Mr.Children「Tomorrow never knows」の解説と歌詞考察だよ♪
自分の信じる道を心のままに行こう
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
6th Single | Tomorrow never knows | 1994年11月10日 |
6th ALBUM | BOLERO | 1997年3月5日 |
8th ALBUM | 1/42 | 1999年9月8日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 1992-1995 | 2001年7月11日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 2011-2015 | 2022年5月11日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
本作はオリジナルのシングルバージョンとremixバージョンの2種類が存在するよ!
シングルはドラムやベースが打ち込みで、アルバムのremixは生演奏なんだぜ。
このシングルは約276.6万枚も売れ上げたのよ♪
ミスチルのシングル最大のヒット作よ!
フジテレビ系ドラマ『若者のすべて』主題歌♪
後に同じフジテレビ系ドラマ『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』挿入歌にもなってるね!
シングルジャケット情報
- 何羽かの鳥を飛ばし連写したのもの中から選ばれた1枚
- アートディレクター:信藤三雄
MV(ミュージックビデオ)情報
オーストラリア南東:「グレート・オーシャン・ロード」
(撮影起点までオーストラリア南東「ビクトリア州 メルボルン」より車で1時間30分)
ラスサビの崖の上で歌い上げる桜井さんが印象的。
周りに何もない所なので撮影スタッフが隠れる場所がなく大変だったそう。
そしてあのシーンの桜井さんは音源を流さずアカペラで歌っていたのです。
(電気系統のトラブルの為)
それにも関わらず奇跡的に編集時に音を合わせたらピッタリ合っていたとか。
本当に沢山の奇跡が重なった楽曲ですね。
Mr.Children 「Tomorrow never knows」 MUSIC VIDEO
タイトルについて
「Tomorrow never knows」の意味を直訳すると「明日は決して分からない」。
「果てしない闇」というのがまさにそれです。
だからこそ心のままに自分の信じる道を行こうという思いが込められています。
元々のタイトルは『明日への架け橋』でした。
「心のまま 僕はゆくのさ 誰も知ることのない明日へ」
このフレーズが元は↓
「情熱と挫折の狭間で揺れている 明日への架け橋」
という歌詞だったのです。
どういった譜割で歌われていたかが気になりますね。
ちなみに歌詞の「Tomorrow never knows〜♪」は「this is my life〜♪」でした。
歌詞考察
1番 Aメロ(とどまる事を〜)
とどまる事を知らない時間の中で
<出典>Mr.Children/Tomorrow never knows 作詞:桜井和寿
いくつもの移りゆく街並みを眺めていた
幼な過ぎて消えた帰らぬ夢の面影を
すれ違う少年に重ねたりして
目まぐるしい日々。
常に歩みを止めることのない、制御不能の「時間」という概念の中で僕らは生きています。
住んでいた街の景色も変わり、いつも通る道の脇にあるお店も潰れ、別のお店に変わろうとしている。
主人公は自分が生きてきた時間と共に時の流れを感じて、移り変わった街並みを眺めながら思いふけています。
たまたま横を走り去った少年が無邪気で楽しそう。
そんな少年を横目に主人公はこう思います。
「まるであの頃の僕に似ている」
「僕にもこんな無垢な時代があったなぁ」
こんな風に主人公はふと思い浸っているようです。
1番 Bメロ(無邪気に人を〜)
無邪気に人を裏切れる程
<出典>Mr.Children/Tomorrow never knows 作詞:桜井和寿
何もかもを欲しがっていた
分かり合えた友の愛した女でさえも
若い頃は何も考えず”欲しいものは欲しい”と、人を裏切ってまで手に入れようとしていました。
友人の彼女を奪おうともした。
それが”罪”だと当時は考えたこともなかったのです。
そこに悪意はなかった(と思っていた)。
ただ欲しがり、奪おうとした。
それが大人になり、罪悪感を覚えるようになりました。
ひっくるめて言えば、過去の自分の生き方に後悔をしているということです。
1番 サビ(償うことさえ〜)
償うことさえできずに今日も傷みを抱き
<出典>Mr.Children/Tomorrow never knows 作詞:桜井和寿
夢中で駆け抜けるけれども まだ明日は見えず
勝利も敗北もないまま孤独なレースは続いてく
あの頃傷つけた人、モノ。
今更償うこともできず、その傷ついた傷みは自分の傷みとなって返ってきました。
ここでいう傷みとは「後悔」です。
過去を後悔したまま今を夢中で駆け抜けるけど”まだ明日は見えず”傷みを背負ったまま。
誰も相手にしてくれない、誰も期待してくれない、誰も傷を癒してくれない。
「どうせ人を傷つけるなら…」と思うが故に、一人で進む道を選ぶしかないのです。
「勝利もない敗北もない」
言わば決着のつかない「終わりなき孤独なレース」が待っています。
人は結局一人。
人と競い勝敗をつけてしまうと人間としての価値を勝敗で判断することとなってしまいます。
他人と競って生きるのではなく、主人公は自分の為の生き方を追求するようになったのです。
2番 Aメロ Bメロ(人は悲しいぐらい〜)
人は悲しいぐらい忘れてゆく生きもの
<出典>Mr.Children/Tomorrow never knows 作詞:桜井和寿
愛される喜びも 寂しい過去も
今より前に進む為には
争いを避けて通れない
そんな風にして世界は今日も回り続けている
ネガティブに感じるフレーズから始まります。
「人は思い出を忘れる事で生きていける」という碇ゲンドウ(エヴァンゲリオン)の言葉があるように、今より前に進む為に時には思い出を切り捨て争いを避け、何ものにも縋らずに生きていかなければならない。
その先にあるのが”孤独なレース”であり、それぞれがまず自分の為に生きていくことで、世界は上手く回っていく。
誰かの為ではなくまず”自分の為”なのです。
2番 サビ(果てしない〜)
果てしない闇の向こうに oh oh 手を伸ばそう
<出典>Mr.Children/Tomorrow never knows 作詞:桜井和寿
誰かの為に生きてみても oh oh Tomorrow never knows
心のまま僕はゆくのさ 誰も知ることのない明日へ
“果てしない闇”というのは”何が起こるか分からない明日”。
未来に絶対的な希望はなく、闇です。
どうせ右も左もないなら、闇雲であろうと前に進むしかない。
例え誰かの為に生きてみても、他人の賞賛が得られそうなことを求めても、それが正しいとは限りません。
ならば心のままに自分を信じて、孤独なレースを続けていくしかないのです。
Cメロ(優しさだけじゃ〜)
優しさだけじゃ生きられない
<出典>Mr.Children/Tomorrow never knows 作詞:桜井和寿
別れを選んだ人もいる
再び僕らは出会うだろう
この長い旅路のどこかで
人は優しさだけでは生きていけない。
時には争い、傷つけ合い、大きな決断に苦しむ時もある。
しかしそれが人生の理。
それでも「再び出会うだろう」というフレーズがあります。
例えば、売れることを目標にバンドを組んでいたとします。
しかし何か意見の食い違いなどで解散してしまった。
それでもそれぞれは別々の道で音楽の道を突き進んでいたなら、もしかしたらまた同じ舞台に立つことがあるかもしれない。
“いつか出会うこともあるかもしれない”ことに対して前向きになっている。
そんな主人公の気持ちの変化を見てとることができます。
ラスサビ(果てしない〜)
果てしない闇の向こうに oh oh 手を伸ばそう
<出典>Mr.Children/Tomorrow never knows 作詞:桜井和寿
癒える事ない傷みなら いっそ引き連れて
少しぐらい はみだしたっていいさ oh oh 夢を描こう
誰かの為に生きてみたって oh oh Tomorrow never knows
心のまま僕はゆくのさ 誰も知ることのない明日へ
償えず、抱えた傷の痛みがまだあるなら、共に引き連れていけばいい。
もちろん世間から、はみ出し者だと罵られることもある。
それでもその痛みを抱えながら、心のままにこの孤独なレースを走り続ける。
明日のことなど誰にも分からないのだから。
聴きどころ
メロディー
桜井さんがこの曲のメロディーを作ったのは「名古屋レオパレス・ホテル」。
しかも3時間で作り上げたそうです。
完成度からしてまさに生まれるべくして生まれたという奇跡のような曲ですね。
Mr.Childrenの楽曲にはサビの頭がこのようなリズムで始まることがかなり多いです。
Tomorrow never knows「は〜て〜し(な〜い)」
innocent world「い〜つ〜の(ひ〜も)」
Any「い〜ま〜ぼ(く〜の)」
シングル曲のみ取り上げましたが、アルバム曲も探せば「fantasy」や「Starting Over」などもっともっと沢山あります。
自然に出てくる桜井さんのクセなのか意図的なのかはわかりませんが、このリズムでサビが始まる曲は壮大で名曲のイメージがありますね。
他のアーティストでミスチルっぽい曲と言われる曲は、このパターンが多いです。
アレンジ
イントロが言うまでもなく素晴らしい。
そこだけでいうなら小林武史最高傑作と言っても過言ではないかと。
イントロの後半からAメロにかけては、「シンディ・ローパー『Time After Time』のコード進行にインスパイアされて作った」と小林さんはおっしゃっております。
インスパイアというよりはほぼ同じですね。
ちょっと色を足したような感じにしてあります。
そして一番の聴きどころはやはり後半一旦Cメロで落としてからの、ラスサビの転調。
これ以上に転調が上手くハマっている曲はそうないように思います。
この曲は一番最初にライブ披露された「Act Against AIDS ’94」から、直近の「半世紀へのエントランス」までかなりの数をツアーやフェスで演奏されています。
それにも関わらず大きくアレンジ変更をされたのは、恐らく『”HOME” TOUR 2007 -in the field-』と、とあるテレビ番組にて一度大幅に変えたものを披露したくらいだと思います。
つまりこれだけ演奏していて、ほぼ原曲通りのアレンジを壊さないというのは、弄りようのないくらい完成度が高いことへの証明かもしれないですね。
著名人の感想
掘り下げれば掘り下げるほど、全てが秀逸で感服したのを覚えています。
ゆず:岩沢厚治
ライブ披露
ライブ
- Act Against AIDS ’94
- ’94 tour innocent world
- ’95 Tour Atomic Heart
- STADIUM TOUR Hounen Mansaku 夏祭り1995 空(ku:)
- REGRESS OR PROGRESS
- SPECIAL EVENT INNOVATION 1999
- “DISCOVERY”TOUR ’99
- CONCERT TOUR POPSAURUS 2001
- ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001
- Tour 2004 シフクノオト
- Mr.Children & the pillows new big bang tour ~This is Hybrid Innocent~
- “HOME” TOUR 2007 -in the field-
- STADIUM TOUR 2011 SENSE -in the field-
- ap bank fes ’12 Fund for Japan
- [(an imitation) blood orange] Tour
- SUMMER SONIC 2013
- STADIUM TOUR 2015 未完
- Hall Tour 2016 虹
- GBGB2016
- ロックロックこんにちは!20th Anniversary Special ~R² need U, I need U~
- Reborn-Art Festival 2016 × ap bank fes 2016
- 京都音楽博覧会2016
- ONE OK ROCK 2017 “Ambitions” JAPAN TOUR
- SUGA SHIKAO 20th Anniversaryスガフェス!~20年に一度のミラクルフェス~
- Hall Tour 2017 ヒカリノアトリエ
- DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25
- Reborn-Art Festival × ap bank fes 2017
- FATHER&MOTHER Special Live
- Tour 2018-19 重力と呼吸
- Dome Tour 2019 “Against All GRAVITY”
- B’z presents UNITE #01
- FATHER&MOTHER Special Prelive エントランスのエントランス
- Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス
オススメ映像作品
Mr.Children”HOME”TOUR 2007 ~in the field~
ライブで披露される頻度がかなり高いので、敢えて原曲からかけ離れたアレンジのものをオススメします♪
アコースティックトゥモネバです!!
テレビ
- 1994年11月21日「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」
- 1994年11月25日「MUSIC STATION」
- 1994年12月6日「1994 FNS歌謡祭」
- 1994年12月30日「MUSIC STATION」
- 1995年2月20日「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」
- 1995年4月28日「ポップジャム」
- 1997年3月17日「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」
- 2003年12月1日「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」
- 2007年3月11日「Music Lovers」
- 2012年11月23日「僕らの音楽」
まとめ
何を話す必要があるでしょうか。
そう言いたくなるほどに完成度が高く、まさにMr.Children代表曲と言える。
いや、日本の代表曲と言っても過言ではない超大作です。
そしてその歌詞は、自分の生き方を追求していく歌だと僕は解釈しています。
夢中で駆け抜けていられる時間は限られている。
過去の為に使ってはいけない。
今とそこから続く明日の為に使うべきだ。
そんな想いが込められているように思います。
この楽曲は94年リリースでしたが、次に発売されるALBUM『深海』には収録されず、一つ飛ばして97年リリースの『BOLERO』に収録されました。
深海に入らなかったのはコンセプト的に違うという理由がありますが、実はその『BOLERO』も最悪、外された可能性も実はあったのです。
桜井さんは当時のインタビューで「この曲はアルバムの最終曲に入れるしか収まりがつかなかった。まぁボーナストラックとでも思ってください」とおっしゃっています。
つまりこれが何を意味するのか、それは恐らくこの曲は他と比べて頭一つ抜けた存在であって、それこそ”孤独なレース状態”になってしまっているくらい、傑作中の傑作と捉えていいのではないかと思いました。