【All by myself】完全解説+歌詞の意味/Mr.Children

Kind of Love
チルカン
チルカン

Mr.Children「All by myself」の解説と歌詞考察だよ♪

ポイント

自分の心の舵は自分で取る

楽曲紹介

楽曲収録CD

概要収録作品発売日
2nd ALBUMKind of Love1992年12月1日
3rd SingleReplay1993年7月1日

作詞:桜井和寿・小林武史/作曲:桜井和寿・小林武史/編曲:小林武史&Mr.Children
アルバム『Kind of Love』累計売上:118.0万枚
シングル『Replay』累計売上:8.8万枚

豆知識

チル鶏
チル鶏

作詞・作曲ともに桜井和寿・小林武史の共作だね。

チル鶏ブラック
チル鶏ブラック

作詞と作曲の両方で小林さんと共作なのは、本楽曲と3rd ALBUM「Versus」収録の『蜃気楼』だけだぜ。

桜井「これは詞曲ともに、小林武史さんと僕の共作なんですね。ちょっとMr.Childrenにはなかった世界だと思う。小林さんと私生活とかいろんな話をしてて。そのなかから、いわゆる “Mr.Childrenらしい” というイメージのなかで僕が出せなかった部分を引き出してもらえた気がします1

アルバムジャケット情報

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  • 真ん中の帽子を持っているのはJENの手
  • 「What a Kind of Love Do You Like?」は信藤さんが足したもの
  • アートディレクター:信藤三雄率いるContemporary Production

MV(ミュージックビデオ)情報

撮影場所

なし

ミュージックビデオはございません

タイトルについて

「All by myself」は直訳すると「全部自分で」となります。
“投げやり”だったり、“ひとりぼっち”という孤独な言葉にも聞こえますが、この曲では「全部自分でやるしかない」という覚悟の言葉として、僕は解釈します。

歌詞考察

1番 Aメロ(から廻りの〜)

から廻りのMy Life 嵐のように僕を引き裂く
降りしきる雨に おびえてただ 逃げまどってた

<出典>Mr.Children/All by myself 作詞:桜井和寿・小林武史

頑張ってるのに空回りしてしまう…そんな経験誰にでもあると思います。
主人公はその苦しさを“嵐のように僕を引き裂く”と表現。

誰かに傷つけられたわけではなく、自分の中で嵐のように激しくぶつかり合う感情が、心を引き裂いているのです。

その嵐の中冷たく降り続く雨に怯え、主人公は逃げ回っている。
まだ自分の弱さと向き合う勇気が持てないのです。

ここらは主人公は、どうやってその嵐と向き合っていくのでしょうか。

1番 Bメロ(わかりかけてた〜)

わかりかけてた 答はいつも 目の前でまた消え果てた
追いかけていた希望も恋も Ah 遠ざかる

<出典>Mr.Children/All by myself 作詞:桜井和寿・小林武史

何かを掴みかけたと思った瞬間に、それがスッと手の中から消えてしまう。
もうすぐ届くと思った瞬間に、霧のように消えてしまう。
そして信じていた希望も恋も、届かないまま、遠くへと離れていってしまう。

“逃げても結局何も掴めない”。
主人公はそんな現実に気づいてしまうのです。

1番 サビ(傷つくたびに〜)

傷つくたびに 失うたびに
問いかけてるよ Be calm, Be cool
引き返せない Ah 悲しみも 僕の瞳で見つめて
待ち続けるさ 嵐の中の船のように

<出典>Mr.Children/All by myself 作詞:桜井和寿・小林武史

“Be calm, Be cool”⇨「落ち着け、冷静に」
何度も傷ついて、何かを失うたびに、自分にそう言い聞かせてきた。

もう引き返せない、過去には戻れない。
そう受け入れた主人公は、悲しみから逃げるのではなく、その悲しみを“僕の瞳で見つめる”、つまり真正面から対峙しようとしています。

不安と孤独の海を漂いながらも、嵐の中の船のようにきっといつか光は射すと信じて、待ち続けるのです。

2番 Aメロ(雨音がそっと〜)

雨音がそっと この心に 優しく響く
このまま全ての痛みを洗い流しておくれ

<出典>Mr.Children/All by myself 作詞:桜井和寿・小林武史

過去に惑わされぬよう、覚悟を決めた主人公。

するとこれまで自分を怯えさせていた降りしきる雨が、まるで癒しの音に変わった。
つまり孤独や苦しみが、もう敵ではなくなったのです。

あとは、「このまま 全ての痛みを洗い流しておくれ」と願うばかり…。

2番 Bメロ(不安な夜は〜)

不安な夜は 目を閉じるのも怖いくらい さみしくなる
眠れないまま車を走らせ探してる

<出典>Mr.Children/All by myself 作詞:桜井和寿・小林武史

眠りに就く前は、嫌なことを突然思い出してしまうものです。

希望の光を待ち続ける覚悟ができたとしても、やっぱり寂しい気持ちになる。
それは誰かに会いたいという単純な寂しさではなく、“自分がどこにいるのか分からない”という不安です。

だから主人公は、眠れないまま車を走らせ、“探しに”行きます。
何を探しに?それはきっと、「希望」や「勇気」。

そう、自分を取り戻すための旅へ。

2番 サビ(飛び出したいよ〜)

飛び出したいよ 違う世界に
だから今こそ Be calm, Be cool
明日になれば そのからくりも 僕の瞳でとらえる
はじけそうな夜明けの前の時今ここへ

<出典>Mr.Children/All by myself 作詞:桜井和寿・小林武史

これまでの主人公は、嵐の中で立ち止まり、逃げ迷い、それでも少しずつ“自分”と向き合ってきました。

そして今、ようやく自分の足で「新しい世界に踏み出したい」と思えるようになった。
そんな今こそ、「落ち着いて、冷静に」。

「明日になれば そのからくりも  僕の瞳でとらえる」
“からくり”とは、自分が理解できない人の心や社会。
それを明日になればきっと自分の目で見極められる。
まだ答えは出ていないけれど、必ず“探しもの”は見つけられる。

もう夜明け前。
“夜明け前”は陽が差し込む直前です。
ここまで抱え込んでいたはじけそうな苦しみ、孤独、迷いが、「希望」へと変わる瞬間です。

Cメロ Cメロ2(ときめく〜)

ときめく気持ちは今でも 全ての事を照らしていくけど
見えない 届かない時は 何もかもが凍てついていく

抱きしめよう 熱い想いを
抱きしめたい いつかクールな
時代ときを超える

<出典>Mr.Children/All by myself 作詞:桜井和寿・小林武史

どんなに傷ついても、どんなに迷っても、
“ときめく気持ち”つまり、“何かを信じたい”という想いは、今もなお、自分の中で光を放ち続けている。

でも現実はそんなに簡単じゃない。
何かを信じようとしても、上手くいかない時はやっぱりある。
心が冷たく凍ってしまうような瞬間もある。

だけど、自分の中にある熱い想いを抱きしめよう。
取り戻そう。

そう、本当の強さは、無理に落ち着いて、冷静でいることではなく、それを超えて熱い情熱を持ち続けること。
主人公はそれに気付くことができました。

ラスサビ(誰のためでも〜)

誰のためでも 誰のせいでも
ないから今は All by myself
時の流れが やがて僕にかたむきかける日まで

傷つくたびに 失うたびに
問いかけてるよ Be calm, Be cool
引き返せない Ah 悲しみも僕の瞳で見つめる
All by myself

<出典>Mr.Children/All by myself 作詞:桜井和寿・小林武史

今自分がこうしているのは、誰のためでも、誰のせいでもない。
だから今はもう“全部自分でやる”しかない。
これは投げやりな言葉ではなく、「自分の心の舵は自分で取る」という覚悟です。

運命が自分に微笑むその日まで、自分を信じて生きていく。
いつか報われる日が来るなら、その日まで粘り強く生きていく。

最後に歌として繰り返される「All by myself」は、嵐の夜を乗り越えた彼が見つけた、新しい自分との約束の言葉なのかもしれません。

聴きどころ

メロディー

冒頭で紹介したように作曲も桜井さんと小林さんの共作です。
桜井さんが作ったメロに対し、小林さんがより表現の幅を広げ、まだ閉まったままの桜井さんの引き出しを開けたという印象ですね。
なんとなく歌やメロディーのリズムなどからも、当時のMr.Childrenが新しい方向へ踏み出そうとする気配がします。

また、とんでもなくドラマチックな構成です。
ツーコーラスを歌い終えた後に2段階あるCメロ、ラスサビの最後に歌い上げる「All by myself」に感じる余韻。
言うならば、感情を爆発させるわけではなく“心の中で燃やす”というようなイメージを感じさせるメロディーです。

アレンジ

  • 原曲Key=B♭(Gm)サビ、間奏以降→D(Bm)
  • BPM(テンポ)113

アレンジについてドラムのJENはこのように語ります。
JEN「すごくやってみたかったパターンの曲なんですよ。個人的にかもしれないけど、こういう曲をやりたかった2
Mr.Childrenにはあまりないファンキーなアレンジ。
後のアルバム『DISCOVERY』に収録される『アンダーシャツ』もこれに近いリズムですね。

イントロから続く田原さんのギターカッティングも印象的ですが、個人的には中川さんのベースラインもすごくいいなと思います。
珍しく「2フィンガー奏法」という2つの音を同時に弾いていたりするので、とてもカッコいいです。

でもやっぱり一番カッコいいのは間奏で演奏されているガットギターのソロですね。
ただこのソロは、桜井さんによると「あれは小倉(博和)さんです。凄いですよ、びっくりしました(笑)3」と解説。
残念ながらMr.Childrenの演奏ではありませんでした。
でもカッコいい!!

著名人の感想

見つけ次第更新します。

ライブ&テレビ披露

ライブ

  • ’92 Your EVERYTHING TOUR
  • ’92-93 Kind of Love TOUR
  • NHK福島 MiDNiGHT Live
  • ’95 Tour Atomic Heart
  • STADIUM TOUR Hounen Mansaku 夏祭り1995 空(ku:)
  • REGRESS OR PROGRESS
  • THE SECRET LIVE

オススメ映像作品

regress or progress ’96~’97 DOCUMENT

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フルではありませんが、観ることができるのはこの作品のみです。
リハの映像から始まり、実際のライブに切り替わる編集がされています。
桜井さんはハンドマイクで歌唱。イントロはブラスでオシャレにアレンジされていました。

テレビ

  • 1993年6月26日「NHK福島 MID NIGHT LIVE」

まとめ

アルバム『Kind of Love』は、ただ前作で描いた恋や青春の延長を歌ったアルバムではなく、言うならば“まだ手探りだけど確実に新しい扉を開けようとしている”作品だと僕は思っています。
そしてこの『All by myself』はその起爆剤というか、引き金であり、Mr.Childrenが初めて“心の内側”へと足を踏み入れた曲ではないでしょうか。

シンプルにカッコいい曲ですよね。
歌詞も曲調も92年のMr.Childrenとは思えないくらい大人びていて、まるで数年後を見据えているかのような雰囲気すら感じます。

桜井さんのコメントを紹介しましょう。
「これはMr.Childrenの新境地ですね。今回アルバムは、いろんなところで新境地が出てきますけど。なかでもいちばんそういう感じのある曲かもしれない4
コメントの通り、やはりこの曲は初期のMr.Childrenにおける“決定的な転換点”です。

誰のためでも 誰のせいでも ないから今は All by myself」。
ひとりきりでいることを悲しむのではなく、“ひとりで立ち向かう”ことを選ぶ。
それは、後の『Tomorrow never knows』や『終わりなき旅』へと通じているようにも感じます。

言い過ぎがもしれませんが、もしかしたらMr.Childrenというバンドの本質が『All by myself』にあると言っても過言ではないかもしれないですね。

Mr.Childrenが“人間の心の奥”へと踏み込んだ瞬間。
そんな背景を感じながら、改めてこの曲を再生してみてください。

まだまだいろんな発見があるかもしれません。

YouTube版楽曲解説

準備中

  1. GB 1992年12月号 ↩︎
  2. GB 1992年12月号 ↩︎
  3. ACOUSTIC GUITAR MAGAZINE VOL.7 2001 ↩︎
  4. GB 1992年12月号 ↩︎
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