Mr.Children「つよがり」の解説と歌詞考察だよ♪
重い荷物も二人で持てば軽くなる
楽曲紹介
楽曲収録CD
概要 | 収録作品 | 発売日 |
---|---|---|
9th ALBUM | Q | 2000年9月27日 |
BEST ALBUM | Mr.Children 1996-2000 | 2001年7月11日 |
36th Single | ヒカリノアトリエ | 2017年1月11日 |
作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿
豆知識
この曲はバンドと切り離し、一人のシンガーとして歌うことを思い描いて書いた曲らしいよ♪
というのも、“喉が命”のボーカリスト。
他のメンバーと違いツアー中は喉のことを考え地方で飲み歩いたりができない。
「ボーカリストだけ不公平だ!」
そんな反抗心でバンドと切り離した曲を作ってしまったとのことだ。
だから元はバンドの音は入れずピアノ中心にして小林さんにアレンジを頼もうとしていたみたいね。
アルバムジャケット情報
- 撮影場所:グレートソルトレイク砂漠
- ジャケットのテーマが出来上がるまでの経緯がこちら
無菌室の中で赤ちゃんを抱いている写真があった→その無菌室の中の人が宇宙飛行士みたいに見える→宇宙飛行士が砂漠にいたらどう見えるだろう?→砂漠だったら潜水帽にした方が「Q」っぽいかな?という連想から出来上がった。
- アートディレクター:信藤三雄
MV(ミュージックビデオ)情報
なし
ミュージックビデオはございません
タイトルについて
登場人物のつよがる心理を描いています。
つよがっているのは君なのか?僕なのか?それとも?
歌詞考察
1番 Aメロ(凛と構えた〜)
凛と構えたその姿勢には古傷が見え
<出典>Mr.Children/つよがり 作詞:桜井和寿
重い荷物を持つ手にもつよがりを知る
凛とした姿勢で重い荷物を持つ君は頼もしく見える。
でも重いものは重いです。
ただつよがって我慢していることを主人公は見抜いています。
君には辛い過去があり、その痛みを隠す為の手段としてつよがっている。
主人公がそれに気付いてるところからも、この二人は友達以上恋人未満、もしくは既に付き合っている関係であると察します。
1番 Bメロ(笑っていても〜)
笑っていても僕にはわかってるんだよ
<出典>Mr.Children/つよがり 作詞:桜井和寿
見えない壁が君のハートに立ちはだかっているのを
いつも僕の前で笑う彼女。
その笑顔でいることも、無理をしているのをわかっています。
心の傷や悲しい記憶は簡単に消せるものではありません。
僕と君の間柄ではまだ、心の傷を打ち明けられない壁があるのです。
「僕はその荷物を持ってあげたい」
しかしその思いを君に伝える勇気がない。
その思いが次のサビで分かります。
1番 サビ(蚊の泣くような〜)
蚊の泣くような頼りない声で
<出典>Mr.Children/つよがり 作詞:桜井和寿
君の名前を呼んでみた
孤独な夜を超えて 真直ぐに
向き合ってよ 抱き合ってよ 早く
きっと毎日孤独な夜を迎えている彼女。
一日でも”早く”心を開いて欲しいと主人公は願います。
でも壁を感じている主人公は、力強く彼女を呼ぶことが出来ません。
か細く小さな声でしか君の名前を呼べないのです。
2番 Aメロ(着かず離れずが〜)
着かず離れずが恋の術でも傍にいたいのよ
<出典>Mr.Children/つよがり 作詞:桜井和寿
いつ君が電話くれてもいいようになってる
どんな関係であろうと、誰にでも踏み込まれたくない領域があります。
それを思いやることも大切。
でももっと分かり合いたいと思うのが主人公の本音です。
距離感は保ちつつ君の方から歩み寄ってくれてもいいように、いつ電話が鳴ってもいいように、心のスペースを常に空けているのです。
2番 Bメロ(話す相手も〜)
話す相手も自ずと挟まってくんだよ
<出典>Mr.Children/つよがり 作詞:桜井和寿
ちっちゃな願いをいつもポケットに持ち歩いてるんだ
一人の人を想い続け優先してしまうと、時間が奪われ話す相手も狭まっていきます。
“いつ君が電話くれてもいいように”しているということは、その分友人と話す時間を減らすということ。
君から打ち明けてくれる小さな可能性をポケットに仕舞い込み、その可能性を”日常的”に信じながら暮らしているのです。
2番 サビ(「優しいね」なんて〜)
「優しいね」なんて 買被るなって
<出典>Mr.Children/つよがり 作詞:桜井和寿
怒りにも似ているけど違う
悲しみを越えて 真直ぐに
向き合ってよ 抱き合ってよ 強く
主人公が君を気にかけても、「優しいね」と返ってくる。
でもそんな仕方なく返すような言葉が欲しいのではありません。
彼が欲しいのは曖昧で誰にでも言えるような言葉じゃないのです。
“優しい”と思われたくて接しているわけではない。
だから買被るなと思ってしまう。
でもそれは怒りとは違います。
それは主人公が感じる”寂しさ”と”悔しさ”なのです。
「真っ直ぐ向き合ってよ、強く抱き合ってよ」
ではなく、
「真っ直ぐ向き合いたい、強く抱き合いたい」
それが主人公の本心。
でも君が心を開くまでは自分から踏み込むことはできないのです。
Cメロ(愛しさの〜)
愛しさのつれづれで かき鳴らす六弦に
<出典>Mr.Children/つよがり 作詞:桜井和寿
不器用な指が絡んで震えてる
愛しいのに自分から何もしてあげられない。
そんな歯痒い気持ちを慰めるようにギターをかき鳴らす。
でもピックを持つ手が震えて上手く弾けません。
蚊の泣くような頼りない”音”が鳴り響く。
それはまるで自分の不甲斐なさと同じように。
もっと大きな音を鳴らさなけば誰にも聞こえません。
だから。。。
ラスサビ(たまにはちょっと〜)
たまにはちょっと自信に満ちた声で
<出典>Mr.Children/つよがり 作詞:桜井和寿
君の名を叫んでみんだ
あせらなくていいさ 一歩ずつ僕の傍においで
そしていつか僕と 真直ぐに
向き合ってよ 抱き合ってよ
早く 強く あるがままで つよがりも捨てて
たまには大きな声で君の名を呼んでみる。
主人公も不甲斐ない自分の壁を乗り越えようとしています。
だから君も心の壁を乗り越えて、あせらずゆっくり僕の傍に来て欲しいと言います。
でも”早く”来て欲しい。
そう、本心ではもう待てないんです。
本当はじれったくて待っていられないのです。
主人公は心が広い大人の男でいたい。
でも早く、強くと心の中で連呼してしまう。
そう、彼自身もまたつよがっていたのです。
そんなつよがる「君」と「僕」を描いた作品でした。
重い荷物も二人で持てば軽くなります。
君がそれに早く気づいて向き合うことが出来れば、お互いの胸のつかえはなくなるのかもしれませんね。
聴きどころ
メロディー
同じフレーズをリフレインするシンプルな構成ですが、歌詞も1.2.3番と展開を変えているので最後まで引き込まれます。
やはり歌の表現力が凄まじく胸に刺さりますね。
特に落ちサビからラスサビにかけての「一歩ずつ僕の傍においで」のフレーズが僕は好きです。
良い意味で間延びしたような歌がグッと来るんですよね。
ちなみに僕がYouTubeでファンにアンケートをとった「Mr.Children泣ける曲ランキング」では8位にランクインしました。
歌詞の共感度はもちろんのこと、泣きメロであることも間違いなのかなと思います。
アレンジ
まずクセになるのはAメロの入り口でピアノとストリングがユニゾンするこのフレーズ。
何度も繰り返されていて、この曲と言えばこのフレーズという印象が皆あるのではないでしょうか。
そんなストリングスはALBUM「Q」制作時にニューヨークでレコーディングされ、何とオーケストラを40人程も呼んだとのことです。
個人的に好きなアレンジは落ちサビで落ち過ぎないところ。
ベースとエレキは抜けますが、ビートは変えない落とし方が意外と好きです。
著名人の感想
随時更新します。
ライブ&テレビ披露
ライブ
- Father & Mother SPECIAL LIVE Q
- Concert Tour Q 2000~2001
- 昭和女子大学 学園祭
- WONEDERFUL WORLD on DEC 21
- Tour 2004 シフクノオト(1公演のみ)
- Tour 2009 ~終末のコンフィデンスソングス~
- Shooting Live “SPLIT THE DIFFERENCE”
- Hall Tour 2016 虹
- FATHER&MOTHER Special Prelive 2024.6.23-24 TOKYO GARDEN THEATER
- tour 2024 miss you arena tour
オススメ映像作品
Mr.Children Tour 2009 ~終末のコンフィデンスソングス~
「DEC 21」も歌のアレンジがとても良いけど、やっぱり「終コン」の熱い歌唱と演奏にはやられます!!
テレビ
- なし
まとめ
アルバム『Q』はダーツやくじ引きでテンポを決めたりなど、自由なバンドセッションによって制作された楽曲がいくつかある中、この「つよがり」はガッチリと作られたバラードソングです。
アルバムとして通して聴くと、1曲目から5曲目まで結構ロック色の強い曲が続いてるので、「つよがり」になるとちょっといつものミスチルに戻るというか、安心する感じが個人的にはありますね。
「Q(track1〜5)」
01. CENTER OF UNIVERSE
02. その向こうへ行こう
03. NOT FOUND
04. スロースターター
05. Surrender
06. つよがり
20年以上前の作品で、当時から「“つよがり”イイ曲だなぁ」と思って聴いていましたが、いまだにイヤホンからイントロが流れてくると聴き入ってしまって、その度また「イイ曲だなぁ」と感じています。
特に歌詞は人生経験を積んでいくにつれて主人公の気持ちに共感できたり「あ、この歌詞ってこういう意味もあるんじゃないか」と新しい解釈ができるようになったり。
でもその意味も一緒くたに言えない深さがあって、どんどん好きになっていける曲の一つだなと思います。
そんな風に色んな解釈がある曲だとは思いますが、僕の考察の二人は”友達以上”もしくは”付き合っている”という解釈で話を深堀りしていこうと思います。
強がる時の心理とは、”強いふり”をしているわけで、”弱音を吐くことが恥ずかしい”と思っているわけです。
自分の弱さを認められないというか。
だから彼女は本当は彼と向き合いたい。
でもそんな自分が許せなくて意地を張っている。
で、後に引けない状況っていうのが彼女の今。
一方主人公。
彼は「君に見合った存在になりたい」
だから蚊の泣くような声だった自分が背伸びをして、自信に満ちた声で叫んでみた。
でも彼女からすればその”叫んでみた”っていうのが、つよがっている、無理をしているように聞こえて、逆に心を開けないんですよね。
つまり何が言いたいかというと、互いが相手に迷惑をかけたくないという余計な思いにより、二人の間で壁が出来てしまったのです。
素直になりたいのにお互い我慢しているのです。
だから主人公は、荷物を全部持とうとするのではなく、半分持ってあげる。
そして彼女も全部渡そうとするのではなく半分だけ委ねてみる。
二人で持つことで距離も近くなるし心も軽くなる。
それに気づくことが出来れば、この曲の物語はハッピーエンドで終わるんじゃないかなと僕は思いました。