立ち直れるわけではないし、必ずハッピーエンドが待っているわけでもない。
また、成功の裏にはきっと誰かの涙がある。

だから感情的にならず、冷静にもう一度考えてみてほしい。

「機嫌なおしてよ」

二人は喧嘩中だったようですね。
哲学的な言葉で呼びかけた後で、結局言いたいのは「仲直りしたい」という素朴な気持ち。

「現実は理想通りいかない、でもそれでも一緒に向き合っていきたい。」そんな切実なメッセージでした。

2番 Aメロ Bメロ(頭の中〜)

頭の中 妄想が渦を巻いている
悪いことばかりを考えてしまう

キミに必要な理解者
今こそなろうと思います

<出典>Mr.Children/turn over? 作詞:桜井和寿

ここまで描かれてきた“苛立ち”や“すれ違い”の原因が、もしかしたら自分にあるのかもしれない…と自覚し始めています。
最初は「誰のせいなんだ!?」と言っておきながら、悪い妄想に囚われ反省…。

だから「自分が理解されたい」ではなく「相手にとって必要な理解者になりたい」。
このフレーズがまさにこの曲のターニングポイント、「turn over」です。

2番 サビ(子供らの〜)

子供らの聖歌隊 その歌声のように
どこまでも透き通っていて嘘はない
forever love
I’ll make you smile
叫びたいくらいだダーリン
我が人生で最愛の人は
そうキミ一人

<出典>Mr.Children/turn over? 作詞:桜井和寿

苛立ちから一転、完全に曇りのない愛情が描かれます。

子供の聖歌隊のイメージは、「純粋な祈り」。
これまで妄想や誤解で曇っていた視界が、一気に晴れたようなフレーズです。

「forever love
I’ll make you smile」

「永遠の愛
キミを笑顔にするよ」

主人公は今、そう叫ばずにはいられないほどの愛が溢れている。
これまで“turn over?”の「?」だったものが、ここで「!」に変わったような高揚感がありますね。

そして最後のフレーズは曲全体の着地点となるため、ラスサビまでとっておきましょう。

Cメロ(地球は回る〜)

地球は回る 僕らとは無関係で
それもそうさ いろんなカタチの愛があって
今日も生まれては消えてく

<出典>Mr.Children/turn over? 作詞:桜井和寿

地球は黙って回り続け、人の感情や人のドラマなど気にしない。
主人公は自分の愛を広い世界の中で見つめ直しています。

君と僕の「愛」だけが全てじゃない。
世の中にはたくさんの人がいて、「いろんなカタチの愛」がある。
毎日どこかで新しい出会いと愛が生まれ、同時に別れや終わりを迎える愛もある。

これは主人公にとっての気づきの場面ですね。

そして序盤のカタカナ表記の「ボク」が漢字表記に変わっています。
「誰のせいなんだ!?」と外に責任を求めていた未熟な自分が、相手の理解者になろうとし、愛を誓う成熟した「」へと成長したという印象です。
これもひとつの「turn over」ですね。

ラスサビ(面倒臭くて〜)

面倒臭くて手に負えないな
この愛という名の不条理
懲り懲りだって思うけど キミ無しじゃ辛い
forever love
I’ll make you smile
叫びたいくらいだダーリン
この人生で最大の出会いと悟ったんだ
我が人生で最愛の人は
そう キミ一人
ただ一人

<出典>Mr.Children/turn over? 作詞:桜井和寿

愛はときに人を苛立たせ、振り回したり、苦しめたりする、不条理だらけの感情。
とても面倒臭い。
「もう嫌だ」と突き放したくなる。

だけど結局キミ無しじゃ生きられない。
だから主人公は、愛の不条理さを含めて、“人生最大の出会い”だと受け止め、結論づけました。

「我が人生で最愛の人は そう キミ一人」

どんな現実であっても、誰かの涙があっても、妄想に囚われても、主人公にとっての揺るがない真実は「キミを愛している」ということだったのです。

この曲には、さまざまな場面での“turn over”が描かれています。
全体を通して浮かび上がるのは、感情が何度も「切り替わっていく」姿です。
そこに「?」が添えられることで、その切り替えにはどこか確信を欠いた揺らぎが生まれる。

つまり『turn over?』とは、「本当に変われるのだろうか」という問いを抱えながら、それでも誰かを愛そうとする、人間らしい愛のカタチを描いているのかもしれません。

聴きどころ

メロディー

短い曲ながら何度も転調したり、コード進行も「そこいくか!?」という所もあったりで、かなり凝っています。

特に僕がお気に入りなのが、サビの入り口「(すれちがいのーひー)びーをーえい(がじゃー)」の「びーをーえい」の音が全て同じであるというところ。
サビ前の2音が同じ音なのはいいとして、サビに入る最初の1音も同じ音なのに、サビに入った感がある。
これは転調しているからサビへの盛り上がりを感じるのだと思いますが、これをやる度胸が流石でしかない。

ちなみにこの曲のコード進行について桜井さんは雑誌でこのように語っていました。
「ここまで転調転調みたいなことはあまりないかな。ハモンドオルガンを弾いてくれたヘンリー(・バウワーズ=プロードベント)が、『スティーリー・ダンみたいなコード展開だ』って言ってくれて、それが凄い嬉しかったですね。1

僕も『スティーリー・ダン』を聴いてみました。
なんとなく雰囲気は伝わってきますので、是非比べて聴いてみてください。

アレンジ

  • 原曲Key=F(サビ→A♭)
  • BPM(テンポ)130

アルバム『SOUNDTRACKS』がリリースされた当初、雑誌などでMr.Childrenのインタビューを読まれた方は、何度も「スティーヴ・フィッツモーリス」という名を目にしたと思います。

ご存知アルバム全楽曲の編曲を担当しており、彼がいなければ『SOUNDTRACKS』は生まれていなかったと言っても過言ではないキーマンの一人です。
この曲ももちろん彼が編曲を手掛けており、様々なアイデアが取り入れられています。

まずは中川さんのコメントを見てみましょう。
「この曲はプリプロをした段階のものと、ロスに行ってからのレコーディングでガラッと変わった曲で。間引いて間引いて、こういう形になった。ベースを録ってる時は、僕は『もっとシンプルに、シンプルに』って言われただけだった。2

まず土台は足し算をせず引けるところまで引き算をし、できる限り不要な音を入れない。
そしてその後、聴こえるか聴こえないか程度のスパイスを足していくという手法。

例えば、ポップさの中にどこかラテン感を感じるのは、ジャンベというパーカッションが入っているからであり、他に、耳ではほぼ聴き取れませんがアコースティックギターが5本も入っているそうです。
また、空間系エフェクトを使ったギターソロも印象的。

これら全てが、スティーヴのアイデアとアドバイスだそうです。

田原さんは、「彼(スティーヴ)はリヴァーブとか残響の魔術師だと思うんですよ。それって空気感っていうことだと思うんだけど、音や楽曲の空気感を凄い掴んでるんだと思うんですよね。で、それを音像にするのが凄く上手い。3」と語ります。

シンプルな演奏の中に、絶妙なパーカッション、5本のアコギ、そしてクセになる空間系のエフェクト。
JENは、「薄っすらとしか聴こえない、知ってる人にしかわかんないように入ってる、でもその効能は凄いんだよね。だからほんと、スティーヴは空間の魔術師だと思う。4」とコメント。

短い楽曲ではあるものの、とても繊細に作られていて、だからこそ何度リピートしても飽きないんですね。

著名人の感想

最初に曲を聞いた時、その尊さに心が震えました。爽やかで前向きな曲なのに、涙が出てくる。人と人との出会いの愛おしさ、人を想う気持ちを桜井さんが切なくも力強く歌い上げている、まさに“究極の愛の歌”でした。

東仲恵吾プロデューサー/音楽ナタリー 2020年8月18日

ライブ&テレビ披露

ライブ

  • なし

オススメ映像作品

なし

現在映像収録作品はございません

テレビ

2020年12月21日「CDTVライブ! ライブ! クリスマススペシャル」

まとめ

この曲が初解禁されたのはドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』。
そしてそのドラマ1話目の放送終了後、夜0時にダウンロード配信開始という流れでした。

初めて聴いた時の感想は、初期の頃のような爽やかさと温かさがあり、どこか“懐かしい感じ”がしたなぁという印象だった思います。
個人的にとても好きなタイプの楽曲で、リリース当初は何度も何度もリピートしていました。

3分25秒というとても短い楽曲だからか、現在もイヤホンからシャッフルで流れてたら、スキップせずに聴き続けている曲のひとつです。

“懐かしい感じがした”と前述しましたが、当時の雑誌で田原さんがこのように語っています。
「個人的には久々の(エルヴィス・)コステロの影響を受けた桜井節だなっていう感じがあるかな。5
また桜井さんも、「ジョン・メイヤーのある曲のアコギのストロークが凄く気持ちよくて、それをコピーしてみたところから始まった感じですね。で、自分で声を乗っけてみたらコステロっぽい感じがあったから…自分の中ではコステロとジョージ・ハリスンみたいな。そこから広げていった感じですね。6」とコメント。
“久々のコステロの影響を受けた桜井節”っていうのがどの辺りの曲を指して仰っているのかは分かりませんが、聴いていて懐かしさを感じるのは、そういうことなのかもしれませんね。

『turn over?』には、いくつもの“切り替わり”が描かれていました。

苛立ちや不安に揺れる自分。
それでも相手を理解しようとする気持ち。
そして最後にたどり着くのは、「最愛の人はキミ一人」というシンプルでまっすぐな想いです。

けれど、タイトルの最後には「?」が添えられている。
それは、誰もが抱く小さな迷いや不安であり、「本当に変われるのかな?」そんな問いかけを含みながらも、愛を信じようとする優しさが込められているように感じました。

そして「?」にある不安は、最愛の人と共に補い、自信に変えていくことだってできる。

不完全だからこそ美しい
そんなMr.Childrenらしい曲だなと感じました。

YouTube版楽曲解説
  1. MUSICA 2021年1月号 ↩︎
  2. MUSICA 2021年1月号 ↩︎
  3. MUSICA 2021年1月号 ↩︎
  4. MUSICA 2021年1月号 ↩︎
  5. MUSICA 2021年1月号 ↩︎
  6. MUSICA 2021年1月号 ↩︎
error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました