Mr.Children『ロード・アイ・ミス・ユー』の解説と歌詞考察だよ♪
忘れることのできない微笑みと優しさ
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
1st ALBUM | EVERYTHING | 1992年5月10日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿/編曲:小林武史&Mr.Children
豆知識
記念すべきMr.Childrenデビューアルバム1曲目を飾る楽曲だよ!
タイトルの「ロード」は”道”の「Road」じゃないんだぜ
タイトルについては後ほど説明するわ♪
アルバムジャケット情報
- ジャケットの吹き出しは合成素材ではなく段ボールで作られた本物
- メンバーのメインビジュアルはCDケースの表面ではなく裏面に来るよう配置されている
- アートディレクター:信藤三雄
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて
「ロード・アイ・ミス・ユー」の英語表記は「Lord,I miss you」であり、直訳すると「主」「支配者」という意味です。
ですがその他に感嘆詞として「何てこと!」「あぁ」「おぉ」という意味を持っているそうです。
要するに「oh my god」に近い使い方。
つまり「Lord,I miss you」の”Lord”は感嘆詞としての意味を持つ為「Lord,I miss you」=「あぁ君がいなくて寂しいよ」という意味となります。
道の「Road」ではないので注意!
歌詞考察
1番 Aメロ(あの日から〜)
あの日からずっと 気が付いてたんだ
<出典>Mr.Children/ロード・アイ・ミス・ユー 作詞:桜井和寿
今まで何も聞かずにいたけど
主人公は以前から彼女との関係に不穏な空気を感じていました。
二人の間に何かしらの違和感や距離感が生まれていて、彼女の態度が少しづつ変わっていることに気が付いていたのです。
彼はその事実に向き合おうとせず、避けていた。
いや、グッと堪えながら毎日を過ごしていたのでしょう。
真実を知るのが怖かったのです。
1番 Bメロ(途切れた〜)
途切れた受話器ごしの声
<出典>Mr.Children/ロード・アイ・ミス・ユー 作詞:桜井和寿
最後の言葉を探して
さよならだね 引き止めても
君は出ていく
彼女との電話越しのやり取り。
「途切れた」という表現は、電波や通信の不調を示すのではなく、二人の関係が不安定で通じ合っていないこと、また、途切れ途切れの辿々しい会話のメタファーとしても解釈できます。
言葉が見つからないその声に、これは最後の言葉を探しているのだと悟る主人公。
「さよならだね」と別れの言葉を受け入れます。
引き止めたい気持ちがあるものの、その決意の固さから、変えることができない現実に直面しています。
彼女は彼の元を去っていきました。
1番 サビ(抱きしめた〜)
抱きしめた あの夜は もう二度と戻らない
<出典>Mr.Children/ロード・アイ・ミス・ユー 作詞:桜井和寿
Lord, I miss you I’m waiting on your love
主人公は特別で幸せだった君との夜を思い出しました。
しかしその瞬間が再び訪れることはもうない。
「あぁ 君がいなくて寂しい」(Lord,I miss you)
孤独を感じ、君の存在がどれほど自分にとって大きかったかを痛感します。
「僕は君を待っている」(I’m waiting on your love)
別れを受け入れていても、未練を断ち切れないまま、どこかでまだ君が戻って来ることを期待してしまいます。
2番 Aメロ(壊れそうなほど〜)
壊れそうなほど 切ない想い
<出典>Mr.Children/ロード・アイ・ミス・ユー 作詞:桜井和寿
この胸の Rain drops まだ降り止まない
感情が耐えきれず、限界に達しそうなほど切ない想いに苛まれる主人公。
Rain dropsとは「雨滴」です。
喪失感があまりにも大きく、まるで自然現象のように、胸の中で涙がとめどなく流れてしまうのです。
そしてそれは今も「まだ降り止まない」。
時が流れてもこの悲しみから解放されず、君を忘れることができません。
2番 Bメロ(あの頃の〜)
あの頃のままの笑顔が
<出典>Mr.Children/ロード・アイ・ミス・ユー 作詞:桜井和寿
映画のように溢れてくる
何もかもが 想い出の中へ
消えた今でも
君との日々は全部想い出の中へと消えてしまった。
でも記憶の中の君の笑顔は未だに鮮明に残っていて、まるでこの瞬間、フィルムの一場面が目の前で再生されるかのようにくっきりと浮かび上がってくる。
過去に縛られ、未練を断ち切れない主人公ですが、最後のフレーズで断ち切ろうとします。
2番 サビ〜ラスサビ(抱きしめた〜)
抱きしめた あの夜に もう二度と戻れない
Lord, I miss you I’m waiting on your love
微笑みも 優しさも 色褪せてにじんでく
I want is you I’m waiting on your love抱きしめた あの夜に もう二度と戻らない
<出典>Mr.Children/ロード・アイ・ミス・ユー 作詞:桜井和寿
Lord, I miss you I’m waiting on your love
きっといつかは君の微笑みや優しさも、記憶の中で徐々に色褪せ、曖昧になっていく。
しかし彼は君を忘れようとしているわけではなく、むしろその記憶が徐々に心の中で遠ざかっていくという痛みを感じています。
今はまだ忘れることができない記憶の中で、再びあの夜が訪れることを、当分は願い続けるのでしょう。
聴きどころ
メロディー
Mr.Childrenのデビュー1曲目のテーマが「失恋」という驚きもありましたが、曲もマイナー調で切ない。
初期の頃は爽やかでポップなイメージのMr.Childrenなだけに、予想外な1曲目という印象です。
Aメロは淡々としていますが、Bメロからは高音域で歌い上げています。
サビは階段上のメロディーがリフレインし、展開も激しくワクワクしながら聴ける構成になっているかと思います。
この頃はまだ、それほど一つの音に言葉を詰め込んでいないので、それも逆に新鮮です。
アレンジ
イントロのシンプルで鋭いギターのカッティングが印象に残ります。
桜井さんは当時の雑誌で「ギターのリフのところなんかはかなり攻撃的でしょ。あのガリガリって感じで始まって、Bメロのところでぐっとポップに展開するっていう。最初がすごく鋭い感じなだけに、Bメロはよけいぐっとくるでしょ1」とコメントされていました。
まさに聴きどころはAメロからBメロへの展開でしょう。
転調も絡んでいて、雰囲気が一変しますよね。
セクション毎にビート感が変化する為、聴いていて飽きが来ず、試行錯誤されたアレンジになってるかと思います。
著名人の感想
随時更新します。
ライブ&テレビ披露
ライブ
- アマチュア時代(様々なイベントやライブハウスにて)
- ’92 EVERYTHING TOUR
- ’92 Your EVERYTHING TOUR
- ’92-93 Kind of Love TOUR
- ’93 Versus TOUR
- ’95 Tour Atomic Heart
オススメ映像作品
現在映像収録作品はございません。
実は桜井さんが病気で中止になった『TOUR 2002 DEAR WONDERFUL WORLD』で演奏予定でした。
いつかまたライブで演奏してほしいですね。
テレビ
1993年「NHK福島 MID NIGHT LIVE」
まとめ
ご存知の通りMr.Childrenはシングルではなくミニアルバムをリリースしてのデビューでした。
歴史も長い為ファンの中でもほとんどの人が、後々過去の曲を遡っていく中で聴いた曲の一つかと思います。
もちろん僕もその一人です。
僕がミスチルを聴き始めたのは5th ALBUM『深海』の頃でした。
段々とファンになっていく中で「デビューアルバムの1曲目は一体どんな曲なのだろうか?」
そんな好奇心に駆られ、ワクワクしながらCDを手に取ったのを覚えています。
最初の印象は、時代を感じるサウンド、そして売れてからのMr.Childrenを知っているからこそのギャップに驚いたのが正直な感想です。
でも何度も聴いていく内に、凝ったアレンジと切ない歌詞に引き込まれ、たまにふとイヤホンから流れると「あ、良い曲じゃん」と、主観的な評価は少しづつ変わっていきました。
”ここから始まったんだ”という感慨深さもあります。
Mr.Childrenはデビューアルバムを出すにあたり、アマチュア時代の曲をほとんど封印しました。
その理由は「新たな気持ちでほとんど新曲に近い形でデビューしよう」と『EVERYTHING』を制作されたからです。
「音・声・詩・メロディーライン」全てがアマチュアの頃の曲とは比べものにならないクオリティーで、改めて聴いてみると、「なんかクセになる曲だなぁ」と、その良さに今頃気付いた感が毎回あります。
でもアマチュア時代の曲も、『この雨上がれ』『トムソーヤの詩』『君だけの一日』など、勿体無いと思えるくらいに良い曲が多いです。
それらを封印し、デビューアルバム1曲目として降臨した「ロード・アイ・ミス・ユー」。
Mr.Childrenの歴史、歩みの一歩を感じながら聴くと、また違った聴き方ができるのではないかと思います。
- GB 1992年6月号 ↩︎