Mr.Children「NOT FOUND」の解説と歌詞考察だよ♪
その時々の感情を噛み締める
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
19th Single | NOT FOUND | 2000年8月9日 |
9th ALBUM | Q | 2000年9月27日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 1996-2000 | 2001年7月11日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 2011-2015 | 2022年5月11日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
当時の新聞やテレビでは「ミスチル最高傑作」と紹介されていたよ♪
ドラマ『バスストップ』主題歌だぜ。
本作から完全に12cmシングルへ移行したわ♪(最初のマキシシングルは「マシンガンをぶっ放せ -Mr.Children Bootleg-)
シングルジャケット情報
- 蜜(みつ)空(から)無い(ない)=「NOT FOUND」
- アートディレクター:信藤三雄
MV(ミュージックビデオ)情報
・東京都品川区八潮3丁目2「大井中央陸橋」
(東京モノレール羽田空港線「大井競馬場前駅」徒歩約13分)
監督:信藤三雄
ワンカットで撮影されたような映像ですが、実は撮影トリックを使っている。
Mr.Children 「NOT FOUND」 MUSIC VIDEO
タイトルについて
「NOT FOUND」とはインターネットでウェブページが存在しなかったときに表示される「(404) NOT FOUND」と同意。
桜井さんは楽曲に込めた想いを下記のように語っています。
昨日まで見ることが出来たページが今日は「NOT FOUND」になっていた。
日々の生活の中で見えたものが、次の瞬間見えなくなる”その繰り返しが人生である”
歌詞考察
1番 Aメロ(僕はつい〜)
僕はつい見えもしないものに頼って逃げる
<出典>Mr.Children/NOT FOUND 作詞:桜井和寿
君はすぐ形で示してほしいとごねる
冒頭では男女による愛情表現の違いを描いています。
例えば、
「愛してる」などと言葉にしなくても伝わっているだろうと思うのが”男”。
「愛してる」という言葉や形で示してほしいのが”女”。
そんな価値観によるすれ違いに、心当たりがある人もいるのではないでしょうか?
物語の二人もそれが原因で、しばしば険悪なムードになってしまうようです。
1番 Bメロ(矛盾しあった〜)
矛盾しあった幾つもの事が正しさを主張しているよ
<出典>Mr.Children/NOT FOUND 作詞:桜井和寿
愛するって奥が深いんだなぁ
自分が嬉しいと思うことが誰かにとってはそうでもない。
ということ。
「愛の形」には正解がありません。
でもそれぞれの価値観も間違ってはいない。
そう、矛盾しているのです。
しかしそんな理不尽さも互いが相手を想ってのこと。
それぞれ一つで「愛」あり、それはとても奥深いもの。
でもだからこそ…解らなくなるのです。
1番 サビ(あぁ 何処まで行けば〜)
あぁ 何処まで行けば解りあえるのだろう?
<出典>Mr.Children/NOT FOUND 作詞:桜井和寿
歌や詩になれない この感情と苦悩
君に触れていたい 痛みすら伴い歯痒くとも
切なくとも 微笑みを 微笑みを
「何処まで行けば解りあえるのだろう?」
その感情と苦悩は、歌や詩のように表現や言葉で示すことが難しいのです。
何故難しいのか?
答えが無いからです。
何度考えても答えが出ず自問自答を繰り返す主人公。
解っているのは「君に触れていたい」ということ。
「微笑みを」という歌詞が出てきますが、最後まで読み解くことでその言葉の意味が分かります。
2番 Aメロ Bメロ(愛という〜)
愛という 素敵な嘘で騙してほしい
<出典>Mr.Children/NOT FOUND 作詞:桜井和寿
自分だって思ってた人格(ひと)が また違う顔を見せるよ
ねぇ それって君のせいかなぁ
「愛」は実態がなく、言わばファンタジーのようなもの。
更には人格までをも変えてしまいます。
どことなく自信に満ち溢れたり、はたまた臆病になったり。
「愛」を知ることで知らなかった感情が露わになる。
主人公はその知らなかった感情を知ってしまったことが、君のせいだったと気が付いたのです。
2番 サビ(あと どのくらいすれば〜)
あと どのくらいすれば忘れられんのだろう?
<出典>Mr.Children/NOT FOUND 作詞:桜井和寿
過去の自分に向けた この後悔と憎悪
君に触れていたい 優しい胸の上で
あの覚束無い子守歌を もう一度 もう一度
ここで描かれているのは、母性的な女性の包容力に求める安息。
過去の悔しい出来事は、そう簡単に忘れることは出来ません。
その気持ちに寄り添ってくれる君。
気遣ってくれる君。
そんな君の優しさが心地良いのです。
それはまるで、はっきりとは覚えていない昔聴いた子守唄のように。
君の優しさをもう一度求めることで、全てを忘れられるような気がするのです。
Cメロ(昨日探し当てた〜)
昨日探し当てた場所に
<出典>Mr.Children/NOT FOUND 作詞:桜井和寿
今日もジャンプしてみるけれど
なぜか NOT FOUND 今日は NOT FOUND
ジェットコースターみたいに浮き沈み
ジェットコースターみたいに浮き沈みする君の感情。
昨日はあんなに楽そうに笑っていたのに、今日は何故か不機嫌。
それがまさに“昨日まで見ることが出来たページが今日は「NOT FOUND」になっていた”(桜井談)に繋がります。
感情も物事もいつまでもここにあるとは限らないのです。
桜井さんはこのフレーズをこう解説しています。
「日々の生活の中で見えたものが、次の瞬間見えなくなる”その繰り返しが人生”」(まとめで解説)
ラスサビ(あぁ 何処まで行けば〜)
あぁ 何処まで行けば辿り着けるのだろう?
<出典>Mr.Children/NOT FOUND 作詞:桜井和寿
目の前に積まれた この絶望と希望
君に触れていたい 痛みすら伴い歯痒くとも
切なくとも 微笑みを 微笑みを もう一度 微笑みを
目の前に立ちはだかる絶望と希望。
それは両極端のようで表裏一体です。
楽あれば苦あり、山あり谷あり。
君と感情をぶつけ合い、そこで痛みを伴ったとしても”君に触れていたい”という気持ちは変わらない。
何故なら、昨日までの微笑みをもう一度見たいから。
でも今は君の微笑みが“見つからない”のです。
だから主人公は、切なくともあの微笑みを「もう一度」と願うのです。
聴きどころ
メロディー
Mr.Childrenの楽曲の中でも、喉の消耗度はトップクラス。
桜井さんが病気後の一夜限りのライブ『WONEDERFUL WORLD on DEC 21』では、この曲を歌うことにドクターストップが掛かっていたとも言われています。(自分を乗り越える為にあえて決行した)
それくらいキーも高く、大袈裟に言えば歌う度に命を削るような、喉に負担の大きい楽曲。
AメロやBメロにキャッチーさはなく、どちらかと言えばテクニカル。
絶妙な不安定さが心を掴んできます。
しかしサビに入ると、打って変わりとてもメロディアス。
後半へ向けかなり高音域で歌い上げます。
曲のグルーブ感がボーカルを掻き立て激しく聴こえ、でも実はとてもシンプルで綺麗なメロディーです。
素敵な旋律を良い意味で壊していくのが桜井さんの魅力の一つではないかと思います。
アレンジ
普通の曲と比べ、流れるようなリズムを感じるかと思います。
それは12/8拍子という拍の取り方をしているからです。
( |○○○|○○○|○○○|○○○| で1小節)
個人的には大好物のリズム。
有名所だと尾崎豊の『卒業』やPRINCESS PRINCESSの『M』なども12/8拍子です。
『NOT FOUND』ではそのリズムを上手く活かしたストリングスが、とても素敵なフレーズを弾いているので、注目して聴いてみて下さい。
バンドサウンド+ストリングスの構成、楽曲のパワーを含めると、『終わりなき旅』に近いものを感じます。
ライブも同じくらいのエネルギーを注いで披露されていますね。
ベースもグリッサンドが指の皮が剥がれるのではないかと思うくらい激しく、カッコいいです。
著名人の感想
こういう曲がヒットするってすごくいいですよね。なんか今、世の中って雰囲気ものばかりで、なんとなくな感じでOKっていうか、核心はどうでもいいっていうか。でも彼らはそうじゃない。すごく真面目に取り組んでいて、そこがとても素晴らしいですよね。
信藤三雄
ライブ&テレビ披露
ライブ
- Father & Mother SPECIAL LIVE Q
- Concert Tour Q 2000~2001
- 昭和女子大学 学園祭
- WONEDERFUL WORLD on DEC 21
- ap bank fes ’06
- ラッキーラクーンナイト5
- Split the Difference(スタジオライブ)
- Tour 2011 “SENSE”
- [(an imitation) blood orange] Tour
- SUMMER SONIC 2013
- Tour 2018-19 重力と呼吸
- FATHER&MOTHER Special Live(台湾公演プレライブ)
オススメ映像作品
Mr.Children[(an imitation) blood orange]Tour
原キーの『WONEDERFUL WORLD on DEC 21』や『Tour 2018-19 重力と呼吸』に注目しがちですが、僕は『[(an imitation) blood orange]Tour』を推します!歌の破壊力がヤバイ!!
公式YouTubeにも公開されています♪
Mr.Children「NOT FOUND」Mr.Children[(an imitation) blood orange]Tour
テレビ
- 2000年8月9日「Music Museum」
- 2000年8月12日「COUNT DOWN TV」
- 2000年8月18日「MUSIC STATION」
- 2000年8月19日「ポップジャム」
- 2000年8月24日「うたばん」
- 2000年8月25日「FUN」
- 2000年8月28日「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」
まとめ
桜井さんの『NOT FOUND』に込めた想いにもう少し踏み込んでみます。
「日々の生活の中で見えたものが、次の瞬間見えなくなる”その繰り返しが人生”」という解説がありました。
「昨日探し当てた場所」というフレーズ。
例えば、昨日観た映画に僕はとても感動をしました。
でも今日もう一度観てみるとそうでもなかったことがあります。
さて、昨日の感動はどこに行ったのでしょうか?
それはきっともう味わうことは出来ず、その瞬間だけのものだったのかもしれません。
だからこそ音楽も人も愛も同じように、その時の感情を噛み締めることが大切です。
失ったところでその有り難みは忘れずに、また次の感動と出会っていく。
それがこの曲の描く希望だと僕は思います。
最後に、当時の話を少し。
忘れもしません。
朝「めざましテレビ」からエンタメ系のニュースの時。
軽部さんの声で「ミスチル最高傑作!」という紹介がありました。
初めて聴いたのはドラマ「バスストップ」にて。
一つ前のシングル『口笛』も素敵過ぎる曲でしたので、当時はそこまで”最高傑作”というものにピンとはきてはいませんでしたが、とてもカッコイイ曲がきたなという印象でした。
そして8月9日(発売日)に『Music Museum』という「所ジョージ」さんら司会の音楽番組にMr.Childrenは出演しました。
その番組内で「最高傑作」について質問され、桜井さんは「宣伝文句ではなく、本当にそう思った」(完全に記憶なのでニュアンスです)とおっしゃっていました。
そうやって改めて桜井さん本人の口から「最高傑作」という言葉を聴くと、より曲と向き合ってみようという気持ちにな理、ヘビーローテーションしていた記憶もあります。
現在の”最高傑作”はどんどん更新されていますが、「この曲のために活動を続けてきた」とも言わしめたと曲とのことで、聴く側も一目置いて聴く楽曲なのかなと思います。