
Mr.Children「CHILDREN’S WORLD」の解説と歌詞考察だよ♪
大人になっても忘れないでいたい場所
楽曲紹介
収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
1st ALBUM | EVERYTHING | 1992年5月10日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿/編曲:小林武史&Mr.Children
アルバム『EVERYTHING』累計売上:45.1万枚
豆知識

アマチュア時代から存在する曲の一つだよ♪

アルバム『EVERYTHING』の中で最も古い曲なんだぜ。

ベストアルバム『Mr.Children 2011 – 2015』のSPECIAL WEB視聴シリアルナンバーで観ることができた期間限定特典映像に、「渋谷La.mama」でのライブ映像が公開されたわ。
アルバムジャケット情報
- ジャケットの吹き出しは合成素材ではなく段ボールで作られた本物
- メンバーのメインビジュアルはCDケースの表面ではなく裏面に来るよう配置されている
- アートディレクター:信藤三雄
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて

直訳すると「子供たちの世界」。
それは”仲間と自由に夢を描ける場所”です。
歌詞考察
1番 Aメロ(壊れた窓の〜)
壊れた窓の隙間から
<出典>Mr.Children/CHILDREN’S WORLD 作詞:桜井和寿
僕を呼ぶ口笛が聞こえる
空き地の隅に組み立てた
秘密の基地へ走って行く
ママの口癖も 聞こえないふりで
仲間を集めて 始めよう
主人公が仲間たちと集まる描写から始まります。
冒頭の「壊れた窓」というフレーズからは、“大人の管理が行き届かない自由な空間”を表現しているように感じます。
窓の隙間から聞こえる口笛、それは僕を呼ぶ合図。
仲間が僕を待っている。
空き地の隅に自分たちだけで作った「秘密の基地」へ集まるため、主人公たちは走ります。
「早く帰ってきなさいよ!」「危ないことはしちゃダメよ!」
背中から聞こえてくるママの口癖。
僕らは何も聞こえないふりをして、秘密の基地へ。
さて、夢中になったワンパク少年たちは、そこで何かを始めようとしていますね。
1番 Aメロ2(あいつは口が〜)
あいつは口が軽いから
<出典>Mr.Children/CHILDREN’S WORLD 作詞:桜井和寿
仲間には入れたくないけれど
ギター弾くのが上手いんだ
それはまるで チャック・ベリーのように
トランプが化けた メンバーズ・カード
こっそり計画を立てて
秘密の基地へ集まった仲間たち。
でもその中に一人だけ仲間外れにしたい人物がいるようです。
それは”口が軽いあいつ”。
この秘密の場所を誰かしらにバラしてしまう可能性があるからです。
だから本当は仲間入れたくないけれど、入れざるを得ない理由がありました。
何故ならそいつは、”チャック・ベリーのようにギターを弾くのが上手い”からです。
チャック・ベリーはロックンロール創始者の一人であり、あのジョン・レノンが「ロックンロールに別名を与えるとすれば『チャック・ベリー』だ」というほどの伝説のギターヒーロー。
口は軽いが、あいつがいることで何かワクワクするような新しいことを始めてくれそうな気がする。
だから仲間にとって欠かせない存在でもあるのでした。
どうやらこの子供たちは音楽に詳しいようです。
もしかするとその秘密基地には、いくつかの楽器が置いてあるのかもしれませんね。
そこで彼らはトランプを使って、秘密の基地へ入るための大切な証明書となる、メンバーズカードという名の「仲間の証」を作り上げました。
それにより仲間の結束も高まると考えたのでしょう。
そんな彼らは今こっそりと、何かしらの計画を立て始めています。
【チャック・ベリー】
- 本名:チャールズ・エドワード・アンダーソン・ベリー
- アメリカのミュージシャン・ギタリスト
- ロックンロール創始者の一人
※「ロック界の伝説」と敬われ、最初期のギター・ヒーローとして認知されている。
1番 サビ(何か大きな〜)
何か大きな事を しでかしたくて
<出典>Mr.Children/CHILDREN’S WORLD 作詞:桜井和寿
ウズウズしている
いつも 大人の声に 聞き耳立てて
ビクビクしている
そんな CHILDREN’S WORLD
彼らの計画は”大きな事”をしでかすこと。
具体的にそれが何を指すのかは明記されていませんが、彼らにとって「自分たちの世界を揺るがすような一大イベント」を指していると考えられます。
それは例えば”大勢の人の前で自分たちの音を届ける”ことなど。
単なる遊びではなく、自分たちにとって大事件となるような”自由で大きな事”をしでかしたくてウズウズしているのです。
しかし今はまだ子供。
自由に何かを始めることなどできずに、いつも大人の目を気にしてしまう。
常に監視されているようなものです。
バレないように聞き耳立ててビクビクしている。
叱られることを恐れながらも”やりたいこと”はやりたい。
そんな子供たちの世界が描かれています。
2番 Aメロ(間違いだらけ〜)
間違いだらけの答案は
<出典>Mr.Children/CHILDREN’S WORLD 作詞:桜井和寿
空き地に埋めて隠したけど
心の隅に隠してる
重い荷物は消せないから
あの頃のように 笑えない時が
いつか来るけれど 心の中は
子供の頃、成績の悪いテストや通知表など、親に見せたくなくて隠した経験がある人もいるのではないでしょうか?
「失敗を隠したい」という子供らしい心理です。
でも隠すことでその問題が本当に解決するわけではない。
心の奥には罪悪感が残り続けます。
そして後悔をする。
今はどんなに失敗しても、友達と遊んで笑い合えば楽しく乗り越えられるかもしれない。
でも大人になると、そう簡単には笑えない瞬間が増えてきます。
そんな時がいつか来る。
だけど、「それでも変わらないものがある」。
子供の頃のように無邪気に笑えなくなったとしても、心の中には何かが残っている。
2番 サビ(数えきれない〜)
数えきれない夢を抱えて
<出典>Mr.Children/CHILDREN’S WORLD 作詞:桜井和寿
ドキドキしている
今は思い通りにいかないことも
いつかは叶えて
ここは CHILDREN’S WORLD
子供たちは今、どこまでも広がる無限の可能性を持っている。
そしてその可能性にドキドキワクワクしながら、純粋な期待を抱いています。
でもこの先、思い通りにいかないことはたくさんあるでしょう。
例えば「大人に邪魔される」「仲間割れする」「計画がうまくいかない」など、子供なりの挫折や悔しさもきっとあります。
それでも仲間たちは、「夢が叶う未来」を信じて生きている。
「CHILDREN’S WORLD」とは、“仲間と自由に夢を描ける場所”です。
子供の頃に持っていた純粋な気持ちを、大人になっても忘れないでほしいというメッセージが込められているように思えます。
聴きどころ
メロディー
初期の初々しさを感じる勢いのあるメロディーです。
個人的に好きなフレーズは、サビの「ウズウズしている」「ドキドキしている」の頭の一音。
通常のスケールから半音フラットさせており「ウズウズ」「ドキドキ」な心の疼きがイメージできます。
アウトロの「Chu Chu〜♪」では”仲間を集めて楽しむ子供達”の陽気さを表現しているようにも感じますね。
アレンジ
イントロから始まるエレキギターのアルペジオが印象的です。
メロディーの繋ぎで何度も使用されており、耳に残ります。
全体を通してギター色が全開で、みんなで歌えるセクションもあり、ライブ向きの楽しいバンドサウンドです。
CD音源ではアコギを含めると最低3本ほどのギターが使用されていますが、Mr.Childrenの楽曲の中では4人だけで演奏しても成立する、数少ない作品の一つではないでしょうか。
ノリも良くライブで盛り上がるアレンジになっているかと思います。
著名人の感想
桜井くんの声質、8ビートに乗っかると気持ちいいよね。
藤井フミヤ
ライブ&テレビ披露
ライブ
- アマチュア時代(様々なイベントやライブハウスにて)
- ’92 EVERYTHING TOUR
- ’92 Your EVERYTHING TOUR
- ’92-93 Kind of Love TOUR
- ’94 Special Concert
- STADIUM TOUR Hounen Mansaku 夏祭り1995 空(ku:)
- STADIUM TOUR 2015 未完
オススメ映像作品
Live DVD & Blu-ray『Mr.Children Stadium Tour 2015 未完』
約20年振りの披露で初映像化だよ♪貴重です!
テレビ
なし
まとめ
発売当時の雑誌で桜井さんは「『CHILDREN’S WORLD』以外はこのアルバムのために新しく書いた1」とコメントされていました。
先に豆知識の項目で“アルバム『EVERYTHING』の中で最も古い曲”という情報をお伝えしましたが、ということは、CD化されている曲の中で“最も古い曲”がこの『CHILDREN’S WORLD』であると考えられますね。
タイトルにバンド名の一部が含まれており、1st ALBUMのラストを飾る曲です。
彼らの“始まり”はここにあるんだと改めて感じることができる曲のように思います。
アルバムを通して初めて聴いた時は、シングルカットされた『君がいた夏』と同じくらい好きになった曲です。
初期のMr.Childrenらしいポップさと荒っぽさ、そして勢いのあるバンド感。
楽しそうに夢を追う、彼らの表情が目に見えるような演奏に心打たれました。
この曲は『EVERYTHING』発売以前に、アマチュア時代に販売された自主制作の「MR.CHILDREN」というカセットテープで音源化されています。
【収録内容】
- CHILDREN’S WORLD
- 車の中でかくれてキスをしよう
- 友達のまま
その音源にある『CHILDREN’S WORLD』は、2番Aメロの歌詞が大きく異なります。
【アマチュア Ver. 2番Aメロ】
間違いだらけの答案を
テーブルにそっと置いた時は
押し入れに僕を閉じ込めて
ママはヒステリー起こしたけど
数字にはならない 大切なものが
本当はたくさんあるのに【EVERYTHING Ver. 2番Aメロ】
<出典>Mr.Children/CHILDREN’S WORLD 作詞:桜井和寿
間違いだらけの答案は
空き地に埋めて隠したけど
心の隅に隠してる
重い荷物は消せないから
あの頃のように 笑えない時が
いつか来るけれど 心の中は
アマチュア Ver.では答案用紙をテーブルに置いているんですよね。
つまり失敗を隠さずにそのまま出した。
それに対しママは怒り、罰として押し入れに閉じ込めた。
そこで主人公は「世の中にはテストの点数では測れない価値があるのになぁ。」と感じた。
というストレートな感情を描写しています。
EVERYTHING Ver.では失敗を隠してしまった。
でも隠すことでその問題が本当に解決するわけではなく、心の奥に罪悪感が残り続ける
子供の頃のように無邪気に笑えなくなったとしても、大切なものは心の中に残り続けている。
というようにテーマが広がり、普遍的なメッセージに変化しています。
大人になってからの視点を入れたことにより、『CHILDREN’S WORLD』というタイトルの意味が、「単なる子供たちの世界」ではなく、「大人になっても忘れないでいたい場所」に変わっているのが分かりますね。
収録アルバムのタイトルは『EVERYTHING』。
そこには「何よりも大切なもの」という想いが込められています。
「数字にはならない 大切なもの(アマチュアVer.)」
Mr.Childrenが探しているものは当時から今も変わらないんだなぁとしみじみ思います。
桜井さんは『STADIUM TOUR 2015 未完』のMCで、「みんなの心の中にも、そして僕らの中にも、この子供たちが、少年たちが生きてることを願いつつ」と紹介し、この曲を歌いました。
「ここは CHILDREN’S WORLD」
それは夢を見るすべての人の心の中に、ずっとずっと残っている世界なのでしょう。
- GB 1992年6月号 ↩︎