『’92 EVERYTHING TOUR』解説

ライブ
チルカン
チルカン

Mr.Childrenの初のツアー『’92 EVERYTHING TOUR』を、徹底的にリサーチしたうえで、解説していくよ♪

概要

1992年5月10日、アルバム『EVERYTHING』でメジャーデビューをしたMr.Children。
そのわずか9日後、5月19日から全国10カ所10公演の『’92 EVERYTHING TOUR』がスタートしました。

福岡・博多Be-1を皮切りに、広島、神戸、大阪、名古屋など、比較的小規模なライブハウスを中心に行われた。

チル鶏
チル鶏

全国各地を周っているけど、今と違って、全て車での移動だったらしいよ!

チル鶏ブラック
チル鶏ブラック

運転したのは桜井さんと当時のマネージャーらしいぜ。

チル鶏子
チル鶏子

桜井さんは「この頃って車移動してた、そう、すげぇ車移動だった。1日8時間くらい運転してた。今考えてみると恐るべき体力だった(笑)」と語っているわ。1

公演日・会場・キャパシティ

公演日会場収容人数備考
5月19日
博多Be-1 
約300人対バン(客入りは50人以下)
5月21日広島ウディストリート約200人対バン(客入りは20〜30人)
5月22日神戸チキンジョージ約500人対バン
5月25日新宿日清パワーステーション約700人初ワンマン
5月30日大阪ミューズホール約350人ワンマン
6月11日名古屋E.L.L約250人ワンマン
6月14日渋谷La.mama約300人BAD MUSIC PRESENTS Vol.1
6月16日新潟 Club Junk Box約300人with the pillows(the pillowsのお客さんが多かった)
6月17日仙台シルバーセンター約300人with the pillows(the pillowsのお客さんが多かった)
6月19日札幌ペニーレイン24約500人with the pillows(the pillowsのお客さんが多かった)

メンバー編成

●総メンバー数(ワンマンライブ)『6人』2

  • Mr.Children
  • 篠原【キーボード】
  • 不明【パーカッション】

セットリスト解説(日清パワーステーション)

00. OPENING
01. ロード・アイ・ミス・ユー
02. グッバイ・マイ・グルーミーデイズ
03. 力~Power~
04. Mr.Shining Moon
05. Jack Knife
06. 君の事以外は何も考えられない
07. ゆりかごのある丘から
08. (タイトル不明)
09. この雨上がれ
10. YESTERDAY ONCE MORE
11. 夢へと続く坂道
12. 風~The wind knows how I feel~
13. ためいきの日曜日
14. 君がいた夏
15. 友達のままで
16. Oh My God
17. CHILDREN’S WORLD
-Encore-
18. トムソーヤの詩
19. 星になれたら
20. Hello, I Love You

00. OPENING

このライブでは、メンバー自らで撮影したオープニング映像を用意していました。

モノクロのサイレント映像の中、目覚まし時計が鳴り、慌てて飛び起きる桜井さん。
パジャマを脱いで、服に着替える。
ズボンを脱いだところで客席からは黄色い歓声!
彼が急いで走って待ち合わせ場所に着くと、すでに他の3人がイライラしながら待っている。
そこからまた走り、4人がたどり着き駆け込んだのは…日清パワーステーション!!
次の瞬間、本物のメンバーたちが登場!という超短編映画のような作りだったそうです。3

ちなみにロケ場所は東京の青山通りだったそうです。

01. ロード・アイ・ミス・ユー

青いシャツに白いズボン。
ネクタイを締め、前髪を上げ、ピシッとした格好の桜井さん。

アルバムの曲順通りの1曲目で開幕しました。

現在とは違い、この頃はまだ田原さんと中川さんの立ち位置が逆です。
また、JENのコーラスがよく聴こえるのも当時ならでは。
CDでラスサビの歌が重なるところは、JENが担当していました。

アウトロは本来フェードアウトで終わりますが、ライブではイントロに戻るアレンジで締めています。

02. グッバイ・マイ・グルーミーデイズ

JENのドラムソロがあり、2曲目にいきなり当時の新曲。

この時はまだCDとは歌詞が大きく違っています。
きっとこれから小林さんからいっぱいダメ出しされちゃうのかな…( ;∀;)

03. 力~Power~

“Power”にちなんでか、ジョン・レノンの『Power to the People』を最後に追加したアレンジでした。

04. Mr.Shining Moon

『EVERYTHING』から選曲。
桜井さんはエレキギターを持って歌っていました。

05. Jack Knife

この曲はとてもノリのいい曲で、音源化を希望したいくらいの1曲です。

06. 君の事以外は何も考えられない

こちらも後に音源化される曲。
歌う前に桜井さんがタイトルを言うと客席は大歓声。

CD化後の歌詞にある「いくつになっても風に吹かれて」をこの頃は「いくつになっても幼稚な僕は」とは歌っていました。

07. ゆりかごのある丘から

後に『深海』に収録されることとなるあの曲。

今やアマチュアVer.を聴いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この頃は若干アップテンポなバンドサウンド。

歌詞も大幅な違いがあります。
例えば2番のAメロ。

草原は見る影もないほど荒らされて
鳥たちの歌声は聞こえる事もない
戦争には勝ったけど何もかもなくなってる
一体僕は何をしていたんだろう

この僕の訃報を告げる電報を
君の家に放り込んだその足で
もみの木によじ登り 口笛吹いてたら
あのゆりかごが僕に微笑みかけてる

『深海』Ver.の主人公は生き延びて戻ってきていますが、この物語では主人公は亡くなっているようですね。

08. (タイトル不明)

(こちらは僕が間違っているかもしれない…ということを前提にお読みください)

インターネット上でこの日のセットリストを検索すると、あらゆるセットリストサイトで「08. 屋上での夢」とされています。
しかし僕が知っている『屋上での夢』は、このツアーで8曲目に演奏されたものとは全く違う曲なのです。

これについてひとつ考えられることは、”どこかのサイトが誤って載せたものを、他のサイトもコピーしてしまった”のではないかということ。
もしくは、ただの僕の勘違い。

真実はわかりません。
ただ、ここの8曲目に演奏された曲を聴いたことがある方、いますでしょうか?

ミディアムテンポのとてもとても良い曲なんです。
(YouTubeの同タイトルの動画に数秒だけ自作音源あり)

09. この雨上がれ

アマチュア時代のMr.Childrenといえば、この曲を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
良い意味で青臭い名曲ですね。

10. YESTERDAY ONCE MORE

誰もが知っているであろう「カーペンターズ」の名曲。

この曲ではステージにソファーが用意され、桜井さんは足を組み、座りながらの歌唱。
この時何故選曲がカーペーンターズだったのか?桜井さんはこのように語っています。
桜井「JENがいま、カーペンターズに凝っていて、影響を受けた。4」
シンプルな理由でした。

桜井節の『YESTERDAY ONCE MORE』、とても素敵です。

11. 夢へと続く坂道

ファンクラブ会員なら全員知っている曲ですね。
未会員の方、入ったらとてもお得ですよ。

こちらも前曲に続き、桜井さんはソファーに座ったまま歌いました。
楽しそうに優しい笑顔で歌う姿はこの頃から今も変わりません。

12. 風~The wind knows how I feel~

これより『EVERYTHING』コーナーへ突入。

2番が終わると音が静まり、風に流れる雲の映像をバックに、間奏からアレンジ変更をしています。

13. ためいきの日曜日

ドラムのイントロが追加されています。

14. 君がいた夏

この曲の映像はベストアルバム『Mr.Children 2015-2021 & NOW』にて、期間限定で視聴することができました。
たくさんのひまわりの映像をバックに歌い上げるメンバーの姿が印象的でした。

15. 友達のままで

田原さんの演奏する鍵盤ハーモニカが印象的。
客席からは大きな歓声が上がったそうです。

16. Oh My God

アマチュア時代にリリースしたカセットテープ、『そよ風の唄』に収録された曲。
リズミカルでとても良い曲です。

17. CHILDREN’S WORLD

後の『未完』ツアーで演奏された時のように大きな盛り上がりをみせ、本編を締めくくりました。

18. トムソーヤの詩

ここからがアンコールです。
アマチュア時代の盛り上がり鉄板曲。

本来はスピード感のあるロックテイストな曲ですが、この日は桜井さんの弾き語り。
スローテンポVer.で演奏されました。

19. 星になれたら

このライブでは2番のAメロがなかったり、田原さんのギターソロがあったりで、構成が今とは違う演奏でした。
この時はまだそういうアレンジだったのか、はたまたライブ用のアレンジ変更なのか、定かではありませんが。

本楽曲はデビュー前に寺岡呼人さんと制作された曲であり、アマチュア時代から披露されていた曲。
まさかここまで根強い人気を誇るとは。
当時のファンも、また本人達にとっても、誇らしい事ですね。

20. Hello, I Love You

切ないピアノのイントロで始まる最後の曲は、アマチュア時代の大名曲。
個人的には音源化、もしくはツアーの弾き語りコーナーでも良いので、今聴きたい1曲です。

演奏終了後はメンバー全員が前に出て挨拶をし、退場されました。

セットリスト~最後の渋谷La.mama~

次に6月14日の「渋谷La.mama」。
Mr.Childrenがアマチュア時代から活動の拠点にしていたライブハウスです。
この日は当時の所属事務所、BAD MUSIC企画のイベントであり、Mr.ChildrenはLa.mamaへの出演を、これで最後にしています。
対バン相手にはJUN SKY WALKER(S)らも参加。

↓セットリストはこちら↓

01.星になれたら
02.Mr.Shining Moon
03.君がいた夏
04.ためいきの日曜日
05.風〜The wind knows how I feel〜
06.CHILDREN’S WORLD
-Encore- (※アンコールは対バン相手とコラボの可能性あり)
07.不明
08.雨上がりの夜空に

『星になれたら』に始まり、『EVERYTHING』収録曲が中心。
アマチュア時代の曲を封印し、最後の出演、そして新たな門出に相応しいセットリストであると感じます。

アンコールの「不明」はどこを調べても不明でした。
最後の曲『雨上がりの夜空に』は忌野清志郎さんのバンドRCサクセションのカバー。
後に「ap bank fes ’06」でBank Bandとしても歌われましたね。

ちなみに当日はプロデューサーの小林さんも観に来ていたそうです。

この日のLa.mamaについてはこれくらいしかお伝えできることがなく申し訳ないですが、以上となります。

それ以降の公演は全て「the pillows」との対バンです。

冒頭でお伝えしたようにこの頃はまだ「the pillows」のお客さんのほうが多かった。
桜井さんは前半の対バンライブも含め、その後の雑誌でこう語っていました。
「なんていうかほとんど他のバンドのお客さんだなっていうのを思いながらやっているっていうか…もちろんそのとき実力では差はあったけど、やってる本人としては“負けないぞ”っつうか。そういう気持ちでやってましたからね。5」

まとめ

1st ALBUMを引っ提げ、デビュー後に行われた初のツアー『’92 EVERYTHING TOUR』。
それは、小さなライブハウスで対バンライブ中心に行われました。
その中で、遂に初のワンマンを決行。
そこではデビュー前の曲に加え、アルバム収録曲はもちろん、新曲も披露。
また、ホーム「渋谷La.mama」への出演を最後とし、より多きなステージへ進んでいく転機となったツアーでした。

原石が輝き始めた瞬間とでも言いましょうか。
その原石を見つけてくれたファン、業界関係者、そしてそれをプロデュースしていく小林さん、スタッフに感謝です。

さて、その後8月には1st シングル『君がいた夏』がリリースされます。
これを機に、9月からは続編ともいえる『’92 Your EVERYTHING Tour』がスタート。

今やドームやスタジアムを満員にする彼らですが、その原点には、小さなライブハウスでコツコツと、今とは比べ物にならない少ない人数に向けて、歌っていた姿があったのです。
まさに“ライブで育ってきたバンド”ですね。
その中で掴んだ心が、後のドームやスタジアムにまで繋がっていったのでしょう。

この記事が、そんなMr.Childrenの原点に触れるきっかけになれば嬉しいです。

桜井さんはツアーが始まる前のインタビューで、このように語っていました。
「僕らはみんなの喜ぶ顔が見たくてライブをやってるようなものなんです。それって、たとえば好きな女の子の喜ぶ顔が見たくてプレゼントをあげるのと同じかもしれない。で、今はうんと喜んでもらえそうなプレゼントを、一生懸命に探してるところなんです。だから、楽しみに待っててください。6」

本当に素敵なバンドです。

  1. GB 1994年11月号 ↩︎
  2. popsaurus mr.children ↩︎
  3. GB 1992年8月号 ↩︎
  4. F&M MAY 1992 Vol.9 ↩︎
  5. GB 1994年11月号  ↩︎
  6. GB 1992年7月号 ↩︎
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