【ケモノミチ】完全解説+歌詞の意味/Mr.Children

miss you
チルカン
チルカン

Mr.Children「ケモノミチ」の解説と歌詞考察だよ♪

ポイント

人間の中に潜む「獣」

楽曲紹介

収録CD

概要収録作品発売日
21st ALBUMmiss you2023年10月4日

作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
アルバム『miss you』初週売上:16.5万枚(累計不明)

豆知識

チル鶏
チル鶏

アルバム発売決定の情報と同時に、Mr.Children公式YouTubeチャンネルで公開されたアルバムのteaser映像で、本楽曲のサビ(当時はまだ本楽曲であることは明かされていない)を弾き語りするシーンが使用されていたね。

チル鶏ブラック
チル鶏ブラック

そしてホールツアー初日の2023年9月16日に、アルバムから先行配信&初のLyric Videoが公開されたな。

チル鶏子
チル鶏子

後の2024年4月12日に本人たちも出演するMVも公開されたわ♪それにはホールツアー『Mr.Children tour 2023/24 miss you』のライブ音源が使用されているね♪

アルバムジャケット情報

  • アートディレクター:森本千絵
  • ジャケット写真:藤井保
  • 完全生産限定盤と通常盤の2形態で発売
    完全生産限定盤はLIMITED BOX仕様(特製ペーパートレイ仕様)
    通常盤は三方背スリーブケース仕様先着特典としてステッカーが付属
  • 先着特典としてステッカーが付属

MV(ミュージックビデオ)情報

撮影場所

スタジオ

メンバー全員が出演し、エアバンドで演奏している。
同年3月8日に公開されたアーティスト写真撮影の1か月後に、改めて本映像の撮影が行なわれた。
本映像では、ホールツアー『Mr.Children tour 2023/24 miss you』のライブ音源が使用されている。
Mr.Children「ケモノミチ」MUSIC VIDEO

以下、森本千絵さんのInstagramより一部抜粋

アルバム「miss you」アートワーク同様に撮影は写真家の藤井保さんと行いました。
なんと、実は!先にこのアーティスト写真撮影のみをみんなで作り上げました。
奏でる全身からかっこよく、勢いと、色気を魅せるためにスタジオではまるでステージを見上げるような高さになるようにカメラを構え、普段は見えない奏でる身体すべてを撮影するために楽器はない。だからこそ爆音で音源が鳴り響き、目の前には大きな海へ繋がる映像で4人を包みながら本気で撮影するという環境。
美術も幻想もいれず、引き算に引き算を重ねていく。

たった一枚の写真を撮るためにお互いにここまで情熱をぶつけ合うのかと震える現場でした。私には楽器やライブ会場のお客様が見えてくるような不思議な感覚でした。

写真も皆さんで確認し、納品したその1ヶ月後。
ぜひあの撮影現場で目の当たりにした勢いを映像として届けようとなり再度集合。そして撮影。

写真撮影が終わり、終わったと思ったら映像にもしようとかるのはSUPERMARKET FANTASYの「エソラ」以来ですw

撮影はいつも、雨嵐、雪、霧… 相変わらず
ドラマティックな天候の中、今度はスタジオなので安心です。

桜井さんが歌う背中のmiss youはじまりのアートワーク、
https://youtu.be/lBW_sNj2eHM?si=m6VJ4qV476MgO6NI

歩く4人のアーティスト写真、

ケモノミチリリックビデオ、
https://youtu.be/roWh3BCGTtw?si=9iQvyHCWIUtgKaMe

ホールツアー演出を経て生まれたライブ音源、

奏でる4人の新しいアーティスト写真、

そこから生まれたケモノミチのMV…
(このリンク見直してもらうと音源もまるで違ってきてます。すごいです)

Mr.Childrenケモノミチがとってもかっこいいので、ぜひ1人でも多くの方に観ていただけたらと願っております。

森本千絵 Instagramより1

他にリリック・ビデオが存在している。
Mr.Children「ケモノミチ」from New Album「miss you」Lyric Video

タイトルについて

辞書で調べると「野生の動物が通ることによって自然にできる山中の道」とあります。
この曲で描かれている“獣”は、本物の動物ではなく、人間の本能や攻撃性のメタファーに近いものです。
つまり『ケモノミチ』とは、人間の中に潜む本能や衝動が、何度も行き来することでできてしまった心の道なのではないかと解釈しています。

歌詞考察

今回の考察では、本楽曲は「SNS時代」を描いているものと解釈して行なっています。

1番 Aメロ(風上に立つなよ〜)

風上に立つなよ
獣達にバレるだろ
そんな時代だったら
俺らとうに死んでる
ほら ふわふわとマヌケが通る
生温い風を受けて

<出典>Mr.Children/ケモノミチ 作詞:桜井和寿

ひと昔前までは、限られた人にしか自分の本音や価値観を知られることは出来ませんでした。

でも今は違います。

何気ない発言ひとつで、まるで自分の”匂い”が風に乗って拡散されるように、自分の考えが一瞬で可視化される時代です。
だから冒頭の“風上に立つなよ”からの4行は、「目立つな」「本音を晒すな」「標的になるぞ」という現代人への警告。

つまりそのひと昔前に、「今みたいに無防備に発信していたらとっくにやられている」という皮肉です。

ほら ふわふわとマヌケが通る
この「マヌケ」とは、SNSを何も考えず眺めたり投稿したりしている人の姿を表現しているのではないでしょうか。
例えば「バカみたいだなぁ」とか「自分は関係ないし」とか平和ボケの感覚で。

でも実際には、いつ誰が攻撃の対象になるか分からない。
そう誰もがそんな危うい場所を「自分は大丈夫だろう」と思いながら歩いている。

1番 Aメロ2(法律(ルール)も物の価値も〜)

法律ルールも物の価値も
時と共に変わってく
バランス取るだけで
精一杯 消耗してく
また クラクラと目眩起こすよ
脳味噌振り回され

<出典>Mr.Children/ケモノミチ 作詞:桜井和寿

昔は受け入れられなかった価値観が、今では常識になったり、逆に昔は当たり前だった価値観が、非常識になってきたり。
社会は変化するし、人々の価値観もアップデートされていく。

しかしSNSの登場によって、その変化のスピードが圧倒的に速くなりました。
流行も物凄い勢いで書き換わっていくし、昨日まで問題にならなかった発言が、今日には炎上の対象になる。

だから人は常に発言ひとつを気にするようになった。

本音を言い過ぎてもダメ。
空気を読まな過ぎてもダメ。
かといって無難なことばかり言っていると、自分らしさも失われていく。

誰かを傷つけないように、誤解されないように、嫌われないように。

そんなことを考えながら発信しているうちに、いつの間にか疲れてしまう。

また クラクラと目眩起こすよ 脳味噌振り回され

感情よりも先に、情報に振り回されている状態です。
結果として、頭ばかりが働いてしまい、クラクラと目眩を起こしてしまう。

1番 サビ(誰にSOSを〜)

誰にSOSを送ろう
匿名で書いた 柔な叫びを
鼓膜でくらうロックンロール
束の間 潤う

<出典>Mr.Children/ケモノミチ 作詞:桜井和寿

変化に振り回され、空気を読み続け、情報の波に疲れ果てた主人公。
その結果として出てきたのが、”誰にSOSを送ろう“という言葉です。

「誰かに」ではなく「誰に」としています。
つまり、助けてほしい気持ちはあるけど、誰に助けを求めればいいのか分からない。

だから主人公自身も匿名でつぶやく。

誰かに気付いてほしい。
でも自分だとは知られたくない。

まだここでは怒りではなく、復讐心でもありません。
ただ「苦しい」「分かってほしい」という弱々しいSOSです。

しかしここに唯一の救いがありました。
主人公を一瞬だけ潤してくれたのが、衝動的に聴いたロックンロール。

理屈ではなくただただ浴びたその音楽で、頭で考え続けて疲れ切った主人公がその瞬間だけは、何も考えずにいられたのです。

2番 Aメロ(想像を超えた〜)

「いつまでも待つよ」と
言ってたっけ あの人
今何してるかな?
そんなこと ボンヤリ
また ふわふわとマヌケが通る
昨日を引き摺りながら

<出典>Mr.Children/ケモノミチ 作詞:桜井和寿

ここで突然、ぼんやりとした過去を思い浮かべる主人公。

これは内容どうこうではなく、今をどうにかしなきゃいけないのに、無意識に戻れない過去へ逃避してしまう自分の愚かさを客観視しています。

なのでこの“マヌケ”は、自分自身。
現実から逃げ、過去を引き摺り、ぼんやり生きてしまう自分の弱さを描いています。

2番 サビ(君にLove Songを〜)

君にLove Songを送ろう
月に爪弾いた 孤独のメロディ
その耳にだけ残るように
声もなく 歌う

<出典>Mr.Children/ケモノミチ 作詞:桜井和寿

“誰にSOSを送ろう”という不特定多数へ向けた叫びとは違い、本当に届けたい相手へ向けて“Love Song”を送ろうとしています。

月に爪弾いた 孤独のメロディ”。
月の出る夜、ひとり静かに自分の孤独そのものをメロディに変えている。

“声もなく 歌う”というフレーズは、伝えたい言葉があるわけじゃないけど、たった一人に届けばいいという願い。

情報や言葉で溢れた時代だからこそ、「本当に伝えたいものはもっと別の場所にあるんじゃないか」という希望を描いているのかもしれません。

ラスサビ(誰にSOSを〜)

誰にSOSを送ろう
匿名で書いた 鈍い痛みを
眠れず独り目論もくろ
「仕返し」だけが希望
声もなく叫ぶよ

<出典>Mr.Children/ケモノミチ 作詞:桜井和寿

“柔な叫び”だったものが、ここでは“鈍い痛み”に変わっています。
「助けて」と叫んでいた状態から、何も救われないまま、その苦しみが心の奥に蓄積してしまったのかもしれません。

“眠れず独り目論む 「仕返し」だけが希望”

昔なら会わなくなれば終わっていた関係も、今はどこでも相手の情報が見えてしまう。
だから怒りも傷も消えにくい。
そしてその感情が行き着く先として現れるのが、「仕返し」

この曲で言う「獣」が、牙を剥き出してしまう瞬間です。
今の社会は、人間の中に潜む「獣」が簡単に歩けてしまう道なのかもしれません。

そうして出来た「ケモノミチ」。
理性と本能の間で揺れながら、誰にも届かない感情を抱えたまま進んでいく。

この曲は、そんな現代を生きる僕ら自身の姿を映しているように感じました。

聴きどころ

メロディー

NOT FOUND』などでもお馴染みの「12/8拍子」。
歌うのが難しいリズムですね。

孤独の中から必死に誰かへ手を伸ばしているような、そんな“感情を乗せたメロディー”と言う印象です。

聴き終わりにスッキリするわけではないけれど、どこか中毒性があり、掴みどころがない感じがクセになるのかもしれません。

また、フル音源解禁前までは2番のサビしか聴けなかったため、フルで聴いた時、「誰にSOSを送ろう」の歌詞とメロディーの字余り感がとても美しく感じました。

アレンジ

  • 原曲Key=D
  • BPM(テンポ)76

マスタリングを担当しているのが、『SOUNDTRACKS』と同じ「Randy Merrill」氏だそうです。
音数は決して多くないのに、一つ一つの音がすごく立体的に響いてくるのが、個人的にはかなり好き。

また、アルバムを象徴するような曲にしては、楽器構成が特徴的なんですよね。
アコースティックギターを中心に、ストリングス、シンセ、打ち込みドラム。
つまり壮大にして“ベース”と“エレキギター”が入っていない。

タイミング的に『半世紀へのエントランス』の先にある新たな始まりとして提示された楽曲が、このサウンドだったことに驚いた人も多かったのではないでしょうか。

でもそれが『miss you』であり、Mr.Childrenらしい“優しい驚き”でもあったのかなって思う今日この頃です。

著名人の感想

随時更新します

ライブ&テレビ披露

ライブ

オススメ映像作品

Live DVD & Blu-ray『miss you LIVE』

内省的な感情が衝動として一気に噴き出してくるような感覚で、CD音源に比べ圧倒的に壮大です。
桜井さんはスタンドマイク、田原さんがアコギ、そして原曲にない中川さんのベースとJENの生ドラムでの演奏でした。

テレビ

  • なし

まとめ

2023年7月21日。
『Mr.Children史上、最も「優しい驚き」に満ちている』というキャッチフレーズと共にNew Album『miss you』の発売が発表され、同時に桜井さんの弾き語り映像が公開されました。

今思えば、30周年という節目を迎え、集大成『半世紀へのエントランス』を終えた後、本当の意味で最初に届いた彼らの産声はこのフレーズでした。

「君にLove Songを送ろう〜♪」

その普遍的な言葉を乗せた歌声は、どこか哀れむようで、悶えるような叫びにも聞こえ、決して次のステージへの華やかな幕開けとは言い難いもの。
少なからず戸惑いを覚えた方もいたのではないでしょうか。

そしてアルバム『miss you』がリリースされ、その全貌が明らかになった時、僕らリスナーは「優しい驚き」が決して心温まるだけのものではなかったことを知ります。
その象徴とも言える楽曲のひとつが、『ケモノミチ』ではないでしょうか。

自分の見たくない部分を無理やり鏡に映し出されるような、何となくな居心地の悪さを覚えながらも、不思議と心に残って離れない。

Mr.Childrenにとって『ケモノミチ』は、過去のどの曲にも類を見ない異質な楽曲であると僕は思っています。

最後まで聴いてスッキリするわけもなく、背中が押されるわけもなく…。
でもその感覚もきっと、『miss you』と言うアルバムで掲げられた“優しい驚き”のひとつ。

現代はネット社会になったことで、匿名でSOSを送り、愚痴や不満を簡単に吐き出せるようになりました。
孤独を紛らわせたり、誰かと繋がることも、昔よりずっと簡単。
でもその反面、顔の見えない誰かを傷つけたり、誰かに傷つけられたりすることもあります。
それでも人は誰かに分かってほしいし、誰かと繋がっていたいと願ってしまう。
この曲はそんな僕ら自身の姿を映しているのでしょう。

Mr.Childrenは30年間、リスナーの期待に応えられる音楽、期待を越えた音楽を制作し続けてくれていました。
しかし『ケモノミチ』で描かれているのは、そんな”誰かのための歌”ではなく、桜井さん自身の内省的な感情を、剥き出しのまま差し出したような作品です。

だからこそ、この曲にはこれまでのMr.Childrenにはなかった生々しさがあるし、その叫びが今を生きる僕らにも重なる。

最初は戸惑いもあったけど、聴くたびに、一緒に歩く度に、寄り添ってくる。
そんな『ケモノミチ』でした。

YouTube版楽曲解説
  1. 森本千絵 Instagram ↩︎
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