【Everything(It’s you)】完全解説+歌詞の意味/Mr.Children

BOLERO
チルカン
チルカン

Mr.Children「Everything(It’s you)」の解説と歌詞考察だよ♪

ポイント

無償の愛

楽曲紹介

楽曲収録CD

概要収録作品発売日
6th SingleEverything(It’s you)1997年2月5日
6th ALBUMBOLERO1997年3月5日
8th ALBUM1/421999年9月8日
BEST ALBUMMr.Children 1996-20002001年7月11日

作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿/編曲:小林武史&Mr.Children
シングル『Everything(It’s you)』累計売上:121.7万枚
アルバム『BOLERO』累計売上:328.3万枚

豆知識

チル鶏
チル鶏

突如発表された活動休止の直前に発売されたシングルだね。

チル鶏ブラック
チル鶏ブラック

日本テレビ系ドラマ『恋のバカンス』主題歌だぜ。
「ドラマの話がある前にすでに自分が作りたいように作ってあった曲、もし使っていただけるなら、どうぞ1」ということで起用に至ったってさ。

チル鶏子
チル鶏子

BBクイーンズのボーカル・坪倉唯子がコーラスとして参加しているわ。

チルカン
チルカン

メンバーはこの頃が一番長髪だったね!

シングルジャケット情報

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桜井さんのコメント

全てを一生懸命突っ走ってきたけど、色んなものを同時に失くしてきた。ふと裸の自分になって全部捨てた時、例えば火事になったりした時に、”これだけは絶対に持っていこう”という何かがこの袋の中には入っている。(実際の撮影では綿を入れていた)2

  • アートディレクター:信藤三雄

MV(ミュージックビデオ)情報

撮影場所

スタジオ等

  • 監督:中野裕之
  • バンドの演奏シーンは’60〜’70年代ロックをイメージ
  • プロデューサー小林武史とはほとんど打ち合わせなしに制作された3

Mr.Children 「Everything(it’s you)」 MUSIC VIDEO

タイトルについて

仮タイトルは「エアロ」(エアロスミスの”エアロ”)。
『Everything(It’s you)』は直訳すると「すべて(それはあなた)」
至高のラブソングです。

桜井さんのコメント1

基本的にラブソングじゃないですか、ニューシングルの『Everything(It’s you)』って。デビューアルバムの『EVERYTHING』もほとんどラブソング。同じラブソングを書くにしても違ってるじゃないですか、年齢と共に。同じタイトルという土俵に並べて、その違い、奥行きみたいなものが見えればなっていう気持ちもあり。4

桜井さんのコメント2

同じラブソングを書くのでも、これだけ差があるんだっていうか。今回の曲にある「世間知らずだった少年時代から」って言うのはデビュー作を作ってた頃の自分たちを指したりもするし。だから時間の流れと歌の流れみたいなこととか、そういう奥行きを、タイトルを同じにすることで感じ取ってもらえたら良いなぁと。5

歌詞考察

1番 Aメロ Bメロ(世間知らず〜)

世間知らずだった少年時代から
自分だけを信じてきたけど
心ある人の支えの中で
何とか生きてる現在の僕で

弱音さらしたり グチをこぼしたり
他人の傷みを見て見ないふりをして

<出典>Mr.Children/Everything(It’s you) 作詞:桜井和寿

少年時代はまだ経験が浅く、世の中の現実や複雑さを知らない時期。
無垢な心でありながら傲慢さもあり、自分の力だけで何事もやっていけると信じていた。

でも、大人になって人の優しさや温かさに触れていく度、「他者の存在」に気づき、自分は誰かと助け合って生きているんだと理解するようになっていきます。
それでも不安になれば弱音を吐いたり、現状への不満や辛さをつい口にしてしまったりする。

なのに他人の痛みや苦しみは見てみないふり…。

完璧ではないけれど、周囲の支えによって現在の自分があることに違いはない。
未熟だった過去の自分と比較しながら、主人公は今の自分を受け入れています。

1番 Aメロ2(幸せすぎて〜)

幸せすぎて大切な事が
解りづらくなった 今だから
歌う言葉さえも見つからぬまま
時間に追われ途方に暮れる

<出典>Mr.Children/Everything(It’s you) 作詞:桜井和寿

自分は今、便利な世の中に生まれ、人の優しさに触れながら不自由なく幸せに暮らせている。
平穏な暮らしが当たり前になり、本当に大切な事がなんなのか解りづらくなっています。

だから「大切な事は何か」と表現しようにも言葉が見つからない。
時間だけが過ぎていき、途方に暮れる日々。

葛藤の中、主人公の視点が再び他者へと広がります。

1番 Bメロ2(愛すべき〜)

愛すべき人よ 君も同じように
苦しみに似た想いを抱いてるの

<出典>Mr.Children/Everything(It’s you) 作詞:桜井和寿

「苦しみに似た想い」という表現は、単なる悲しみや痛みではなく、幸福の中にも存在する複雑な感情や迷いを指しています。

「幸せ」と「迷い」、「葛藤」と「共感」という対立する感情が入り混じる中、それでも主人公には一つだけ、まだ確信ではないけれど、揺るがない想いがあるようです。

1番 サビ(STAY 何を〜)

STAY
何を犠牲にしても 守るべきものがあるとして
僕にとって今君がそれにあたると思うんだよ

<出典>Mr.Children/Everything(It’s you) 作詞:桜井和寿

“自分にとって守るべきものは何だろう?”
そう考えた時、愛すべき君がそれにあたるのだと感じ始めます。

「思うんだよ」という控えめで柔らかな言い回しには、確信というよりも、今そう感じ始めているというニュアンスに聞こえます。

“何を犠牲にしても守りたい”
それは自分を犠牲にしてもいいということにもなる。
つまりこれは“無償の愛”。

主人子は自分だけを信じていた少年時代から、少しずつ自分の本当の幸せを知ろうとしているのです。

※「STAY」については後ほど

2番 Aメロ(夢追い人は〜)

夢追い人は旅路の果てで
一体何を手にするんだろう
嘘や矛盾を両手に抱え
「それも人だよ」と悟れるの?

<出典>Mr.Children/Everything(It’s you) 作詞:桜井和寿

様々な迷いの中で、主人公の葛藤が続きます。

夢を追いかける行為そのものに価値はあるのかもしれない。
だけど、果たしてその先に何が待っているのか?
得られるものはあるのか?
という不安と漠然とした疑問。

それは人間の“生きる意味”の探求とも同じこと。
生きるうえでは避けられない不平等さや不誠実さ、嘘や矛盾と向き合うことになる。
そしてそれらを正す勇気もなく、わざわざ自らの両手に抱え込んでしまう。

「それも人だよ」

そう受け入れていいのだろうか?

その答えは自分一人で解くことはできない。
だからまた君を想う。

2番 Bメロ(愛すべき人よ〜)

愛すべき人よ 君に会いたい
例えばこれが恋とは違くても

<出典>Mr.Children/Everything(It’s you) 作詞:桜井和寿

「君に会いたい」
でもその感情は「恋」とは違うかもしれない。

そう思うのは、決してそれは自分の欲求ではなく、“君を守りたい”という気持ちからなるものだから。

つまり「恋」ではなく「愛」。

彼は嘘や矛盾を抱えながら何かを求めるのではなく、欲もエゴもない無償の愛の存在に気づき始めるのです。

2番 サビ(STAY 僕が〜)

STAY
僕が落ちぶれたら 迷わず古い荷物を捨て
君は新しいドアを 開けて進めばいいんだよ

<出典>Mr.Children/Everything(It’s you) 作詞:桜井和寿

主人公の覚悟が描かれています。

もしも僕が落ちぶれて、君が自分には相応しくないと感じたなら、想い出も、関係性も、そして僕自身も捨てて新しい道へ進めばいい。

これは主人公は自分が君にとって足枷になることを恐れ、むしろ違う道を選んでほしいという純粋な願いです。
君の幸せを最優先に考えることができました。

相手を思うが故の自己犠牲です。
それがこの歌で描かれる「真の愛の形」なのかもしれません。

ラスサビ(STAY 何を〜)

STAY
何を犠牲にしても 手にしたいものがあるとして
それを僕と思うのなら もう君の好きなようにして
自分を犠牲にしても いつでも
守るべきものは ただ一つ
君なんだよ
いつでも君なんだよ

<出典>Mr.Children/Everything(It’s you) 作詞:桜井和寿

君がもし自分を求めてくれるのであれば、その幸せを僕は守り続ける。
僕に合わせなくていい。
好きなようにしていい。

君は何を選んでもいい。
ただ僕は、自分を犠牲にしてでも君を守りたい。

そう“STAY”とは、「君がどんな選択をしても見守り続ける」ということ。

主人公の中で唯一変わらないもの、そして曲全体のテーマは、「君を守りたい」という想いです。

愛とは何か、そして誰かのためにどこまで自分を犠牲にできるか。
そんなことを考えさせられる歌詞でした。

聴きどころ

メロディー

桜井さん特有の歌い回しによる譜割は、彼以外が歌うと少し説得力に欠けるだろうと思えるくらい独特で、それがまた魅力のひとつ。
だからこそ歌うのも難しいですよね。

最高音は「Hi G」となっており、そこまで高くはないですが全てのセクションでその音が歌われているため、意外とハイカロリーな曲です。

  • Aメロ→「少年時代ら」
  • Bメロ→「弱音さしたり グチをこしたり」
  • サビ→「STAY」等

かつ、低いところから急に最高音に飛んだりもするので、結構キツイ。
特にサビのロングトーンはいちばんの聴かせどころのため、カラオケなどで歌う時は綺麗に、そして心を込めて伸ばせるよう心掛けたいですね。

胸がギュッと締め付けられるような切ないメロディーです。

アレンジ

  • 原曲Key=G
  • BPM(テンポ)71

バンドメインに構成されたアレンジで、ミディアムテンポのロックバラードになっています。

イントロのフィル、サビ前の2拍、ラスサビ前のロングフィルが印象的なドラム。
イントロ1小節目終わりから2小節目にかけて気持ちよく滑らせるスライドが心地良いベース。
耳に残るトレモロのかかった存在感あるギターアルペジオ。
そしてバトンを渡すように2つのギターが掛け合う間奏のギターソロ。
ラスサビの裏で鳴る田原さんのギターフレーズもエモい。

4人の楽器全てが主役級の演奏をしているが、どれも喧嘩をせず落ち着いていて、これぞMr.Childrenだからこそできる“泣かせるロック”とも言えます。

ちなみにデモの段階ではギターソロの部分に大サビ(Cメロ)があったそうです6
気になるところではありますが、それが採用されていたとしたらギターソロがなかったかもしれませんね。

Cメロや転調もなしにこの満足感は素晴らしいです。

そして本楽曲は仮タイトルが『エアロ』でした。
アメリカのバンド「エアロスミス」の”エアロ”です。

エアロスミスの『What It Takes』という曲があり、公言されているわけではありませんが、アレンジに関しては明らかにインスパイアされていますので、興味があれば聴いてみてください。

著名人の感想

“歌う言葉さえも見つからぬまま 時間に追われ途方に暮れる”僕はこのフレーズに共感しました。ミュージシャンになって何回も頭に浮かんだフレーズでした。でも僕がこの曲が好きだった理由は、それを上回る大きな意志と優しさをこの曲から感じたからです。

レミオロメン:藤巻亮太/別冊カドカワ 総力特集Mr.Children

ライブ披露

ライブ

オススメ映像作品

Mr.Children Tour 2004 シフクノオト

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アレンジが最高で感動的なのはもちろん、特に素晴らしいのが3回訪れるサビでそれぞれ異なる歌い方をしているところ。
いうならば”3段階「STAY」”
1番:ファルセットで単音「STAY」
2番:地声で「STAY〜エェエ〜」(原曲と少し違う)
3番:全力「STAY」
本来サビの1拍目で歌う「STAY」の音を、休符を入れて歌うのもミソ。感動の『Everything (It’s you)』です。

テレビ

  • 1997年2月7日「MUSIC STATION」
  • 1997年2月8日「COUNT DOWN TV」
  • 1997年2月10日「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」
  • 1997年2月14日「FAN」
  • 1997年3月17日「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」

まとめ

僕がミスチルファンになったきっかけの曲です。

それまでもMr.ChildrenのCDを買ったり、音楽番組をチェックしたりと、好きで聴いてはいましたが、このバンドをずっと追いかけよう、過去の作品も集めていこうと心に決めたのは、この『Everything(It’s you)』でした。

でも果たして僕はこの曲の何に惹かれ、ここまでハマってしまったのでしょうか?
その理由をふと思い返してみました。

“声は楽器”という言葉をたまに聞くと思います。
とある日、テレビから聴こえてきたのはMr.Childrenの新曲のワンフレーズ、「STAY」のロングトーン。
僕は桜井さんのその歌声に衝撃を受けます。

「ドン、ドン」とドラムが響き、その後に大きく伸びる「STAY」の1音。
そのバックの演奏に溶け込んだ歌声を聴きながら僕は、まさにその声を“楽器”そのもののように感じました。

もちろんそれ以前からCDやテレビ、ラジオなどで聴き馴染んでいた歌声です。
でも改めて桜井さんの声質は、“歌うために授かったもの”だと僕の中で確信することができました。

それから、桜井さんの歌声の魅了、桜井和寿という人物、そしてMr.Childrenというバンドにすっかり夢中になってしまったのです。
ですので、僕が思うMr.Children最大の魅力、最大の武器は“桜井和寿の声”だと今でも思っています。

「STAY」の1音。
それにやられてしまいました。

でもそれだけではありません。
それぞれの項目で解説している通り、歌詞も全体のメロディーもアレンジも全部が素晴らしいです。

2015年5月10日、デビュー23周年の日。
『TOUR 2015 REFLECTION』広島公演での『Everything(It’s you)』演奏前。

MCで桜井さんは“3つの『Everything』”について話をされたそうです。

デビューアルバムの『EVERYTHING』、未発表曲の『Everything』(『’92 Your Everything Tour』で演奏された』)、そして『Everything(It’s you)』。

桜井さんにとっての『Everything』=『すべて』とは、「Mr.Childrenの音楽を聴いてくれる人たち、ライブに足を運んでくれる人たちのこと」と言っていたそうです。

すなわちそれが“It’s you”とも言えるでしょう。

『Everything(It’s you)』は、リリースした時期のこともあり、歌詞を深読みされる方も多く、それはそれで良いと思うのですが、僕にとっては思い出の、青春の曲でもありますので、ストレートに解釈させていただきました。

この曲から僕のミスチル人生が始まりました

僕にとっての『Everything』は間違いなく『Mr.Children』です。

YouTube版楽曲解説

準備中

  1. 月刊カドカワ 1997年2月号 ↩︎
  2. NHK-FM「ミュージック・スクエア」1997年3月17日 ↩︎
  3. 別冊カドカワ 総力特集Mr.Children ↩︎
  4. NHK-FM「ミュージック・スクエア」1997年3月17日 ↩︎
  5. HMV the music master 1997年3月 ↩︎
  6. 月刊カドカワ1997年4月号 ↩︎
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