Mr.Children「Drawing」の解説と歌詞考察だよ♪
形に残せない想い出も、記憶の中で描かれている
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
21st Single | youthful days | 2001年11月7日 |
10th ALBUM | IT’S A WONDERFUL WORLD | 2002年5月10日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 2001-2005 <micro> | 2012年5月10日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
ドラマ『幸福の王子』の主題歌だよ♪
発売から2年後の起用だっただな。
レベッカの『Maybe Tomorrow』っていう曲をイメージして作られたそうよ♪
アルバムジャケット情報
- デザイン(地球から植物が育っている)が決まるまでかなり時間のかかった作品
- 地球環境を意識している
- ジャケットは絵に見えるが実は写真を加工したもの
- 歌詞カードのブックレット写真のイメージは「エデンの園」
- アートディレクター:信藤三雄
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて
Drawing=描く
上手に絵を描けなくても、記憶の中で思い出は綺麗に描かれている。
歌詞考察
1番 Aメロ(遠い遠い〜)
遠い遠い子供の頃夢で見た景色が
<出典>Mr.Children/Drawing 作詞:桜井和寿
一瞬フラッシュバックしたんだ
笑いながら僕の頬にキスをする少女が
君とオーバーラップして
子供の頃に主人公は、笑顔で僕の頬にキスをする少女の夢を見たことがありました。
子供の頃見た夢なんて忘れているもの。
でも何かをきっかけに、ふとその夢のシーンを思い出すことがあります。
主人公にとって、その”きっかけ”が彼女からのキスでした。
“夢の中の景色” “キスをする少女”
その体験はとても心地良く幸せなものだったのでしょう。
彼女からの優しいキスに記憶が導かれるように、不意に”夢”と”現実”という二つの幸せが重なったのです。
1番 Bメロ(淡い光の〜)
淡い光の曇り空に
<出典>Mr.Children/Drawing 作詞:桜井和寿
フワフワな時を刻んでいく
この素晴らしい 煩わしい気持ちを
真空パックしておけないもんかなぁ
淡い光の曇り空。
今にも幸せを象徴するような太陽が顔を出しそうな描写。
そんな自然現象のオーバーラップが今の自分と重なり、フワフワした心地の良い感覚と共に時を刻んでいます。
素晴らしい今。
なのにたまに感じてしまう煩わしさ。
全てがその時その時に起きている大切な時間です。
でもいつかは想い出となり風化してしまいます。
だったらその出来事全てを真空パックして、閉じ込めておけたらどんなに素敵なことか。
永遠に保存しておきたい幸せがここにはたくさんあるのです。
でも現実はそうはいきません…。
1番 サビ(絵に描いた〜)
絵に描いたとしても 時と共に何かが色褪せてしまうでしょう
<出典>Mr.Children/Drawing 作詞:桜井和寿
永遠はいつでも
形のない儚い幻影(かげ)
君と共に 僕の元に
例えその幸せを絵に描いたとしても、決定的な”何か”は色褪せてしまうもの。
“何か”という言い方で含みを持たせています。
“永遠”は儚く、形として保存しておくことは出来ない。
だけど、君との日々は僕の心の中に保存されている。
主人公の記憶の中では真空パック出来ているのです。
2番 Aメロ(もっともっと〜)
もっともっと上手に いろんな絵を描けたなら
<出典>Mr.Children/Drawing 作詞:桜井和寿
やっぱり君を描きたいな
僕にとって君とは つまりそう小さな点
そしてあらゆる総て
絵は色褪せてしまうもの。
それを分かった上でやっぱり君を描きたいと思う主人公。
僕にとっての君は”小さな点”なのです。
「あの日笑った君」「あの日怒った君」「あの日悩んだ君」「あの日泣いた君」
その総ての点を繋ぎ合わて描き上げられたものが僕の幸せ。
色褪せると分かっていても、いろんな君を描きたいと思うのです。
2番 Bメロ(デタラメと〜)
デタラメと嘘の奥に
<出典>Mr.Children/Drawing 作詞:桜井和寿
本当の答えが眠っている
この素晴らしい 慌ただしい
人生を二人三脚で越えて行けるかなぁ
素直になれずデタラメや嘘でやり過ごしてしまうこともある。
でも心の奥にある”君を愛してる”という想いだけは変わりません。
それが原因で喧嘩になったり、時には煩わしくなったりもするけど、それも含めて二人の人生。
永遠なんてないのは分かってる。
それでも「いつまでも一緒に越えて行けるかなぁ」と希望を抱きます。
2番 サビ(とりあえず僕は〜)
どんな場面でも 僕の絵には必ず君が描かれていて
<出典>Mr.Children/Drawing 作詞:桜井和寿
目を閉じたまま深呼吸してみれば分かる
君はいつも 僕のノートに
主人公が上手な絵を描く必要はないのです。
君と過ごした日々はしっかり心に刻まれている。
目を閉じて深呼吸するだけで君との日々は次々とオーバーラップしていく。
既に心のノートにはあらゆる君が描かれていました。
ラスサビ(ある日君が〜)
絵に描いたとしても 時と共に何かが色褪せてしまうでしょう
<出典>Mr.Children/Drawing 作詞:桜井和寿
永遠はいつでも
形のない儚い幻影
君と共に 僕の元に
そしていつも 僕のノートに
目を閉じれば君はいる。
「笑った君」が「怒った君」が「悩んだ君」が「泣いた君」が「笑顔の二人」が。
例え”永遠”に残るものはなくたっていい。
いつも僕の心の…記憶のノートにあるのだから。
聴きどころ
メロディー
メロディーは、桜井さんが妻と花火を観ようとしている時にふと思いついたものだそうです。
だからサビの頭が「絵〜に」と高音一発ドカンと歌い上げるものになったのかもしれません(完全な妄想)。
でもこの曲は高音ではなく、低音が注目ポイントです。
一瞬ですが現時点でMr.Children”史上最低音”です。
歌詞でいう「フラッシュバック」の「ク」がそれにあたります。
男性でも歌うのはしんどい音です。
高音というのは練習すればある程度出せるようにはなりますが、低音は生まれ持ったものが限界であり、ボイストレーニングをしても中々広げられないのです。
桜井さんがここまで低い音も使いこなせるのは、流石としか言えませんね。
アレンジ
やはりこの曲のアレンジといえば間奏です。
メロディーを思いついたという花火のシーンの神秘的なイメージが連想できます。
後述していますが、歌詞の制作秘話に桜井さんが見た川のキラキラというものがあります(まとめの項目をご覧下さい)
その秘話を聞いた上で間奏を聴くと、川のキラキラもイメージできます。
ハネたリズムもクセになります。
実際の音源では音色がすごく心地良いですし、間奏だけで聴く価値があると思います。
“間奏”に限定すれば楽曲『終末のコンフィデンスソング』が僕は特に好きなのですが、それと同じくらいこの曲の間奏も大好きです。
著名人の感想
随時更新します。
ライブ&テレビ披露
ライブ
- WONEDERFUL WORLD on DEC 21
- DOME TOUR 2009 ~SUPERMARKET FANTASY~
- ap bank fes ’12 Fund for Japan
- ワン・バイ・ワン・プラス ~10年目のフレームより~
- 誰も得しないラジオ (仮) Special(YouTubeにてスタジオライブ)※2021年12月24日〜12月31日までの期間限定公開
- 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス(ドーム3公演のみ)
オススメ映像作品
Mr.Children DOME TOUR 2009 ~SUPERMARKET FANTASY~
現在映像として残ってるのはDEC21とスパファンだけです!
原曲通りで聴きたい方は『WONEDERFUL WORLD on DEC 21』をオススメしますが、『SUPERMARKET FANTASY』ではアコースティックにアレンジされていて、且つ歌詞の制作背景を少しMCで語っているので、個人的にはスパファンをオススメします♪
テレビ
なし
まとめ
元はカップリング曲でしたが、両A面で売り出してもよかった程のクオリティーではないでしょうか。
ベストアルバム「Mr.Children 2001-2005 <micro>」にも収録されており、元がカップリングという曲の中では1.2を争う人気曲かと思います。
Aメロの静寂さと幻想的なサウンドにすごくリラックス効果があり、イントロから最後まで星空の下で落ち着いて聴いていたいような楽曲です。
考察し終えた感想としては、すごく前向きなのにどこか切なさを感じてしまいました。
恐らくそれは主人公が終わりを意識しているように思えたからなのかも知れません。
歌詞を制作するに至った経緯を桜井さんはこう語っています。
福岡でのライブ前ホテル近辺を散歩していて、ふと見つけた画廊で絵を購入しました。
その後、絵は持ち帰れないから送ってもらうことにして、画廊を後にし、川沿いまで歩きました。
その川の景色がキラキラしていていて、ふと画廊で買った絵を思い出し、「俺も絵が描けたらなあ」と思った。
こういった出来事をそのまま歌詞にしたそうです。
ちなみにその絵はほぼ白で、少ない青色で空と海が描かれていて一匹だけ飛んでる蝶々がいるものだそうです。
桜井さんの日常の中にある、ふとした何気ない”小さな点”を”あらゆる物語”に広げてファンに届けてくれているんだなぁと思うと、すごく1曲1曲を大切に聴いていたくなります。
そんな桜井さんの作り上げた歌詞カードというノートを、自分の心のノートに少し書き留めさせてもらって、今日も頑張ってやっていきたいですね。